トレチノイン治療の失敗を防ぐには?色素沈着や赤みが出た場合の対処法も解説

外用薬を頬に塗っている様子

トレチノインは、失敗のリスクが高い治療法!?

トレチノインは、シミやニキビ跡の治療に効果がある反面、思わぬ副作用が発生する可能性もあります。

場合によっては、トレチノイン治療がうまくいかず、シミを悪化させてしまうことも

今回は、そんな失敗のサインと、もしも失敗した際の対処法をお伝えします。

この記事でわかること

  • 1カ月以上「レチノイド反応」が続く場合は治療失敗の可能性が高い
  • トレチノインで失敗しないためには事前テストや紫外線対策が重要
  • 万が一失敗してしまった際はすぐに医師に相談して治療法を変更する

トレチノインの効果については、以下の記事をチェック!

トレチノイン トレチノインの効果と使い方とは?ハイドロキノンとの併用療法や副作用も解説!

トレチノイン治療に失敗したらどうなる?

トレチノインとは、シミの改善効果を期待できる外用薬です。

改善効果を期待できる反面、失敗のリスクがあるのも、トレチノインの特徴です。

以下の症状に当てはまる場合は、治療がうまくいっていない可能性が考えられます。

赤みやヒリヒリが強く出てしまう

トレチノインの使用で、赤みやヒリヒリ感が強く出ることがあります。

かゆみが伴ったり、悪化して皮むけしたりすることもあります。

ただし、正常に治療を行えている場合にも、皮むけが起こることがあります。

これは「レチノイド反応」とも呼ばれます。

正常な反応か、判断しにくい場合もあるかと思いますが、異常を感じたり症状が強い場合は、医師に早めに相談しましょう。

トレチノインの治療で「レチノイド反応」が出る

レチノイド反応とは、トレチノインの使用初期に見られる症状です。

具体的には、皮むけ・赤み・かゆみなどが挙げられます。トレチノインの作用で肌のターンオーバーが促進されて角質の排出が早まることで起きます。

レチノイド反応が見られるということは、薬がうまく作用している証拠です。

しかし、症状がひどい場合は、かえってシミなどを悪化させてしまう可能性があるため、自己判断はせず、専門の医師に相談しましょう。

色素沈着が悪化してしまう

トレチノイン治療で、色素沈着が悪化してしまう場合もあります。

かゆみや皮むけがひどくなってしまった場合、肌が傷つき、炎症を起こします。

その炎症が跡となることで、色素沈着が発生したり、もともとの色素沈着が悪化する可能性があります。

トレチノインの失敗の予兆

トレチノインを使用するなかで、トレチノインが肌質に合わずに、効果を感じられない可能性もあります。

もしも、トレチノインが肌に合わないと感じたら、失敗を防ぐために早めの対処が大切です。

ここでは、トレチノイン治療での失敗の予兆を紹介します。

赤みやヒリヒリ感が1カ月以上続く

赤みやヒリヒリ感が長く続く場合は要注意です。

始めてから約2〜3週間は副作用が一番でやすいピークの時期と言われています。

そして、大体1ヶ月をすぎると徐々に副作用が落ち着くとされています。

そのため、1ヶ月以上赤みやヒリヒリ感が続く場合は、トレチノインが肌に合わない可能性があります。

※ただし、副作用に辛さを感じる場合は1ヶ月に満たない段階でも医師に相談しましょう。

1週間以上塗っても皮むけしない

通常、トレチノインの使用開始から約2〜3日で、治療が効果的であることを示す「レチノイド反応」が起きるとされています。

そのため、1週間以上トレチノインを使用しても全く皮むけしない場合は効果が出ていない可能性が考えられます。

使用を続けてもお肌の状態になかなか変化が見られない場合は、医師に相談しましょう。

トレチノインで失敗しないための注意点

トレチノインは、誤った使い方をすると肌トラブルを引き起こしやすくなります。

治療の失敗を避けるために、注意すべきポイントを紹介します。

肌に異常が見られた場合はすぐに使用をやめ、医師に相談しましょう。

使用前に腕などでテストをする

トレチノインの成分が自分の肌に合わないと、肌に刺激がおこる可能性があります。

まずは、顔に塗る前に腕などに少量を塗り、パッチテストを行いましょう。

使用量や頻度を間違えると、肌トラブルが発生しやすくなるので要注意です。

最初は部分的に塗り、慣れてきたら徐々に範囲を広げて様子を見ましょう。

濃度の低いものから使う

一般的に、トレチノインは、ニキビやシミの改善には低濃度(0.05%)、シミの漂白には高濃度(0.4%)が用いられます。

高濃度ほど肌への刺激が強くなるため、低濃度から始めて、徐々に高濃度に切り替えていきましょう。

ただし個人差があることを踏まえ、低濃度のものでも肌に合わない場合がある点にご注意ください。

必ず保湿をする

トレチノインを使用する際は、必ず保湿を行いましょう。

