トランサミンとトラネキサムの違いは何?
医薬品は、きちんと理解したうえで薬を使用したいですよね。
実は、トランサミンとトラネキサム酸の違いは、成分名か商品名かという点です。
本記事では、両者の違いと効果、副作用や市販薬などについて解説します。
この記事でわかること
- トランサミン・トラネキサム酸の違いは成分名か商品名か
- どちらも効果は同様で、のどの痛みや湿疹の緩和、メラニン色素の発生を抑制するなど
- ただし一般医薬品のトラネキサム酸は商品ごとに主要な効果が異なる場合が多い
目次
トランサミンとトラネキサム酸の違いとは
トランサミンとトラネキサム酸のそれぞれの違いを詳しく解説します。
トラネキサム酸とトランサミンは同じ効果を持つ薬
トラネキサム酸とトランサミンは、実は同じ効果を持つ薬のことを指しています。
「なぜ名前が違うのか」その理由は以下の通りです。
「トランサミン」という名称は、商品名にあたります。
トランサミンとは、トラネキサム酸をはじめとした成分を含む薬自体のことです。
一方で、「トラネキサム酸」は成分名にあたります。
トランサミンに含まれる主要成分が、トラネキサム酸です。
トランサミン(トラネキサム酸)の効果
トランサミン(トラネキサム酸)は美白効果のほかにも、さまざまな効果を持つ薬です。
具体的に、どのような症状に効果的な薬であるか見ていきましょう。
喉の痛みを抑える
ウイルス等に感染すると喉の腫れや痛みのもととなる「プラスミン」が発生します。
プラスミンは、喉の患部で増えると、炎症や痛みを引き起こす物質を誘発します。
トランサミン(トラネキサム酸)は、炎症部位のプラスミンの増加や産生を抑えることで炎症や痛みを起こす物質の発生を抑えます。
これにより、扁桃炎・咽喉頭炎・咽喉痛などの炎症や痛みを抑える効果を期待できます。
扁桃炎 | ウイルス・細菌の感染によって喉(扁桃腺)に炎症を起こす病気。喉の痛みのほか、関節痛や高熱、耳の下から首にかけての腫れや痛みなどが生じます。 |
咽喉頭炎 | ウイルス・細菌が感染して、咽喉頭(のど)の炎症を起こす病気。高熱や咳、腫れなどが伴う場合が多いです。 |
咽喉痛 | 炎症や外傷・病気などでのどに炎症を起こし痛みが生じる病気。ひどい場合は、唾液を飲み込むのがつらいほどの痛みを伴います。 |
トランサミン(トラネキサム酸)は、原因となるウイルス感染そのものを根本的に治療できるわけではないので、注意しましょう。
口内の炎症を抑える
口内の炎症は、細菌が増殖した結果、「プラスミン」が発生することで引き起こされます。
「プラスミン」が発生すると、ヒスタミンという炎症のもとやプロスタグランジン・ブラジキニンという痛みの発生を促します。
トランサミン(トラネキサム酸)は、プラスミンの増加を抑えることで、このような口内で起こる炎症を鎮める効果を期待できます。
口内炎 | 口の中の粘膜に生じる炎症の総称。頬の裏や舌など、口内の粘膜のあらゆる箇所に、プツッとできもの(腫れ)ができます。 |
歯肉炎 | 歯と歯肉の間のポケットに炎症を起こした状態で、軽度の歯周病です。歯ぐきの赤みや痛みを伴います。 |
口内の炎症は、ストレス・栄養不足・口の中を噛んでしまうなどがきっかけで、発生しやすくなるため注意しましょう。
メラニン色素の発生を抑える
トランサミン(トラネキサム酸)は、代表的なシミの治療薬の一つです。
シミのもととなるメラニン色素の増加を抑える作用で、いくつかの種類のシミの改善に効果を発揮します。
シミは紫外線のダメージによって、発生したり濃くなることがあります。
紫外線のダメージを受けると、シミのもととなる色素「メラニン」が活性化されます。
トランサミン(トラネキサム酸)は、メラノサイトを活性化させる因子の「プラスミン」「プロスタグランジン」といった物質の働きを抑えることで、シミの発生や悪化を防ぐことができます。
この働きによって、そばかす・老人性色素班の予防や改善に効果を期待できるのです。
トランサミン(トラネキサム酸)は肝斑の改善効果が認められている成分です。
肝斑とは、主にホルモンバランスの乱れによって顔の左右対称にぼんやりと現れるシミの一種です。
レーザー治療の種類によっては、肌への刺激となり、かえって悪化してしまう場合もある肝斑。
内服薬での治療は、外部の刺激によって肝斑を悪化させるリスクを防げるのが嬉しいポイントです。
湿疹およびその類症を緩和する
トランサミン(トラネキサム酸)は、湿疹や蕁麻疹(じんましん)の治療にも用いられます。
アレルギーの原因となる物質の生成を助ける「プラスミン」の働きを抑制することで、アレルギーを抑える効果を発揮します。
蕁麻疹とは、皮膚の一部が突然赤く盛り上がり発疹が出る病気で、かゆみを伴うことがあります。
一方で、そう痒とは、発疹や湿疹がないのに、かゆみが出る症状を指します。
トランサミン(トラネキサム酸)は、炎症を引き起こすプラスミンの働きを抑えることで、蕁麻疹やそう痒の症状を和らげます。
腫脹(しゅちょう)とは、炎症などが原因で組織や器官の一部に血液成分が溜まり、腫れが生じる症状の総称です。
