「補中益気湯」の自律神経を整えるすごい効果とは?合わない人や副作用をチェック

補中益気湯(ほちゅうえっきとう)は、胃腸の働きを整え元気を補う漢方薬です。

すぐに疲れてしまう…。

だるくて気力がわかない。

などといった状況の方に特に有効です。

今回は、補中益気湯の効果や副作用、効果が出るまでの期間などを解説します。

服用が合わない人や使用上の注意も一緒にチェックしていきましょう。

この記事でわかること

  • 補中益気湯は更年期障害の症状改善や風邪予防に効果的
  • 妊婦・高齢者・乳児が服用する際は注意が必要
  • 体力がある方には効果が現れない可能性がある

補中益気湯(ほちゅうえっきとう)がすごいと言われる理由

補中益気湯は、主に倦怠感や胃腸の疲れを改善する漢方薬です。

補中益気湯という名前は「胃腸を補い元気を益す(ます)」という意味に由来しています。

以下の10種類の生薬で構成されています。

生薬 作用
人参(ニンジン) 強壮(体力回復)・保湿・消化促進
黄耆(オウギ) 利尿・血圧降下
白朮(ビャクジュツ) 健胃・整腸・利尿
柴胡(サイコ) 解熱・消炎・鎮静・鎮痛
当帰(トウキ) 強壮・補血・鎮痛
升麻(ショウマ) 消炎・鎮痛・鎮静
陳皮(チンピ) 健胃・去痰(たんを出す)
生姜(ショウキョウ) 抗炎症・消化促進・血行促進
大棗(タイソウ) 鎮静・利尿・滋養・補血
甘草(カンゾウ) 健胃・抗炎症・去痰

薬の種類によっては、白朮(ビャクジュツ)の代わりに、蒼朮(ソウジュツ)が含まれていることもあります。

補中益気湯の効果

補中益気湯は、胃腸の働きを整える作用で、体のさまざまな不調の改善に期待ができます。

主に、以下のような症状に効果的だと言われています。

  • 更年期障害
  • 自律神経失調症/うつ病
  • アトピー性皮膚炎
  • 胃もたれ
  • インフルエンザ
  • 陰萎(ED)

更年期障害の緩和

補中益気湯は、更年期障害で起こる冷え性や頭痛、動悸などの症状の改善に有効です。

更年期障害では、以下のような症状などが現れます。

  • 冷え性
  • ホットフラッシュ(ほてり)
  • 肩こり・腰痛
  • 倦怠感・疲労感
  • 月経周期の乱れ

30~50代の女性は、ホルモンバランスが乱れやすい時期にあたり、その影響でさまざまな身体の不調が現れやすくなります。

自立神経失調症やうつ病の改善

うつ病や自律神経失調症は、自立神経が乱れることで発症します。

補中益気湯に含まれる生薬は、自律神経を整えるように作用します。

これにより、補中益気湯の服用で、自律神経失調症・うつ病などの症状を緩和する効果を期待することができます。

アトピー性皮膚炎の緩和

補中益気湯はアトピーの改善、特に難治性のアトピーへの改善効果が期待できます。

補中益気湯は、腸管の免疫機能を高めることで、Th1/Th2バランスを整えます。

これにより、アレルギー反応を抑制する効果があります。

軽度のアトピーの場合、肌を保湿するなど、肌に直接アプローチをするほうが効果的ですが、難治性のアトピーの場合は、内蔵からアプローチしたほうが治療効果が望めると言われています。

Th1・Th2のバランスを整えるとアトピーを改善できる

Th1は1型ヘルパー細胞、Th2は2型ヘルパー細胞のこと。通常は、両者がバランスを取り合って機能しますが、バランスが崩れTh2が優位になってしまうと、アトピーなどのアレルギーを発症してしまいます。

