当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)は血行改善効果が期待できる漢方です。
血流を良くし、身体全体を温めることで、不妊症・更年期障害からくる冷え性などの改善に効果を発揮します。
そのため、女性特有の身体の不調を感じる方に相性のいい漢方薬です。
今回は、当帰芍薬散の効果や副作用、飲み続けるうえで知っておきたいことなどについて紹介します。
この記事でわかること
- 当帰芍薬散は、生理痛や更年期障害の症状緩和に効果的!
- 副作用はまれに食欲不振が起きることがある
- 体質によっては服用が合わない場合もある
目次
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)とは
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)は、血行を改善することで、肌トラブルや女性の身体の悩みを解決する漢方薬です。
以下の6種類の生薬から構成されています。
生薬 | 作用 |
---|---|
当帰(とうき) | 血行を促進する |
川芎(せんきゅう) | 炎症を鎮静する |
芍薬(しゃくやく) | 女性ホルモンの分泌を整える |
茯苓(ぶくりょう) | 胃の働きをよくして、水分の停滞を改善する |
白朮(びゃくじゅつ) | 身体の中に停滞している水分を排出する |
沢瀉(たくしゃ) | 体内の水分を排出する |
これら6つの生薬が、体内の血行を改善させる作用があります。
血行を改善し身体を温める漢方薬
当帰芍薬散は、体内の血行を促進し、身体を温める作用を持ちます。
血流が停滞すると、肌荒れ・冷え性・生理不順などを引き起こしやすくなります。
当帰芍薬散は、血行を促進させることで、肌荒れや冷え性の改善をサポートします。
女性の方に相性のいい漢方薬
当帰芍薬散は、全身の血行を促進し、女性特有のさまざまな症状にアプローチします。
女性は生理や妊娠、出産などで「血」を失いやすい傾向があります。
そのため、血の不足状態を改善する当帰芍薬散は、男性よりも女性に多く使われる漢方薬とされているのです。
当帰芍薬散は、主に以下のような効能があります。
- 更年期障害の緩和
- 不妊治療
- 生理痛の緩和
- 月経周期の調整
- 肌トラブルの改善
当帰芍薬散のそれぞれの効果については次の章で詳しく解説していきます。
当帰芍薬散の効果
当帰芍薬散には、「血」と「水」の流れが滞りやすい女性特有の不調を改善する効果が期待できます。
以下に当帰芍薬散により改善効果が期待できる代表的な症状を4つご紹介します。
更年期障害の緩和
当帰芍薬散は、冷え性や月経周期の乱れなど、更年期障害による症状を改善する効果が期待できます。
更年期障害とは、30代後半から50代前半の女性に現れる、体調・精神面に影響を及ぼす症状の総称です。
更年期障害は、女性ホルモンであるエストロゲン量が低下し、不安定になることで起きると言われています。
当帰芍薬散は、不安定になったホルモンバランスを整え、更年期障害の症状を軽減します。
自律神経が乱れ、筋肉量の低下により身体全体、特に手や足などの末端が冷える
脳の視床下部にある自律神経が乱れることで、急激に顔が熱くなったり、汗が止まらなくなる
血流が滞り、肩や腰に適切に血が回らなくなることで発生する
脳の視床下部にある自律神経が乱れることで発生する
女性ホルモンであるエストロゲンの低下により、卵巣が刺激されることで起こりやすくなる
不妊・妊娠などの症状緩和
当帰芍薬散は、月経中や妊婦の方に起きる不調を緩和する効果を期待できます。
例えば、以下4つの症状に対して緩和作用が働きます。
生理痛はさまざまな要因で悪化しますが、その一つにホルモンバランスの乱れが挙げられます。
当帰芍薬散は、ホルモンバランスを整え、血行を促進して生理痛の緩和に働きかけます。
当帰芍薬散は、不妊症改善にも多く使われる漢方薬です。
血流の停滞や、水分不足による子宮の働きの低下は不妊につながっている可能性があります。
血流の停滞と体内の水分のめぐりをよくすることで、不妊症の改善に効果を期待できます。
流産の原因の1つに、子宮の機能低下・機能不全が挙げられます。
当帰芍薬散は、血液循環を改善することで、子宮の機能低下の改善を目指します。