トレチノインには角質のピーリング作用があるため、肌のバリア機能が低下し肌の乾燥が起こりやすくなります。

乾燥を防ぐためにも、化粧水や乳液などで肌を保湿することを欠かさないようにしましょう。

保湿する際は、コラーゲンやヒアルロン酸といった保湿成分が含まれている化粧品がおすすめです。

紫外線対策を徹底する

トレチノインの使用期間中は、皮膚のバリア機能が低下しやすくなります。

皮膚のバリア機能が低下すると、紫外線のダメージを受けやすなります。

この状態で紫外線を浴びてしまうと、肌が炎症を起こしやすいため、色素沈着や新しいシミができる可能性が高まります。

そのため、トレチノインの使用期間は室内でも日焼け止めを塗り、屋外では日傘などを使用して徹底的な紫外線対策を行いましょう。

夏の外出など、強い紫外線を浴びる時は日中にトレチノインの使用を避けるのも一つの手です。

休薬期間を設ける

トレチノインの使用においては、休薬期間を設けることが必要です。

トレチノインを長期間使い続けると、皮膚に「耐性」が生じ、効果が得られにくくなる場合があります。

そのため、連続的な使用は最長で8週間にとどめ、1ヶ月以上の休薬期間を設けましょう。

休薬した後に、再度トレチノインを使用することで効果を実感しやすくなると言われています。

トレチノインの失敗リスクを高める行動

トレチノインで失敗しないためには、用法・用量を守ることが大切です。

ここでは、トレチノインの効果を低減させてしまう行動を紹介します。

ピーリング作用のある化粧品との併用

トレチノインとピーリング作用のある化粧品との併用には注意が必要です。

トレチノインにもピーリング作用があり、角質層を薄くする可能性があります。

そこにさらに、ピーリング作用のある化粧品を使うことで角質層が薄くなってしまいます。

角質層が薄くなった状態で、トレチノインを使うことで肌のかゆみやカサカサした状態を引き起こしやすくなります。

海外からの輸入品の使用

日本では、トレチノインは医師の処方が必要ですが、海外ではトレチノインが一般販売されている国もあります。

そのため、国内であっても海外からの輸入は可能です。

しかし、海外製品は成分や安全性の保証が確認しづらい場合があります。

厚生労働省も、海外からの輸入品の使用は推奨していません。

思わぬ副作用や失敗の恐れがあるため、海外からの輸入品の使用は避けた方がよいでしょう。

摩擦を与えてしまう

トレチノインにはピーリング作用があるため、肌のバリア機能が低下し、肌が摩擦などの外的刺激を受けやすくなります。

その状態で肌を擦ってしまうと、肌の乾燥や炎症、色素沈着を招く可能性があります。

日々の生活のなかで、肌への摩擦が生じないように注意しましょう。

肌荒れしている時に使用する

肌荒れしているときは、肌のバリア機能が低下しています。

その状態で、トレチノインを使用すると、かゆみや赤などが起こりやすくなります。

そのため、自分の肌状態によって使用するかどうか検討しましょう。

妊娠中や授乳中に使用する

トレチノインの過剰摂取は、胎児への催奇形性(※)の可能性があります。

そのため、妊娠中は使用を中止しなければなりません。

また、授乳中の方や、妊娠予定の方も使用できません。

※特定の成分によって胎児が奇形になってしまうこと。

トレチノインで失敗した場合の対処方法

トレチノインを使用して、失敗してしまった場合は、すばやく適切な対処をしましょう。

トレチノインの使用を中止する

トレチノインが肌質に合わない場合は、すぐにトレチノインの使用を中止しましょう。

使用を続けると、かえってシミを濃くしてしまったり、新たなシミや肌荒れの原因にもなり得ます。

医師に相談して治療法を変更してもらう

トレチノインを使用し続けても効果を感じられない場合、または、肌質に合わない場合は、治療法の変更を検討しましょう。

また、トレチノインは、肌の表面にできるシミに効果を示しやすいと言われています。

そのため、メラニン色素が肌の奥の層にも蓄積してしまっている場合は、トレチノインでの治療では改善できない場合も考えられます。

医師と相談のうえ、レーザー治療なども検討してみてください。

トレチノインの失敗を事前に防いで効果的にシミを治療しよう

トレチノインはシミの改善効果を期待できます。

肌質に合わない場合は、炎症やそれに伴い色素沈着が起こり、治療が失敗になってしまう可能性もあります。

トレチノインはあらかじめ失敗しないように工夫して使っていきましょう。

シミの改善やトレチノインでの治療を検討中の方は、皮膚科に相談しましょう。

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この記事の監修医

東京山手クリニック

藤原東華 医師

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