胃もたれの解消

補中益気湯は、胃腸の働きを整える作用で、胃もたれを改善します。

主に、補中益気湯に含まれる生薬の一部である陳皮(チンピ)や、甘草(カンゾウ)などが胃腸を強くするよう働きます。

胃もたれは、体力の低下によっても発生しやすいですが、補中益気湯は体力を補う効果も期待できます。

インフルエンザなどの風邪予防

補中益気湯には、免疫機能を強化する効果があり、風邪・インフルエンザ・コロナウイルスなどの予防効果を期待できます。

また、補中益気湯には、ウイルス細胞を攻撃するNK細胞の働きをサポートする作用があります。

そのため、インフルエンザやコロナウイルスに感染した後の疲労感や倦怠感の軽減効果も期待できると言われています。

男性の陰萎やEDの改善

補中益気湯は、陰萎・EDの改善にも効果が期待できます。

ストレスの軽減や体力増加をサポートし、その結果、性機能の向上も期待できるためです。

他のED専用の治療と比べて、即効性がないため効果は感じづらいですが、副作用リスクが少ないのがメリットです。

補中益気湯の副作用

個人差はありますが、補中益気湯の服用で副作用が起こる可能性があります。

この章では「重篤な副作用」と「その他の副作用」に分けて解説していきます。

重度の副作用

重度の副作用には以下の3つの症状が報告されています。

  • 偽アルドステロン症
  • 間質性肺炎
  • 肝臓の不調

偽アルドステロン症

補中益気湯の服用により、偽アルドステロン症を発症して以下などの症状が現れる場合があります。

  • だるさやむくみ
  • 血圧上昇
  • 手足のしびれや筋肉の痙攣

偽アルドステロン症は、補中益気湯に含まれる生薬の1つ、「甘草(カンゾウ)」が原因で引き起こされるとされています。

ですが、医師や薬の用法・用量に従っていれば、甘草の過剰摂取にはなりにくく、副作用の発生を抑えられます。

念のため「甘草」が含まれている他の漢方との飲み合わせには注意しましょう。

間質性肺炎

補中益気湯の副作用で、間質性肺炎が発症する可能性があります。

  • から咳
  • 息切れや息苦しさ
  • 発熱

上記のような症状が現れた場合は、間質性肺炎の可能性があるため、迅速に医師に相談しましょう。

肝臓の不調

補中益気湯の内服により、薬物性肝障害が発症する可能性があります。

補中益気湯を長期に渡って服用する場合は、定期的な肝機能検査が必要になる場合もあります。

その他の副作用

そのほかにも以下のような副作用が現れる場合があります。

症状が続いてしまう場合は、早めに医師に相談しましょう。

胃腸の不快感

補中益気湯の副作用として、胃腸の不快感を感じることがあります。

本来、補中益気湯には、胃腸の働きを改善する効果があります。

しかし、人によっては補中益気湯の成分が合わないと、胃腸に刺激となり、不快感を感じる場合があります。

発疹・発赤

補中益気湯に含まれる生薬に、体が軽いアレルギー反応起こして発疹・発赤、かゆみが現れる場合があります。

皮膚関連のアレルギーや過敏症を抱えている場合は、発症する可能性が高い傾向にあると言われてます。

補中益気湯が合う人

漢方は体質により、効果が発揮されやすいかが変わるため、漢方と体質の相性は重要です。

この章では、補中益気湯と相性のいい体質の特徴を紹介します。

食欲不振で体力がない

食欲不振は、胃腸の不調やストレスによる自律神経の乱れが原因である場合が多いとされています。

補中益気湯は、胃腸の不調を改善し、自律神経を安定させる作用で、食欲不振を改善します。

倦怠感がある

倦怠感は、ストレス・栄養不足・睡眠不足など、さまざまな理由で起こります。

補中益気湯は体力増強の効果があり、それにより倦怠感を軽減できます。

また、倦怠感の原因は、胃腸の不調で起こることもあるため、胃腸の不調を改善する補中益気湯の服用が有効と考えられます。

気力がわかない

気力がわかない場合は、自律神経のバランスが崩れている可能性があります。
補中益気湯に含まれる生薬成分には、自律神経を整える作用があるため、気力低下の改善が期待できます。

