温清飲はアトピーに効くの?肌への効果や副作用を解説

温清飲(うんせいいん)は、炎症を抑えて、肌の乾燥をやわらげる漢方薬です。

  • アトピーがひどい
  • 肌が乾燥してカサカサしている

肌が弱く荒れやすいなどのお悩みをお持ちの方に、有効な処方です。

今回は、温清飲の効能や副作用について解説します!

この記事でわかること

  • 温清飲は体のほてりを取り除き、血行を改善する漢方薬
  • 肌のかさつき・くすみ・赤みなどの改善効果が期待できる
  • 副作用や服用における注意点の観点から医療機関で処方を受けるのが安心

温清飲(うんせいいん)とは

温清飲は、肌トラブルの改善や神経系を整えるのに効果的な漢方薬です。
特に、湿疹や皮膚炎の根本的な改善に有効です。
複数の生薬で構成されており、各生薬の相乗効果で肌の状態を整えます。

まずは温清飲が、どのような漢方なのか解説します。

黄連解毒湯と四物湯を合わせた処方

温清飲は、黄連解毒湯と四物湯という2つの漢方を組み合わせた方剤です。

黄連解毒湯(おうれんげどくとう)と四物湯(しもつとう)は、それぞれ異なる4種類の生薬で構成されています。
温清飲には、以下の8種類の生薬が配合されています。

四物湯に配合される生薬

当帰(トウキ) 血行促進・冷え性の緩和・月経不順の改善・貧血の緩和
川芎(センキュウ) 炎症の鎮静
芍薬(シャクヤク) 血行促進・冷え性の緩和・生理痛の緩和
地黄(ジオウ) 血液量の増加

主に、四物湯には血行を促進する作用があります。

黄連解毒湯に配合される生薬

黄芩(オウゴン) 炎症の鎮静・解熱・アレルギー症状の緩和
黄柏(オウバク) 胃の機能の促進・炎症の鎮静
黄蓮(オウレン) 胃の機能の促進・炎症の鎮静・イライラの緩和
山梔子(サンシシ) 炎症の鎮静・熱感の緩和・のぼせやイライラの緩和

主に、黄連解毒湯には、炎症を抑える効果が期待できます。

体のほてりを改善し全身の血を補う漢方薬

温清飲に含まれる黄蓮・黄柏などの生薬は、体の余分な熱を取り除きます。
体に余分な熱が溜まっている状態では、血の流れが悪くなり、ほてりなどが起きやすくなります。
熱が取り除かれると、血液の流れが正常になり、症状が改善されます。

熱(ねつ)とは何か

「熱」は漢方医学において実熱と虚熱に分けて考えられます。実熱は局所的に熱がある状態で、炎症などが起きている状態です。一方、虚熱とは水分の不足による熱を持つことを指します。虚熱の状態では、肌の水分保持力が低下しやすくなります。

また、温清飲に含まれる当帰・川芎などの生薬には、全身の血を補う力があります。

血(けつ)とは何か

漢方医学における「血」とは、血液そのものに加え、血液に含まれる栄養素や、血液の正常な流れを指します。血が体内にバランスよく存在することで、皮膚もうるおった状態になります。

温清飲の効果

温清飲は、2つの漢方薬の組み合わせで構成されています。
黄連解毒湯の持つ効果と、四物湯が持つ効果が相まってさまざまな効果を発揮します。
次に、温清飲の具体的な効果を説明します。

肌のかさつき・くすみを改善する

温清飲を構成する生薬には、血行を促進する作用があります。
血行が促進されると、肌の新陳代謝が活性化されます。
これにより、肌細胞が水分を保持しやすい新しいものに生まれ変わります。
また、肌の新陳代謝が促進されると、古い角質が垢となり、剥がれ落ちることで、くすみが改善されます。

そのため、温清飲には乾燥してカサついた肌や、肌のくすみを改善する効果が期待できます。
肌の新陳代謝を活性化させる働きは、シミ予防やアトピー症状の緩和にも有効です。

