当帰飲子(とうきいんし)は、乾燥肌やアトピーなどの肌悩み改善に効果が期待できる漢方です。
この記事では、当帰飲子の効果・副作用・正しい服用方法などを解説していきます。
当帰飲子で肌悩みを根本から改善していきましょう!
この記事でわかること
- 当帰飲子は乾燥性アトピーなどの肌トラブルに効果的!
- 副作用は胃腸の不調やまれに手足のしびれなどが起こる
- 体質によって適切な服用量が異なる場合があるため、医師に要確認!
目次
当帰飲子(とうきいんし)は血行を促進する漢方薬
当帰飲子(とうきいんし)は10種類の生薬が配合された漢方薬です。
当帰(とうき) | 血行促進 |
川芎(せんきゅう) | 炎症鎮静 |
地黄(じおう) | 血液・血行を整える |
芍薬(しゃくやく) | 女性ホルモンの分泌を整える |
何首烏(かしゅう) | 血行促進・肝臓の健康をサポート |
蒺藜子(しつりし) | めまいや頭痛・皮膚のかゆみを抑える |
防風(ぼうふう) | かゆみを発散させる |
荊芥(けいがい) | かゆみを発散させる |
黄耆(おうぎ) | 抗アレルギー作用 |
甘草(かんぞう) | 抗炎症作用 |
当帰飲子の主な作用は、血行をよくする働きです。
血を補って、血のめぐりを改善させる四物湯(当帰・川芎・芍薬・地黄)をベースに、他の6つの生薬で構成されています。
詳しく見ていきましょう。
中医学において、当帰飲子は「血(けつ)」を補給する生薬と、「気」を補う生薬やかゆみを止める生薬を配合した処方です。
体内の血液を循環させる
当帰飲子は、体内の血液を循環させる作用を持ちます。
血管を拡張させ、血流をスムーズにする効果の期待できる生薬が、配合されているためです。
血行が悪いと、冷え性を発症したりホルモンバランスが乱れやすくなります。
当帰飲子は血液を循環させることで、冷え性やホルモンバランスの乱れを防ぎます。
肌細胞に水分や栄養を届ける
当帰飲子は、肌細胞への水分や栄養の供給を助ける漢方です。
肌トラブルを解決するためには、血行促進が重要です。
血行が悪くなると、肌に栄養素がうまくいきわたらず、肌荒れにつながります。
当帰飲子に含まれる生薬の「当帰」は、血行を促進することで、肌への水分や栄養供給を促します。
肌の水分保持力が向上するので、乾燥が原因となる肌トラブルを軽減する効果が期待できます。
また、血行が促進されることで肌の代謝(=ターンオーバー)を正常化します。
当帰飲子の効果
当帰飲子は、主に乾燥が原因で発生する肌悩みを改善する効果が期待できます。
当帰飲子には、主に全身の血流を活性化させる作用があります。
血流を活性化させて、肌に水分をいきわたらせることで、皮膚の乾燥を防ぐことができます。
アトピー性のかゆみを抑える
当帰飲子には、アトピー性皮膚炎のかゆみを改善する効果が期待できます。
アトピー性皮膚炎のなかでも、冬などに現れやすい、乾燥が原因のアトピー性皮膚炎に効果を示しやすいと言われています。
乾燥性のアトピーは、肌のバリア機能が弱まり、水分が肌から失われると発症しやすくなります。
当帰飲子には、炎症をおさえる効果も期待できます。
乾燥を防ぐとともに、かゆみを抑えて、アトピー症状を緩和します。
唇と手のひび割れを防ぐ
当帰飲子は、唇や手などのひび割れの改善にも効果的です。
皮膚は乾燥すると柔軟性がなくなり、カサカサになり、ひび割れてしまいます。
特に唇は皮脂腺がないため、汗と皮脂によって潤うことがありません。そのため、身体のなかでも唇の皮はひび割れしやすい部位といえます。
リップクリームで外側から保湿するとともに、内側からの乾燥対策として当帰飲子を服用するといいでしょう。
フケの発生を抑える
当帰飲子は「乾性フケ」の発生を抑える漢方薬としても用いられます。
乾性フケは、乱暴な洗髪や、紫外線などによるダメージで、頭皮が乾燥して発生します。
また、乾性フケはかゆみを伴う場合があります。
かゆいからと、頭皮を引っ掻いてしまうと、皮膚がさらにダメージを受けてフケができやすくなってしまいます。
当帰飲子には、このかゆみに対して、抑制効果を発揮します。
