十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)を知っていますか?
十味敗毒湯は、ニキビの改善効果が期待できる漢方の一つです。
他にも、湿疹や水虫など、膿を持つ皮膚症状の改善に役立ちます。
今回は、十味敗毒湯の効果や副作用について解説していきます。
服用前に、十味敗毒湯について理解しておきましょう!
この記事でわかること
- 十味敗毒湯は10種類の生薬で構成された漢方薬
- 主に化膿性の皮膚疾患を改善する効果を持つ
- 副作用や服用における注意点があるため医療機関で処方を受けるのが安心
目次
十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)とは?
十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)は、皮膚の化膿や炎症を抑える効果が期待できる漢方薬です。
まずは、十味敗毒湯の成分や服用の相性が良い人を紹介します。
10種類の生薬からできている漢方薬
十味敗毒湯は、10種類の生薬から構成される漢方薬です。
生薬(しょうやく)とは、動植物をはじめとした天然由来の薬効がある原料を使って作られた薬です。
漢方とは、原則2種類以上の生薬を組み合わせた薬のことを指します。
十味敗毒湯には、以下の10種類の生薬が配合されています。
柴胡(さいこ) | 解熱・消炎・鎮静・鎮痛 |
川芎(せんきゅう) | 血流改善(生理不順・生理痛の改善) |
桔梗(ききょう) | 抗炎症・排膿 |
防風(ぼうふう) | 消炎・解熱 |
甘草(かんぞう) | 抗炎症・鎮痛 |
荊芥(けいがい) | 解熱・解毒 |
独活(どくかつ) | 鎮痛・消炎 |
生姜(しょうきょう) | 抗炎症・抗菌・消化促進 |
茯苓(ぶくりょう) | 鎮静・利尿・消化促進 |
樸樕(ぼうそく)/ 桜皮(おうひ) |
排膿・解毒 |
基本的には、上記の組み合わせの傾向にありますが他の配合で構成される場合もあります。
化膿や炎症を起こしやすい方に相性の良い漢方薬
十味敗毒湯は、皮膚に化膿や炎症を伴う肌トラブルが現れやすい方に相性の良い漢方薬です。
具体的には、以下に多数当てはまるほど、服用の相性が良い傾向にあります。
十味敗毒湯には、主に抗炎症作用や、鎮静作用があるため、皮膚の炎症や化膿の改善効果を期待できるのです。
十味敗毒湯の効果
十味敗毒湯は、皮膚の炎症や感染症の治療に効果的です。
それぞれ、どのような症状に効果を発揮するのか一つずつ紹介します。
化膿しやすい体質の改善
十味敗毒湯は、主に化膿しやすい体質の改善に効果を発揮します。
化膿しやすい方は、血行不良や栄養不足、また、皮膚の免疫力が弱っている可能性が考えられます。
「皮膚は内臓の鏡」と言われることもあるほど、体質や身体の健康状態は、皮膚の状態に影響を与えます。
十味敗毒湯には、余分な熱を取り除く解熱作用や、たまっている「水(すい)※」を発散させる作用があります。
これにより、化膿しやすい体質の改善効果が期待できるのです。
※中医学の定義で体内にある血液以外の水分のことを指します。具体的には、体液・リンパ液・涙・尿などを指します。
皮膚疾患自体の改善
十味敗毒湯は、化膿しやすい体質改善に効果を示すのに加えて、皮膚疾患そのものを改善する効果があります。
大きくは以下の3つの皮膚疾患に効果を示します。
十味敗毒湯は、ニキビや吹き出物の改善効果があります。
十味敗毒湯に配合される生薬には、体内の膿を排出し、皮膚の炎症を抑える効果があるためです。
特にニキビの場合は、炎症を伴う赤ニキビ、膿を持つ黄ニキビに効果的です。
抗菌作用があり、炎症を伴うニキビの原因となるアクネ菌の繁殖を防ぐ効果があります。
炎症を伴わないニキビの治療にも、一定の効果は発揮しますが、推奨はされていません。
また、慢性的に発生しているニキビには、あまり効果を発揮しないと報告があります。
皮膚のかゆみは、炎症やアレルギー反応で起こりやすくなります。
また、体温が上昇することでも、血管が拡張されて、神経が過敏になることで、かゆみが増す傾向にあります。
十味敗毒湯に含まれる生薬には、炎症を鎮め、熱を発散する作用があります。
これにより、かゆみを伴う皮膚炎・湿疹・じんましんを改善します。
