ほくろはなぜできる?自然に消える方法はある?増える原因や除去方法を解説

ほくろは、なぜ急にできるの?

年々ほくろが増えたり、大きくなって目立ったりして、悩むことがあると思います。
ほくろは、肌内部の細胞が皮膚の一部分に集中し、塊を形成することによってできます。

本記事では、ほくろができるメカニズムから、ほくろの除去方法・予防法、ほくろに似ている症状まで、まとめて解説します。

この記事でわかること

  • ほくろは肌内部の細胞が一部分に集中することによって発生する
  • メラニン色素の量が多いと、ほくろが濃くなる
  • ほくろは放置していても自然に消えることはない
この記事の著者

ARK SKIN CLINIC

吉武 彰子先生

美容皮膚科

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ほくろはなぜできる?自然に消える可能性とは

皆さんは、いつの間にかできていたほくろに気づいたことがあるのではないでしょうか。
そんなとき、「なぜほくろができてしまうのか」「ほくろは自然に消えていくのか」といった疑問を抱えたことがあるかもしれません。

まずは、上記の問いの答えを詳しく解説します。

Q.ほくろはなぜできるの?

ほくろは、肌内部の細胞が皮膚の一部分に集中し、塊を形成することによってできます。
細胞が、皮膚の一部分に集中してしまう具体的な理由は解明されていません。

細胞は、さまざまな要因によって、皮膚の一部に集中してしまうことがあると考えられています。
紫外線のダメージを多く受けることも、その一因です。

Q.ほくろは自然に消える?

ほくろが自然に消えることは、基本的にはありません。

ほくろは、肌内部で、細胞そのものが集まってできているものです。
スキンケアや治療薬によって、細胞の塊を分解することはできないため、自然に消えることはありません。
また、自分で取り除こうとすると肌を傷つける恐れがあるため、注意しましょう。

ほくろができるメカニズムと増える理由

ほくろができるメカニズムには、3つのメラニン生成に関わる要素が影響します。
メラノサイト・母斑細胞・メラニン色素の3つの要素です。

メラニン色素 シミのもとにもなる茶色・黒色の色素
メラノサイト メラニン色素を生成する働きを持つ細胞
母斑細胞 メラノサイトが変質してできる細胞

以下で、ほくろができる過程を2段階で解説します。

1.細胞が一部分に集中する

ほくろは、メラノサイトや母斑細胞が、表皮付近の一部分に集中することで発生します。
細胞が、一部分に集中する理由と、メラノサイトが母斑細胞に変質する原因は、判明していません。

ただし、母斑細胞はメラノサイトの数が増えると、できやすくなるとも考えられます。
母斑細胞は、メラノサイトが形質を変えた状態の細胞であるためです。

2.メラニン色素が生成される

一度できたほくろの色は、母斑細胞がメラニン色素を生成することで、濃くなります。

メラノサイトや母斑細胞が一部分に集まった段階で、色の濃いほくろが出現する場合もあります。
ただし、この時点で、色が薄いとほくろができたことに気づかない場合もあるかもしれません。

メラノサイトと母斑細胞には、シミのもととなる茶色や黒色の色素(メラニン色素)を生成する働きがあります。

そのため、一部分に集中したメラノサイトと母斑細胞が、メラニン色素を生成することで、ほくろが黒色や茶色になり、濃くなると考えられています。

ほくろができやすい人の特徴

ほくろは、遺伝的な要因でできることもありますが、他の外部要因でできやすくなることも考えられます。
この章では、ほくろができる要因の一つである、メラニン色素やメラノサイトが増えやすい人の特徴を解説します。

特に、ほくろが多い人は、以下の特徴に当てはまっている可能性が高いと言えます。

紫外線を多く浴びている

紫外線を多く浴びている人は、ほくろができやすくなると考えられます。
紫外線のダメージで、メラニンやメラノサイトが増加すると、細胞の集中を引き起こしやすくなると考えられるためです。

メラニンには、紫外線を吸収する性質があります。
紫外線を浴びると、紫外線のによるダメージから肌細胞を守るために、メラノサイトでメラニンが多く生成されます。

また、メラニン色素を生成する細胞であるメラノサイトの数自体も増えます。
そのため、メラノサイトの数が増えると、メラニン色素の生成量が増えてしまいます。
メラニン色素が活発に生成されると、ほくろの色自体も濃くなってしまいます。