かゆみを抑えながら血行促進することで、頭皮の乾燥を軽減する効果が期待できるのです。
ドライアイを防ぐ
当帰飲子は、目の粘膜の乾きにもアプローチします。
ドライアイの原因である「ドライシンドローム」を軽減する作用があるため、ドライアイの改善に有効だと言われています。
更年期の冷え性を改善する
当帰飲子は、更年期に起こりやすい症状の緩和にも効果を期待できます。
主に、以下の2つの症状を緩和すると言われています。
女性の更年期にかけては、女性ホルモンが減少する傾向にあります。
女性ホルモンが減少すると、筋肉量が低下しやすくなり、身体が熱を生み出しづらくなります。
その結果、冷え性になりやすいと言われています。
当帰飲子には、体全体の血流を促進することで、冷え性を改善する効果があるとされています。
老人性皮膚掻痒症(ろうじんせいひふそうようしょう)とは、主に65歳以上の高齢者によく見られる皮膚疾患です。
加齢に伴う皮脂の分泌量低下によって、皮脂が乾燥して、かゆみが生じます。
男性では、50代以降に発症することもあります。
老人性皮膚掻痒症に、最もよく用いられるのが当帰飲子です。
かゆみを抑えるためにステロイドなどの外用薬を長時間使用すると、皮膚が薄くなる可能性があります。
そのため、当帰飲子で肌に栄養素を補い、肌のバリア機能を強めて改善を目指すのがいいとされています。
当帰飲子の副作用
当帰飲子の服用で副作用が生じる場合があります。
大きく3つに分けて、副作用を紹介します。
胃腸が弱い場合に発生する消化器官の不調
当帰飲子の副作用で、消化器官の不調が起きることがあります。
具体的には、以下の症状などが挙げられます。
- 胃もたれ
- 消化不良
- 吐き気
- 胃痛
- 下痢
これらの症状は、特に胃腸が弱い方に現れやすいと言われています。
「低カリウム血症」による筋力低下
当帰飲子の服用で、まれに「低カリウム血症」になることがあります。
低カリウム血症は、体内のカリウム濃度が低下して、筋肉などに不調が現れます。
具体的には、以下の症状が挙げられます。
- 筋力低下
- 筋痙攣
- 倦怠感
「偽アルドステロン症」による手足のしびれ
当帰飲子の服用で、まれに偽アルドステロン症が起こることがあります。
偽アルドステロン症になると、以下の症状などが現れます。
- 手足のしびれ
- 高血圧
- 頭痛
- 脱水
低カリウム血症や、偽アルドステロン症は「甘草(カンゾウ)」という生薬を多くまたは長期間摂取すると現れやすいです。
医師の用法・用量に従えば、一般的には規定量を超えることは少ないと考えられます。
念のため薬の飲み合わせなどには、注意するといいでしょう。
これらの副作用が見られた場合は、医療機関に相談しましょう。
漢方は、市販薬と病院で処方される医薬品に分けられます。
副作用に不安を感じる方は、医薬品を選択すると、かかりつけの皮膚科に相談しやすくなるメリットがあります。
東京美肌堂では、オンラインで医師による漢方の処方を行っています。
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当帰飲子の市販薬と医薬品
当帰飲子の市販薬と医薬品をそれぞれ紹介します。
どちらも乾燥からくる皮膚のかゆみを改善する効果が期待できます。
それぞれの生薬の配合量に違いがあります。
成分 | ツムラ(処方薬) | クラシエ(市販薬) |
---|---|---|
当帰 | 5.0g | 2.5g |
地黄 | 4.0g | 2.0g |
川芎 | 3.0g | 1.5g |
芍薬 | 3.0g | 1.5g |
蒺藜子 | 3.0g | 1.5g |
防風 | 3.0g | 1.5g |
何首鳥 | 2.0g | 1.0g |
荊芥 | 1.5g | 0.75g |
黄耆 | 1.5g | 0.75g |
甘草 | 1.0g | 0.5g |
医薬品のツムラ製品のほうが、市販薬であるクラシエ製品に比べて、1包あたりのそれぞれの生薬が2倍で構成されています。
【市販】クラシエ薬品 当帰飲子 エキス顆粒