トランサミン(トラネキサム酸)の炎症を抑える効果は、腫脹の症状の緩和に働きかけます。
薬疹とは、通常は薬に対するアレルギー反応が皮膚に現れる副作用のことです。
よく見られる症状には、発赤・ふくらみ・かゆみなどが挙げられます。
また、中毒疹は顔や身体に、左右対称に赤い発疹が多く現れる症状を指します。
原因は、薬剤もしくはウイルスや溶連菌などの感染症であることが多いと言われています。
トランサミン(トラネキサム酸)のアレルギーを抑える作用は、これら薬疹・中毒疹を緩和する効果を期待できます。
出血を抑える
トランサミン(トラネキサム酸)には、「プラスミン」という血液を溶かす働きを抑える作用によって、止血作用を発揮します。
そのため「抗プラスミン薬」と呼ばれることもあります。
この働きによって、怪我による出血や生理時の出血量を調節するのに効果的な場合があります。
ただし、トラネキサム酸の使用には注意が必要です。
血液凝固を促進する性質があるため、血栓性疾患の既往歴のある状態ではリスクを増加させてしまう側面も持ちます。
自身が血栓症を起こす恐れがある状態の場合は、服用を検討する前に必ず医師と相談するようにしましょう。
トランサミン(トラネキサム酸)は、怪我の出血を抑える効果を期待できます。
また、炎症を抑える作用で、怪我による腫れや炎症を抑える効果も期待できます。
トランサミン(トラネキサム酸)の止血作用や炎症を抑える作用は、生理(月経)に関する悩みを和らげる効果も期待できます。
具体的には、生理痛の緩和や、経血量を減らすケースがあると考えられています。
特に、生理痛や生理時の出血量が多いことにお悩みの方で、服用を希望される場合は、婦人科の医師に相談しましょう。
トランサミン(トラネキサム酸)の副作用
トランサミン(トラネキサム酸)の服用では、まれに副作用が出ることがあります。
ここでは、医療用医薬品のトランサミン(トラネキサム酸)の服用で生じる可能性のある副作用の症状を紹介します。
食欲不振
食欲の低下は軽度の場合が多く、投与を中止することで回復していくと言われています。
しかし、長期にわたり続く場合は医師や薬剤師に相談するようにしましょう。
胸やけ・吐き気などの副作用の症状が出る場合もあり、それが食欲不振につながる可能性もあります。
吐き気・嘔吐・下痢
副作用として、吐き気・嘔吐・悪心などの症状が現れる場合があります。
吐き気や下痢が続く場合は、服用を中止すべきか医師に相談しましょう。
痙攣(けいれん)
痙攣(けいれん)は手足の筋肉が勝手に動いたり、細かく震えたりしてしまう症状です。
重篤な副作用にあたいするため、痙攣が現れた場合は、ただちに医師に相談しましょう。
トランサミン(トラネキサム酸)の市販薬
市販薬でもトランサミン(トラネキサム酸)は、手に入れることができます。
それぞれ効果・効能が異なる場合があるため、症状や用途に応じて、選びましょう。
薬局やドラッグストアで薬剤師の方に相談し、副作用等を確認したうえで、購入することを推奨します。
喉の腫れ・痛みなどに効果的
ペラックT錠は、トラネキサム酸を750mg配合したかぜ薬です。
主な効果・効能は、喉の痛みや炎症・発熱・関節痛などのかぜの諸症状の緩和です。
15歳未満の方の服用はできません。
「ハレナース」に含まれるトラネキサム酸とカンゾウエキスの2つの抗炎症成分で、扁桃腺の腫れを鎮めます。
そのほか、口内炎を緩和する効果も期待できます。
7歳未満の方は服用できません。
シミ・肝斑に効果的
トランシーノEXは、主成分をトラネキサム酸とする内服薬です。
OTC医薬品(処方箋がなくても購入できる医薬品)のなかで、唯一肝斑の改善効果が認められている成分が配合されています。
8週間継続的に服用することで肝斑の改善効果に期待できます。
15歳未満の方は服用できません。
医療用のトランサミン(トラネキサム酸)を購入したい人は皮膚科へ
市医療用のトランサミン(トラネキサム酸)を購入したい場合は、医療機関で診察を受ける必要があります。
医療機関では、錠剤をはじめとする経口剤型のほか、点眼薬、歯肉用軟膏など、使用目的に応じた様々な剤形で処方されることがあります。
症状によって、かかる医療機関も異なるため、自分の症状では、どこにかかるべきか事前に確認しましょう。
美肌目的で、服用したい場合は美容皮膚科で受診しましょう。
美肌目的での服用では長期の服用で効果を実感しやすく!
トラネキサム酸(トランサミン)は飲み続けても大丈夫ですか?
長期的に服用しても特別問題はありません。
しかし、トランサミンの長期服用による血栓リスクが心配なようでしたら、3ヶ月や6ヶ月に一度休薬期間を設けて頂く方法もありますので、医師にご相談ください。
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東京山手クリニック
藤原東華 医師
当院は「あなたのお肌のかかりつけ」をコンセプトに、皆さんのお肌を作り直すサポートをしていきたいと考えております。ただ肌悩みを改善するだけではなく、健康で美しいお肌を取り戻し、笑顔で日々を過ごせるよう、お手伝いさせていただければ幸いです。