また、かゆみの他にも、皮膚の赤みや腫れの改善にも有効です。
十味敗毒湯は、水虫の症状緩和にも用いられます。
症状としては、足に水疱(すいほう)と呼ばれる水膨れができます。
水虫は、カビの一種である白癬菌(はくせんきん)が、皮膚に寄生することで生じる皮膚疾患です。
白癬菌は暖かく、湿度が高い環境を好んで繁殖します。
十味敗毒湯は、体内の余分な水や熱を排出する作用を持つため、じゅくじゅくとした皮膚患部の治療が得意です。
これにより、水虫の症状を改善させる効果が期待できます。
十味敗毒湯で痩せたと言われる理由
十味敗毒湯を調べていると、痩せたという情報を見かけて、真相が気になっているかもしれません。
実際に、十味敗毒湯に痩せる効果は、医学的に認められていません。
痩せたと言っている方がいるとしたら、副作用による症状が現れているサインかもしれません。
十味敗毒湯の副作用には「食欲不振」が挙げられます。
これにより、服用中に食事量が減ったことで、痩せたと言われていることがあると考えられます。
十味敗毒湯はダイエット目的での処方ではありません。
痩せるために、十味敗毒湯を服用するのは、やめましょう。
十味敗毒湯の副作用
十味敗毒湯の服用では、大きく分けて、3つの副作用が生じる場合があります。
以下のような副作用が生じた場合は、服用を中止し、医師や薬剤師に相談しましょう。
アレルギー反応によるかゆみ・発疹
十味敗毒湯の服用で、アレルギー反応でかゆみ・発疹が現れることがあります。
配合される生薬に対して、アレルギー反応を引き起こすためです。
自身の免疫が、生薬の成分に過剰反応していることが原因で起こります。
十味敗毒湯は本来、かゆみ・発疹などを改善する効果があります。
しかし、服用してから、症状がひどくなった場合は、副作用の影響を視野に入れて、医師に相談しましょう。
胃腸障害による吐き気や食欲不振
十味敗毒湯の副作用で、胃腸障害や食料不振が報告されています。
十味敗毒湯に含まれる生薬が、胃腸に負担になる恐れがあるためです。
胃腸への負担が、胃腸障害を引き起こし、吐き気や食欲不振につながるのです。
偽アルドステロン症による血圧上昇
十味敗毒湯の服用で、「偽アルドステロン症」を引き起こすことが稀にあります。
偽アルドステロン症とは、血圧上昇やむくみ、脱力感などの症状が生じる疾患です。
配合生薬の甘草には、グリチルリチン酸が含まれています。
グリチルリチン酸は、ホルモン代謝を阻害する作用で、偽アルドステロン症が引き起こされることがあるのです。
十味敗毒湯には、甘草が含まれていますが、単体の服用で、偽アルドステロン症を発症することは稀と言われています。
しかし、漢方を併用する場合や、甘草の1日の容量が2.5gを超える場合は、発症のリスクが高まるため、注意しましょう。
十味敗毒湯の服用方法
十味敗毒湯を服用する前に、正しい服用方法を理解しておきたいですよね。
ここでは、一般的な服用方法について解説しているので、参考にしてください。
1日2~3回食前または食間に服用する
十味敗毒湯は、成人が1日に2〜3回、食前または食間に服用することが一般的です。
市販薬の場合、年齢に応じて服用量が決められていることが多いです。
医薬品の場合は、症状や状況によって、個々に用量が異なることがあります。
もし、食前や食間に服用するのを忘れた場合は、基本的には食後に服用しても問題ないと言われています。
水または白湯で服用する
十味敗毒湯は、水や白湯で服用しましょう。
十味敗毒湯に含まれる生薬成分は、水や白湯で溶けやすく、体内への吸収が良くなります。
特に白湯は胃腸の温度を下げないため、より効果的な薬の成分の吸収の助けになります。
十味敗毒湯の使用上の注意点
漢方薬は、継続的に正しく服用することが重要です。
この章では、十味敗毒湯の使用上の注意点について紹介します。
5才未満は服用できない
十味敗毒湯は、一般的に5才未満の子供には使用が推奨されていません。
子供は大人と比較すると、抵抗力が弱く、内臓の働きも薬の服用に対して十分でないことが懸念されます。
生薬の成分の影響を大人と比較して受けやすい恐れがあるので、服用を検討する場合は、小児科医に相談しましょう。
胃腸や体の弱い人は服用できない場合がある
胃腸が弱い方や体力が低下している方には、十味敗毒湯の服用が適さない場合があります。