そのため、紫外線を多く浴びると、濃い色のほくろの生成率を高めてしまいます。

一般的に、ほくろは、顔>首>腕>体幹(胸・腹部・背中)>脚の順に、できやすいと言われています。
これは、紫外線の影響を受けやすい部位ほど、ほくろが出現しやすいとも考えられます。

過度に肌へ刺激を与えている

日常的に肌に刺激が多く加わっていると、ほくろができやすくなると考えられます。
肌は刺激を受けると、肌細胞を守るために、メラノサイトが増え、メラニン色素の生成が促進されるためです。

クレンジングや洗顔、メイク時の摩擦は、肌への刺激となります。
これにより、細胞の集中やメラニン色素の蓄積が起こると、濃いほくろができやすくなります。

特に、顔にほくろが増えたと思う女性は、毎日のメイクなどで、顔を擦りすぎていないか振り返ってみましょう。

ホルモンバランスが乱れている

ホルモンバランスが乱れていると、ほくろができやすくなると考えられます。

ホルモンバランスが乱れると、プラスミンという物質が作られます。
プラスミンは、情報伝達物質であり、メラノサイトを活性化させる働きがあります。
メラノサイトが活性化されると、メラニン色素が多く生成されます。
これにより、黒色や茶色などの目立ちやすいほくろができやすくなってしまいます。

ストレスが多い

ストレスが多い人は、ほくろができやすくなる場合があります。

ストレスが多いと、自律神経のバランスが乱れ、血流が悪化します。
血流が悪化すると、細胞に十分な栄養が行き渡らなくなり、肌のターンオーバーが乱れます。

肌の余分なメラニン色素は、肌のターンオーバーが乱れると排出されず、滞ったままになります。
その結果、ほくろができやすくなると考えられます。

遺伝が要因で生まれつきできやすい

生まれつきほくろができやすい人もいると考えられています。
これには、遺伝による子供の頃からの体質が関係しています。

例えば、生まれつき肌が薄い人は、紫外線や摩擦などによるダメージを受けやすい肌質です。
この場合、肌をダメージから守るために、メラノサイトの数が増えやすいと考えられます。

また、ほくろの多さは、優性遺伝で子に引き継がれると言われています。
つまり、両親のどちらか一方がほくろの多い体質であった場合は、ほくろの多さが遺伝する可能性が高いと言えます。

妊娠している

妊娠中の人は、ほくろができやすいと考えられます。
その理由は、妊娠中に体内でメラニン生成が促進されるためです。

妊娠期間中は、女性ホルモンの一種であるプロゲステロンの分泌量が増加します。
プロゲステロンは、メラノサイト(メラニン色素を生成する細胞)を活性化させる「プラスミン」という物質の生成を促します。
その結果、メラニン色素の生成が盛んになります。

メラニン色素が増えると、ほくろの色が濃くなり、新しいほくろもできやすくなります。
そのため、妊娠中は濃い色のはっきりとしたほくろが目立つようになる可能性があります。

40歳以上である

40歳以上の人は、ほくろができやすい可能性があります。
加齢によって、肌のターンオーバーの周期が遅くなるためです。

通常、肌のターンオーバーは、20代で約28日の周期で行われます。
しかし、40代になると、ターンオーバーの周期は約45日になると言われています。

肌のターンオーバーでは、肌表面の肌細胞が生まれ変わり、メラニンや古い角質がアカとなって排出されます。
そのため、肌のターンオーバーの周期が遅くなると、メラニン色素の排出などが滞り、濃いほくろができやすくなります。

ほくろができるのを予防する方法

ここからは、ほくろができるのを予防する方法を解説します。

ほくろができやすくて悩んでいる方は、以下の内容を実践してみてください。

紫外線対策をする

ほくろの発生を予防するための有効な方法は、紫外線対策をしっかりと行うことです。

紫外線を過剰に浴びると、肌細胞を守るためにメラノサイトの数が増加し、ほくろができやすくなってしまいます。

紫外線対策は一年を通して行う必要があります。

一般的に紫外線が強いのは夏だけと思われがちですが、実は冬でも一定量の紫外線が肌に当たっています。
だからこそ、日焼け止めクリームの使用や帽子の着用など、年間を通した対策が大切なのです。

肌への刺激を避ける

ほくろの発生を抑えるためには、肌への過度な刺激を避けることが大切です。

顔を擦ったり、触ったときに生じる摩擦は、肌に刺激を与えます。
過度に肌に刺激が加わると、肌細胞を守るために、メラノサイトの数が増え、ほくろの原因となってしまいます。