市販薬の漢方です。
成人の方で、1日3回(3包)を、食前か食間に服用するようにして下さい。
2歳以上から服用できます。
妊娠中の方や授乳中の方は、薬剤師などに相談しましょう。
【医薬品】ツムラ当帰飲子
皮膚科で処方される医薬品です。
皮膚科を受診し処方してもらうことが必要になります。
通常、成人の場合は、1日7.5gを2回~3回に分割して食前、食間に服用します。
年齢や体重、症状によって、服用量が異なる場合があります。
必ず用法用量は医師の指示に従いましょう。
当帰飲子の服用方法
次に、当帰飲子の服用方法について解説していきます。
※服用量は、個々人により異なります。薬の表示内容や処方された医師の指示従うようにして下さい。
1日3回、食前・食中に服用する
当帰飲子は、通常の成人の場合は、1日3回服用します。
ただし、個人によっては、1日2回の服用を指示される場合があります。
当帰飲子は一般的に食前または食中の服用が推奨されています。
食前に服用する場合は、食事の約30分前の服用が一般的です。
食間とは、食べ物が胃の中から無くなるタイミングを指します。
そのため、食後2~3時間程を目安に服用するのがいいでしょう。
適切な服用量は、年齢や症状によって異なります。
医薬品の場合は、医師が処方した通りの服用量を守りましょう。
市販薬の場合は、商品に記載されている用法・用量を守って服用しましょう。
一ヶ月で効果を感じられない場合は医師に相談
当帰飲子の、効果が出るまでの具体的な期間は、人それぞれです。
ただし、当帰飲子の服用を開始してから1ヶ月が経過しても効果が感じられない場合は、使用を中止しましょう。
そもそも当帰飲子が体質に合っていない、もしくは症状に対してより直接的にアプローチできる対処療法が必要な場合があります。
服用をやめたり、他の漢方や医薬品を検討する際は、事前に医師に相談するようにして下さいね。
当帰飲子と当帰芍薬散・温清飲の違い
当帰飲子と似ているといわれる漢方薬には、当帰芍薬散/温清飲が挙げられます。
ここでは、その2つの漢方薬と当帰飲子との違いを解説します。
当帰飲子と当帰芍薬散の違い
当帰飲子と当帰芍薬散は、どちらにも「当帰」の生薬が含まれています。
当帰飲子 | 当帰/川芎/芍薬/地黄/蒺藜子/防風/何首鳥/荊芥/黄耆/甘草 |
当帰芍薬散 | 当帰/川芎/芍薬/茯苓/白朮/沢瀉 |
当帰飲子は、体内の血液を循環させて、肌に水分や栄養を運ぶことで、乾燥を防ぎます。
そのため、特に、肌のかゆみ・冷え性に対して効果が期待できます。
対して、当帰芍薬散は、血の不足を補って、身体を温める効果を期待できる漢方薬です。
主要な効果は、月経痛や産前産後の貧血などと言われています。
当帰飲子と温清飲の違い
当帰飲子と温清飲は、どちらも血行を促進し、肌に栄養とうるおいを与える効果が期待できます。
そのため、どちらも肌のかゆみや乾燥を抑える効果が期待できます。
当帰飲子 | 当帰/川芎/芍薬/地黄/蒺藜子/防風/何首鳥/荊芥/黄耆/甘草 |
温清飲 | 当帰/川芎/芍薬/地黄/黄芩/黄柏/黄連/山梔子 |
当帰飲子は、乾燥によるかゆみや湿疹を軽減します。
一方で、温清飲は身体の熱による炎症やいらだち、炎症を抑える効果を持ちます。
また、温清飲は、肌が酷く乾燥している方が服用すると、かえって炎症を起こす可能性があるので注意が必要です。
アトピーの種類によっては、温清飲でアトピーの改善にも効果を期待できますが、肌が酷く乾燥してしまっているアトピーに使うと悪化する恐れがあります。
当帰飲子は専門家である医師に処方してもらうのがおすすめ
当帰飲子には市販薬もありますが、専門家である皮膚科医からの処方を受けるのがおすすめです。
症状や体質を考慮して、より体質に合う漢方の提案や個人に合った服用量の指示ももらうことができます。
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藤原東華 医師
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