シミ予防

血行が悪いと肌の新陳代謝が低下し、シミができやすくなります。
そのため、肌の新陳代謝が滞ると、シミのもととなるメラニン色素が肌に蓄積されたままになるためです。

温清飲の服用で、肌の新陳代謝が活発化すると、メラニンの排出が行われて、シミの予防にもつながります。

アトピー症状の緩和

アトピー性の症状は、肌のバリア機能が低下することで発生します。
肌のバリア機能とは、外部の刺激から肌を守る機能のことです。
温清飲は、血行を促進して、肌の保水力を高めてバリア機能を強化することでアトピー症状を緩和します。

他にも、炎症を鎮める作用があり、アトピー症状に伴う炎症やかゆみの軽減が期待できます。

肌の赤み・かゆみなどの炎症を鎮める

温清飲に含まれる生薬には、抗炎症作用があります。
生薬が体の過剰な熱を取り除くことで、炎症を抑制できるのです。
その結果、肌の赤みやかゆみ、腫れといった症状が緩和されます。

具体的には、酒さや炎症を伴うニキビに有効です。

酒さ(しゅさ)の改善

酒さは、顔に赤みやほてりが慢性的に生じる皮膚疾患です。
正確な原因は不明ですが、主に顔面の血管が拡張することで発症すると考えられています。
温清飲の効能で、ほてりが抑えられ血流が正常になることで、酒さの改善につながります。

炎症性ニキビの改善

炎症したニキビは赤く腫れていて、アクネ菌が繁殖している状態です。

温清飲には炎症を抑える効果があるため、ニキビの炎症を抑える効果を期待できます。
また、肌の乾燥を防ぐ作用があり、乾燥に伴うニキビの悪化も防ぐことができます。

更年期障害に伴うのぼせ・イライラを抑える

更年期に起こるのぼせは、自律神経の乱れが主な原因です。
更年期では、加齢に伴い身体の機能が変化するため、特に自律神経が乱れやすくなります。

温清飲には、自律神経の興奮を抑える作用があり、体内の余分な熱を取り除くことで、のぼせ症状を緩和します。

具体的な精神神経系の症状として、以下の状態に当てはまる場合に有効です。

神経系の症状

神経系の症状とは、更年期に伴って発症することの多い、イライラや頭痛、不安感などの症状を指します。
温清飲に含まれる生薬は、中枢神経系(※に作用して鎮静効果を発揮します。

特に、神経系の興奮状態を抑えるよう働きかけます。

そのため、のぼせやイライラ・不安感などの神経症の改善に効果が期待できます。

※中枢神経系とは脳と脊髄(せきずい)から構成されており、全身に指令を送る神経系統の中心的な役割を果たしています。

月経困難・月経不順を改善する

温清飲は、月経困難や月経不順といった悩みに対しても効果を発揮します。

月経困難(月経困難症)とは、月経に伴って起こる症状で、下腹部の痛みや、腰痛などが強く出る方に該当します。
月経不順は、一般的な月経周期(約25~28日)に対して、周期が短すぎたり、長くなってしまうことを指します。

温清飲に含まれる生薬には、血流を改善する作用があるため、月経周期の調整や月経痛の緩和につながります。

また温清飲には、ホルモンバランスを整える効果も期待できるため、月経周期の安定化もサポートします。

温清飲の副作用

温清飲の服用では、副作用の症状が現れる場合があります。

安全な服用のために、注意すべき副作用をご紹介します。
以下の症状が現れた場合は服用を中止し、医師または薬剤師に相談しましょう。

皮膚過敏症

温清飲の服用に伴う副作用の一つに、皮膚過敏症が挙げられます。
皮膚過敏症とは、皮膚が特定の刺激に対して過敏に反応し、炎症やかゆみ、発疹などの症状を起こすことです。

温清飲に含まれる特定の成分へのアレルギー反応や、体質との相性の問題から引き起こされることがあります。

特に、アレルギー体質の方は注意が必要です。

胃腸機能の不調

温清飲の服用では、胃腸機能の不調を引き起こす可能性があります。
具体的には腹痛や下痢、便秘などが挙げられます。
これは温清飲に含まれる生薬が、胃腸に負担をかけることによって起こると考えられます。