長期的な疲労の蓄積などで元気が足りず、やる気が出ないような状態の人は、補中益気湯を試してみる価値があるでしょう。
体力と気力の回復をサポートしてくれる可能性があります。

風邪をひきやすい

風邪を引きやすい人は、体の免疫力が低下している可能性が高いです。

補中益気湯には、体力を増強させる作用があるため、風邪を引きやすい人が服用することで、免疫力を高めて風邪予防になる効果を期待できます。

補中益気湯が合わない人

補中益気湯は、一部の人には効果を期待できない場合があります。

漢方の配合の生薬が、体質や体調に合わないことがあるためです。

気(エネルギー)が過剰にある

気(エネルギー)が足りている状態の場合は、補中益気湯の効果を感じづらいかもしれません。

具体的には、食欲がある・活力がある方は、補中益気湯の効果が出づらく体質的に合わないと言われています。

また、補中益気湯には自律神経を整えることで、不眠症を改善する効果がありますが、問題なく睡眠が取れていた人が服用すると、かえって寝れなくなってしまうケースもあるようです。

漢方を服用してむくんだことがある

過去に漢方薬を使ってむくんだことがある人は、補中益気湯の服用には注意が必要です。

補中益気湯を構成する生薬の1つである「甘草(かんぞう)」は、人によって激しいむくみを引き起こす可能性があります。

特に、補中益気湯と同じ生薬が入った漢方でむくんだ経験があれば、今回も高い確率で合わなくなる可能性があるので、服用は避けたほうが賢明です。

補中益気湯の漢方の種類

補中益気湯には、さまざまな種類の薬があります。

今回は、薬局でも手に入れることのできる市販薬を1つと、医師の処方箋が必要な処方薬を2つ紹介します。

ツムラ補中益気湯エキス顆粒

顆粒タイプの医療用の補中益気湯です。

通常、成人の場合は、1日7.5gを2~3回に分割して服用し、食前・食間に服用します。

生薬 含有量
人参(ニンジン) 4.0g
黄耆(オウギ) 4.0g
蒼朮(ソウジュツ) 4.0g
当帰(トウキ) 3.0g
柴胡(サイコ) 2.0g
大棗(タイソウ) 2.0g
陳皮(チンピ) 2.0g
甘草(カンゾウ) 1.5g
升麻(ショウマ) 1.0g
生姜(ショウキョウ) 0.5g
※本品7.5g中、上記割合の混合生薬の乾燥エキス5.0gを含有する

補中益気湯エキス錠クラシエ

顆粒タイプの医療用の補中益気湯です。

通常、成人の場合は、1日7.5gを2~3回に分割して服用し、食前・食間に服用します。

生薬 含有量
人参(ニンジン) 4.0g
黄耆(オウギ) 4.0g
白朮(ビャクジュツ) 4.0g
当帰(トウキ) 3.0g
柴胡(サイコ) 2.0g
大棗(タイソウ) 2.0g
陳皮(チンピ) 2.0g
甘草(カンゾウ) 1.5g
升麻(ショウマ) 1.0g
生姜(ショウキョウ) 0.5g
※1日量(7.5g)中

補中益気湯エキス錠N「コタロー」

錠剤タイプの医療用の補中益気湯です。

第二医薬品であるため、医師の処方箋は必要とせず、薬局や通販で購入することができます。

15歳以上の成人の場合、1回5錠1日3回、食前または食間に服用して下さい。

生薬 含有量
人参(ニンジン) 2.0g
黄耆(オウギ) 2.0g
白朮(ビャクジュツ) 2.0g
当帰(トウキ) 1.5g
柴胡(サイコ) 1.0g
大棗(タイソウ) 1.0g
陳皮(チンピ) 1.0g
甘草(カンゾウ) 0.75g
升麻(ショウマ) 0.5g
生姜(ショウキョウ) 0.25g
(本剤15錠中)上記より抽出した補中益気湯エキス散(1/2量)4.20gを含有