妊娠中は、頭痛や重度のむくみなどの症状を持つ「妊娠高血圧症候群」を発症する可能性が高くなります。
- 性器出血
- 腹痛
- 子宮の硬化
- 胎動の減少
- 胎児への悪影響
妊娠高血圧症候群は、自覚症状のほとんどない病気だとされています。
妊娠高血圧症候群により、子宮に栄養が届かなくなると、胎児の栄養不足や酸素不足を引き起こし、低出生体重児(普通よりも体重のすくない赤ちゃん)が生まれてしまうリスクが高まります。
また、最悪の場合胎児が子宮内で亡くなってしまう可能性もあります。
当帰芍薬散は、胎盤の血液循環の維持や腎臓の血流を増加させることから、安胎作用があるといわれています。
血液循環や水分代謝の調整を行うことで、妊娠高血圧症候群の発生予防につながるのです。
毛穴詰まりによるニキビの予防
当帰芍薬散は、毛穴詰まりによるニキビを予防する効果があります。
ニキビは、皮脂が過剰分泌されることで、毛穴に皮脂が詰まり発生します。
また、皮脂の過剰分泌は、ホルモンバランスの乱れによって引き起こされます。
そのためホルモンバランスが乱れやすい思春期や生理中、妊娠期間中はニキビが発生しやすくなるといえます。
当帰芍薬散は、ホルモンバランスを整えることで、皮脂の過剰分泌を防ぎニキビを予防します。
むくみ・便秘改善
当帰芍薬散は、身体の水滞を改善する作用を持ちます。
そのため、むくみや便秘の解消に効果を期待できます。
当帰芍薬散の服用は、むくみの改善に期待できます。
むくみは、塩分の摂り過ぎ・運動不足・身体の冷えなどにより、水滞と血行不良がおきているときに発生しやすくなります。
当帰芍薬散は、水分代謝と血流促進作用があるため、むくみの改善に効果的です。
当帰芍薬散は、水滞を改善する作用により、便秘を改善します。
水分不足や運動不足になると、便秘になりやすくなります。
血流を循環させることで、体内の老廃物の滞りを改善し、便秘症状を和らげます。
当帰芍薬散の副作用
当帰芍薬散の服用で副作用が起こる可能性があります。
特に、胃腸が弱い方は副作用が起こりやすい傾向にあるので注意しましょう。
胃腸が弱い方はまれに食欲不振になる
当帰芍薬散の服用で消化器官に不調が起こる場合があります。
具体的には以下の症状などが現れます。
- 食欲不振
- 胃部不快感
- 吐き気
- 腹痛
- 下痢
当帰芍薬散の服用で、これらの副作用が起きてしまう場合は、用法・用量の工夫で解決できる場合もあります。
副作用の症状が出た場合は、一度専門の医師に相談してください。
副作用で太ることはない
当帰芍薬散を飲むと太るって聞いたけど、本当?
当帰芍薬散の服用により、体重が増えるという科学的根拠はありません。
むくみや便秘を改善する効果を期待できるため、どちらかというとむくみが原因での太りやすさを緩和できるかもしれません。
当帰芍薬散の医薬品と市販薬
医薬品と市販薬の違いは、生薬の含有量です。
例えば、ツムラの医薬品と市販薬の生薬の含有量を比較すると、医薬品の方が2倍の成分量が含まれています。
生薬の含有量が多いから良い/悪いということはなく、自分の体質に合うかという観点から、服用する薬を選びましょう。
医薬品
医療用の当帰芍薬散を2つ紹介します。
服用量や服用回数は、年齢・体重・症状によって変わる場合があるため、医師の指示に従いましょう。
ツムラ当帰芍薬散エキス顆粒(医療用)
顆粒タイプの医療用の当帰芍薬散です。
通常、成人の場合は、1日7.5gを2~3回に分割して服用し、食前・食間に服用します。
生薬名 | 含有量 |
---|---|
当帰(とうき) | 3.0g |
川芎(せんきゅう) | 3.0g |
芍薬(しゃくやく) | 4.0g |
茯苓(ぶくりょう) | 4.0g |
白朮(びゃくじゅつ) | 4.0g |
沢瀉(たくしゃ) | 4.0g |
オースギ当帰芍薬散エキスT錠
錠剤タイプの医療用の当帰芍薬散です。
通常、成人の場合は、1日7.5gを2~3回に分割して服用し、食前・食間に服用します。
生薬名 | 含有量 |
---|---|
当帰(とうき) | 3.0g |
川芎(せんきゅう) | 3.0g |
芍薬(しゃくやく) | 4.0g |
茯苓(ぶくりょう) | 4.0g |
白朮(びゃくじゅつ) | 4.0g |
沢瀉(たくしゃ) | 4.0g |