クレンジングや洗顔をする際は、ゴシゴシと擦らず、優しく肌を撫でるように行いましょう。

美白有効成分のある化粧品を使う

ほくろの発生ができるのを予防するには、美白有効成分を含む化粧品を使用しましょう。

美白有効成分とは、美白効果のある成分として厚生労働省の認可を受けている成分です。
メラノサイトの働きを抑制し、メラニン色素の生成を妨げます。

具体的には、ビタミンC誘導体、プラセンタエキス、アルブチン、トラネキサム酸などの成分が挙げられます。

おすすめの化粧水

美白有効成分である、ビタミンC誘導体とトラネキサム酸が配合されています。弱酸性で、なおかつ無香料・無着色・鉱物油フリー・アルコールフリーなので、肌質を問わずに使用しやすい商品です。

おすすめの美容液

美白有効成分である、ビタミンC誘導体が多く配合されています。ビタミンCといっしょに使用すると相乗効果を発揮するビタミンE誘導体(トコフェロール酢酸エステル)も配合されています。

ビタミンを摂取する

新しいほくろを作らないためには、ビタミンを積極的に摂取しましょう。
特に、ビタミンCを摂るのがおすすめです。

ビタミンCには、メラニン色素の生成を抑制する働きがあります。
メラニン色素の生成を抑制することで、ほくろの色が濃くなるのを予防できるため、色が濃く目立つほくろの発生を防ぐことができます。
成人の1日のビタミンCの摂取目安量は、100mgですが、美容効果を実感するには1,000mg程度のビタミンC摂取が必要と言われています。

ビタミンCを多く含む食材の例
1食の目安量(可食部) ビタミンC(mg)
パプリカ(赤) 1個(100g) 170
ゆず 1個(100g) 160
キウイフルーツ(黄) 1個(80g) 140
ブロッコリー 1株(250g) 140
いちご 1個(75g) 62
パセリ 1枝(5g) 6
食品成分データベースより
ビタミンCを多く含むサプリ

ビタミンCに加えて、ビタミンCの働き助けるビタミンB2も含有されているサプリ。
食事からの摂取が難しい場合は、サプリから栄養を摂取するのがおすすめです。朝と夜、2回に分けて飲みましょう。

できたほくろの除去・治療方法

既にできたほくろは、自分で除去する方法はありません。
無理に取り除こうとすると肌を傷つける可能性があるので、やめましょう。

そのため、一般的なほくろは、美容皮膚科での除去治療が必要となります。

治療法は、ほくろの大きさや深さによって異なります。
治療法や個人によっても、ダウンタイムが発生する場合があるので、事前に医師に確認するといいでしょう。

吉武先生
吉武先生

当院「アークスキンクリニック」では①CO2レーザーで削る②ピコレーザーで黒色を取るという2つの方法でほくろ除去を行っています。ぜひご相談ください。

レーザー治療

直径1mm以下の表面が平らなほくろの除去には、レーザー治療を用いることが多いです。

ほくろの除去には、レーザー治療のなかでも、CO2レーザー(炭酸ガスレーザー)が用いられることがあります。
レーザー光の力で、ほくろを削り、メラニン色素を除去します。
ほとんどの場合、1回の手術で除去することができると言われています。

また、他の施術と比較すると、小さな傷で治りが速い、痛みや出血がない、ほとんど跡が残らない傾向にあります。

電気分解法

直径6mm以下の盛り上がったほくろの除去には、電気分解法を用いることが多いです。

電気分解法は、電気メスの熱エネルギーでほくろを焼く治療方法です。
ほとんどの場合、1回の手術で除去することができると言われています。

また、他の施術と比べると、手術時間が短く、手術後の出血がほとんどない傾向にあります。

切除縫合法

直径6mm以上の大きなほくろ除去には、切除縫合法が用いられることが多いです。

切除縫合法は、ほくろをメスで切り取り、周辺の皮膚を引き寄せ縫合し、完全に傷を閉じる治療です。
縫い合わせた後には、抜糸が必要なので、手術後に再度通院する必要があります。