補中益気湯服用時の注意点

補中益気湯には、副作用のほかに、服用における注意点がいくつかあります。

妊娠中の投与の安全性が確率されていない

補中益気湯は、妊娠中・授乳中の方への安全性は確立されていません。

そのため、妊娠予定の女性・妊娠中の女性・授乳中の女性は、服用したい場合は、必ず医師に相談しましょう。

高齢の方には刺激が強いことがある

補中益気湯は、高齢の方には刺激が強すぎることがあるため、注意しましょう。

一般的に、年齢を重ねると胃腸を始めとする消化器官の機能が低下してしまうためです。

高齢の方が使用する場合は、量を調整するなどで、用法・用量の指導を受ける場合があります。

処方薬の場合は、医師の指導に従うようにし、市販薬の場合は薬剤師に相談してみると良いでしょう。

生後3ヶ月未満の乳児には使用禁止

生後3ヶ月未満の乳児への補中益気湯の服用は、安全性は確立されていません。

補中益気湯に含まれる生薬の成分が強いことがあるため、使用は避けるようにしましょう。

2歳~11歳の虚弱体質の小児へは、医師の指導のもと、用法・用量を守れば、使用できる場合があります。

甘草を含む薬との併用を避ける

補中益気湯に含まれる甘草(カンゾウ)は、摂り過ぎると手足のしびれなどの重篤な副作用が発生してしまいます。

そのため、甘草を含む漢方薬の併用には、注意しましょう。

甘草を含む代表的な漢方薬
  • 甘草湯(かんぞうとう)
  • 加味逍遥散(かみしょうようさん)
  • 十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)
  • 連珠飲(れんじゅいん)
  • 大黄甘草湯(だいおうかんぞうとう)
  • 芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)
  • 十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)
  • 小柴胡湯(しょうさいことう)

また、漢方薬以外にも、甘草に多く含まれるグリチルリチン酸が含まれる風邪薬やトローチとの併用は注意が必要です。

補中益気湯を飲んで効果が出るまでの期間

どれくらいの期間の服用で効果が現れるの?

補中益気湯の効果を実感できるまでの期間は個人によって異なります。

また、治療の目的によって、補中益気湯の効果が得られるまでの期間が異なると言われています。

風邪症状が改善するのは1週間程度

風邪症状や一時的な倦怠感の改善を目的として服用する場合は、1週間程度を目安に効果を感じられる場合があります。

漢方薬は、症状に対して直接的に有効成分が効果を示すわけではありません。

そのため、1日~2日などで効果を感じられる即効性はあまりないと考えられます。

疲労回復などの改善には1ヶ月程度

補中益気湯服用疲労感改善が目的の場合は1ヶ月~2ヶ月を目安にして下さい。

生薬の力で、体質を改善するように働きかけて、徐々に体調を回復させていく効果を期待できるためです。

長期服用しても問題ない

補中益気湯は長期間服用しても大丈夫なの?

症状が徐々に緩和されてきた場合は、補中益気湯を飲み続けるべきか気になりますよね。

基本的には、補中益気湯は長期間服用しても問題ないと言われています。

ただし、副作用が現れた場合や、体調がかなり回復して体力がついた場合は、服用を中止しましょう。

また、1~2ヶ月使用を継続しても、効果を実感できない場合は、漢方薬が体質にあっていない可能性が高いので、一度医師に相談しましょう。

補中益気湯の服用は医師に相談

免疫力の強化や、胃腸機能の回復に効果を期待できる補中益気湯を紹介しました。

補中益気湯の服用を検討中の方は、一度医師に相談してみるのがおすすめです。

自身の症状に合うか判断のもと、指導や処方を受けることができます。

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この記事の監修医

東京山手クリニック

藤原東華 医師

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当院は「あなたのお肌のかかりつけ」をコンセプトに、皆さんのお肌を作り直すサポートをしていきたいと考えております。ただ肌悩みを改善するだけではなく、健康で美しいお肌を取り戻し、笑顔で日々を過ごせるよう、お手伝いさせていただければ幸いです。

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