市販薬
次に、当帰芍薬散の市販薬を2種類紹介します。
クラシエ当帰芍薬散錠
錠剤タイプの当帰芍薬散の市販薬です。
通常の成人の場合、1回あたり4錠を1日3回、食前・食間に服用します。
今回紹介した医療用の2つの当帰芍薬散と比較して、白朮(びゃくじゅつ)の成分が含まれていません。
生薬名 | 含有量 |
---|---|
当帰(とうき) | 409mg |
川芎(せんきゅう) | 409mg |
芍薬(しゃくやく) | 546mg |
茯苓(ぶくりょう) | 546mg |
沢瀉(たくしゃ) | 546mg |
ツムラ漢方当帰芍薬散料エキス顆粒
顆粒タイプの当帰芍薬散の市販薬です。
通常の成人の場合は、食前・食後に1日2回、1包服用するようにします。
生薬名 | 含有量 |
---|---|
当帰(とうき) | 1.5g |
川芎(せんきゅう) | 1.5g |
芍薬(しゃくやく) | 2.0g |
茯苓(ぶくりょう) | 2.0g |
白朮(びゃくじゅつ) | 2.0g |
沢瀉(たくしゃ) | 2.0g |
当帰芍薬散が合わない人
当帰芍薬散は、一部の人には効果を期待できない場合があります。
体質や配合の生薬などによって、当帰芍薬散が合わない場合があるためです。
具体的に当帰芍薬散との相性があまりよくないと言われている方の特徴を紹介します。
冷えがない人
冷えがない人は、当帰芍薬散の効果をあまり実感できない可能性があります。
当帰芍薬散には、血行促進効果によって冷えを緩和する効果がありますが、もとから身体の冷えをあまり感じていない場合は、当帰芍薬散の血行促進効果をあまり感じられないかもしれません。
体内に余計な水が溜まってない人
体内に余分な水分が溜まっていない場合、当帰芍薬散の使用の必要性は低いかもしれません。
当帰芍薬散は、体内に溜まった余計な水分を排出することで、むくみや、冷え性等を改善します。
以下のリストを確認し、自分の身体に水が溜まっている可能性があるのかチェックしてみて下さい。
- むくみ
- 頭痛・頭重感
- めまい
- 頻尿・膀胱炎
- 冷え
- 胃腸の不調
上記に、あまり当てはまらない方は、当帰芍薬散を服用の必要性が低い可能性があります。
当帰芍薬散を飲み続ける上で知っておきたいこと
当帰芍薬散の服用にあたっては、用法・用量などを守ることが必要です。
この章では、当帰芍薬散を安全に継続して利用するために知っておくべきポイントを紹介します。
妊娠中でも使用可能な場合がある
当帰芍薬散は、妊娠中でも服用できる場合があります。
当帰芍薬散には、重篤な副作用を引き起こすリスクのある生薬「大黄(ダイオウ)」や「甘草(カンゾウ)」が含まれていないためです。
しかし、他の薬との飲み合わせや体調によっては、薬が合わない場合もあるので、服用前に必ず医師に確認を取りましょう。
当帰芍薬散を生理中に飲むことはできますか?
当帰芍薬散は、全身に大切な栄養を与え、血行を良くするとともに、水分代謝を整えることで、冷え症や生理不順を改善する漢方薬です。
生理痛の緩和にも効果が期待できるため、生理中でも服用していただくことは問題ありません。
他の漢方薬と併用して問題ない
当帰芍薬散は、他の漢方薬と併用しても問題ないと言われています。
しかし、同じ成分を多く含む漢方薬の併用は、生薬の過剰摂取になる可能性があるため注意が必要です。
いくつか薬を併用したい場合は、念のため、医師に問題ないか確認してから、服用することをおすすめします。
1ヶ月飲み続けても効果が出ない場合は使用を中止
当帰芍薬散は、いつまで飲めば良いのか、疑問に感じる方も多いと思います。
通常、効果が出るまでは約1~2週間ほどが目安と言われています。
1ヶ月服用を続けても効果が現れない場合は、身体に合っていない可能性が高いため、長期服用は控えましょう。
また、効果が現れて症状が落ち着いたら服用を止めるようにしてください。
当帰芍薬散は医師に相談するのがおすすめ
当帰芍薬散には、市販薬もありますが、専門家である皮膚科医からの処方を受けるのがおすすめです。
処方を受ける際に、症状や体質を考慮して、適切な漢方の提案やアドバイスをもらうことができるためです。
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