再発の可能性は低いですが、抜糸直後は、線状の跡が残りやすい期間があります。

くり抜き法

直径6mm以下で、比較的皮膚の深くまで、メラニン色素が影響しているほくろの除去には、くり抜き法が用いられることが多いです。

ほくろの形にあわせて切開をし、円形にくり抜きます。
基本的に手術後は縫合はせずに、軟膏とテープを使って傷口を保護します。

ある程度深くまでくり抜くことができるため、再発の可能性が少なく、小さなほくろの場合は、傷跡になりにくい傾向にあります。

急にできたほくろは病気?似ている皮膚の変化

ほくろがある日突然、急にできるということは考えにくいです。
ほくろは、メラノサイトや母斑細胞が徐々に一部分に集中することで発生します。

ほくろのような見た目でも、急にできた場合は、悪性のがんや違う症状である可能性が考えられます。
この章では、ほくろに似た皮膚の症状を紹介します。

悪性黒色腫(メラノーマ)

悪性黒色腫(メラノーマ)は、皮膚がんの一種で、メラノサイトが悪性化してできる腫瘍です。
できたばかりの時期は、ほくろと見た目が似ているため、区別が難しいと言えます。

以下の特徴があるほくろは悪性黒色腫である可能性があるため、病院で検査を受けましょう。

  • ほくろの形が左右非対称である
  • ほくろと正常な皮膚の境がギザギザしている
  • ほくろの形が丸や楕円形ではない
  • 黒や褐色、赤などさまざまな色が混ざっている
  • 大きさが直径6㎜以上ある
  • 形や大きさが日を追うごとに変化している

手のひらや足の裏などにこのような特徴を持ったほくろがある場合には、悪性黒色腫の可能性が高いです。
悪性黒色腫は、放っておくと比較的早い段階で転移する恐れがあるため、早期発見・早期治療が重要になります。

基底細胞がん

基底細胞がんとは、皮膚がんの一種です。
40歳をすぎると発生確率が高まり、とくに高齢者に多く出現しやすい傾向にあります。

「表在型」と呼ばれるタイプはシミのように平面的で淡い紅色をしています。
日本人に多い「結節・潰瘍型」の発生初期には、黒い色をしているためほくろと見間違えやすいことがあります。
ほくろに比べると、表面がツヤツヤとしているのが特徴です。

紫外線があたりやすい顔によく作られますが、他の部位にできることもあります。

転移するケースは多くありませんが、放置すると表面が崩れて潰瘍化(※)してしまうため、気づいた時点で病院で検査を受けましょう。

※潰瘍化とは、粘膜や皮膚の表面が炎症を起こしてくずれ、できた傷が深くえぐれたようになった状態。

母斑

母斑(ぼはん)は、一般的には「あざ」として知られているものです。
皮膚に生じる腫瘍の一つで、メラニン色素が蓄積することで発生します。

皮膚の細胞の異常で、色が赤や青、茶になったり、隆起したりします。
健康上の問題は、ほとんどありませんが、なかには年齢に伴い拡大し、色が濃くなるものもあります。

主にレーザー治療で取り除くことが多いため、治療したい方は、美容皮膚科で一度相談しましょう。

脂漏性角化症(老人性イボ)

脂漏性角化症は、褐色〜黒色の良性腫瘍です。

「老人性イボ」とも呼ばれるように、皮膚の老化や、紫外線のダメージによって生じます。
シミの一種でもあり、多くは、40代以降に現れます。
表面は、ざらついているのが特徴です。

主にレーザー治療で取り除くことが多いため、治療したい方は、美容皮膚科で一度相談しましょう。

老人性色素斑

老人性色素斑は、一般的なシミに該当するものです。
肌の層に蓄積したメラニン色素が肌表面に押し上げられ、色素沈着が現れた状態です。

「老人性」と名前がついていますが、早ければ20代などに現れ、30代以降の年代では、多くの人に発生します。
紫外線のダメージによって、できやすくなるため、顔面・手の甲など、紫外線にあたる部位に現れやすいです。

スキンケアや医薬品によって、肌のターンオーバーを正常化させることで、改善を目指します。

老人性色素斑の詳しい改善方法についてはこちら

ほくろは自然に消えないので美容皮膚科へ

一度できたほくろは、自然に消えることはありません。
また、自分で除去しようとすると肌を傷つける恐れがあります。
そのため、ほくろを取りたい場合は、美容皮膚科を受診してください。

自分の肌にできた「ほくろ」と思っているものは、悪性の腫瘍である可能性もあります。
悪性腫瘍の場合は、できるだけ早く取り除くことが必要になります。
自分の症状を正しく見分けるためにも、まずは専門医に相談することがおすすめです。

直接、美容皮膚科に通うのが難しい方は、まずはオンラインで相談してみるといいでしょう。

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