漢方薬の成分が胃腸に負担をかけ、消化不良などを引き起こしやすくなると考えられるためです。
服用を開始する前に、医師や薬剤師に相談し、自身の体調に合った漢方薬を選ぶことが大切です。
医師の治療を受けている人は事前に相談する
現在医師の治療を受けている方は、十味敗毒湯を服用する前に必ず主治医に相談してください。
他の薬との相互作用や、治療方針に影響を及ぼす可能性があります。
ですので、自己判断での服用は避けましょう。
妊娠中または妊娠の可能性がある方は事前に相談する
妊娠中の方や妊娠の可能性がある方は、十味敗毒湯を服用する前に、必ず医師に相談しましょう。
現在、漢方薬の成分が、胎児に悪影響を及ぼしたという報告はありません。
ですが、妊娠中の薬の服用は、より安全に配慮する必要があります。
自己判断での服用は避け、必ず医師の指示に従いましょう。
薬の服用で発疹・発赤・かゆみが現れたことがある方は服用を検討する
過去に薬の服用で発疹や発赤、かゆみが現れたことがある方は、十味敗毒湯の服用を慎重に検討する必要があります。
薬の服用で起こるかゆみなどの症状はアレルギー反応の可能性があり、同様の反応が再発するリスクが考えられます。
特に、同じ生薬が配合されている漢方で副作用が現れたことがある方は要注意です。
服用前に、医師や薬剤師に過去のアレルギーの発症を伝え、適切な指導を受けましょう。
1週間~1ヶ月服用しても症状がよくならない場合は服用を中止する
十味敗毒湯を1週間から1ヶ月間服用しても症状が改善しない場合は、服用を中止し、医師に相談することをお勧めします。
漢方の効果を実感するまでの期間は個人差がありますが、速い場合で数日間、一般的な場合で1ヶ月程度と言われています。
効果を実感するまでに数か月程度要する方もいますが、なかなか効果が見られない場合は、薬が合っていない可能性が考えられます。
その場合は、別の治療法や薬剤が必要かもしれません。
また、十味敗毒湯に含まれる甘草の長期服用では、副作用のリスクが高まる可能性があるため、早めの対応が重要です。
飲み物の種類によっては吸収に悪影響を与える
十味敗毒湯は、複数の生薬から構成されています。
飲み物との相性によっては、吸収に悪影響を与える可能性があります。
以下のような飲み物では服用しないようにしましょう。
十味敗毒湯の吸収に影響を与える飲み物として、コーヒーや紅茶が挙げられます。
カフェインやタンニンが含まれており、漢方薬の成分の吸収を妨げる可能性があります。
緑茶や牛乳は、十味敗毒湯の吸収に悪影響を与えることがあります。
緑茶に含まれるタンニンや牛乳に含まれるカルシウムが、漢方薬の成分と結合し、その吸収を阻害する場合があるためです。
市販の十味敗毒湯
十味敗毒湯には、処方薬と市販薬があり、市販でも購入することができます。
十味敗毒湯を販売している漢方薬としては、「ツムラ」と「クラシエ」の製品が挙げられます。
錠剤タイプの「クラシエ」
市販薬の十味敗毒湯の錠剤タイプには「クラシエ」の商品が挙げられます。
生薬 | 含有量 |
---|---|
柴胡(さいこ) | 1.5g |
川芎(せんきゅう) | 1.5g |
桔梗(ききょう) | 1.5g |
防風(ぼうふう) | 1.5g |
茯苓(ぶくりょう) | 1.5g |
桜皮(おうひ) | 1.5g |
独活(どくかつ) | 0.9g |
荊芥(けいがい) | 0.9g |
甘草(かんぞう) | 0.9g |
生姜(しょうきょう) | 0.6g |
顆粒タイプの「ツムラ」
市販薬の十味敗毒湯の顆粒タイプには「ツムラ」の製品が挙げられます。
生薬 | 含有量 |
---|---|
桔梗(ききょう) | 1.5g |
柴胡(さいこ) | 1.5g |
川芎(せんきゅう) | 1.5g |
茯苓(ぶくりょう) | 1.5g |
樸樕(ぼうそく) | 1.5g |
独活(どくかつ) | 0.75g |
防風(ぼうふう) | 0.75g |
甘草(かんぞう) | 0.5g |
荊芥(けいがい) | 0.5g |
生姜(しょうきょう) | 0.5g |
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この記事では、十味敗毒湯について解説しました。
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