体力が弱っていると、胃腸が疲れやすい状態のため、副作用が現れやすくなるかもしれません。

間質性肺炎

間質性肺炎とは、間質と呼ばれる肺胞の壁に炎症などが起こる症状です。
肺胞は、吸い込んだ空気が入る場所のため、炎症を起こすと、酸素が取り込みにくくなります。

温清飲に含まれる黄芩の生薬が間質性肺炎を起こすという報告があります。

※黄芩が含まれない漢方でも間質性肺炎が副作用として報告されることがあります。

腸間膜静脈硬化症

腸間膜静脈硬化症とは、大腸が固くなる病気です。
腸間膜の静脈に石灰化(カルシウムやミネラルが沈着して固くなる現象)が起き、血流が悪くなることがあります。

主な症状としては、便秘や腹痛、吐き気などが挙げられます。

温清飲に含まれる山梔子の長期服用が原因の一つだと考えられています。

肝機能障害

肝機能障害とは、何らかの障害を受けて肝臓に炎症が起こる病気です。
皮膚のかゆみや食欲低下、むくみなどの症状が現れます
血液検査において、肝機能の異常値が出る場合は、肝機能障害が起きていると考えられます。

温清飲に含まれる生薬の黄蓮・黄芩・黄柏は、肝臓に負担を与える場合があります。

また、漢方薬の長期間の使用や推奨量を超えた摂取で、肝臓に負担がかかることが原因の一つとも考えられます。

温清飲を飲んでも太ることはない

温清飲を飲むと太るということを聞いたことがあるかもしれません。しかし、温清飲の服用で直接的に太る事実はありません。「太った」と思う場合に、考えられる可能性としては、温清飲の服用で、胃腸機能の健康状態が回復し、食欲が出たり栄養分の吸収がよくなった結果、間接的に太りやすい体質や状態になってしまったということはあるかもしれません。

温清飲の用法・用量

通常、成人の場合は一日に2〜3回食前または食間に経口します。

食前または食間の空腹時に飲むことで、生薬が吸収されやすくなるためです。

また、漢方薬の服用量や服用回数は年齢や個人の体質、使用する製剤によって増減する場合があります。
そのため、個人に合う服用方法は、専門医または薬剤師に相談しましょう。

ツムラなどの温清飲の市販薬

温清飲には、医療機関での処方薬だけではなく、市販薬が複数あります。
最後に、3種類の市販の温清飲を紹介します。

ツムラ温清飲エキス顆粒

日本の漢方製薬会社であるツムラが製造・販売している温清飲の製剤です。
顆粒タイプのお薬で、計20包で10日分の分量です。
成人の場合の1日分の服用量(3.75g)に下記の割合の生薬から抽出した温清飲エキス1.875gが配合されています。

地黄(ジオウ) 1.5g
芍薬(シャクヤク) 1.5g
川芎(センキュウ) 1.5g
当帰(トウキ) 1.5g
黄芩(オウゴン) 0.75g
黄柏(オウバク) 0.75g
黄蓮(オウレン) 0.75g
山梔子(サンシシ) 0.75g

温清飲エキス錠J

クラシエ薬品株式会社が製造・販売している温清飲の製剤です。
錠剤タイプのお薬で、計120錠で8日分の分量です。
成人の場合の1日分の服用量(5.1g)に、下記の割合の生薬から抽出した温清飲エキス2.8gが配合されています。

地黄(ジオウ) 2.0g
当帰(トウキ) 2.0g
川芎(センキュウ) 1.5g
芍薬(シャクヤク) 1.5g
黄芩(オウゴン) 1.5g
山梔子(サンシシ) 1.0g
黄蓮(オウレン) 0.75g
黄柏(オウバク) 0.75g

温清飲エキス細粒「分包」三和生薬

三和生薬株式会社が製造・販売している温清飲の製剤です。
細粒タイプのお薬で、10日分と30日分の2つの分量があります。
成人の1日分の服用量(6.0g)に、下記の割合の生薬から抽出した温清飲エキス2.3gが配合されています。

地黄(ジオウ) 2.4g
芍薬(シャクヤク) 2.4g
川芎(センキュウ) 2.4g
当帰(トウキ) 2.4g
黄芩(オウゴン) 1.2g
黄柏(オウバク) 1.2g
黄蓮(オウレン) 1.2g
山梔子(サンシシ) 1.2g

温清飲の服用を検討している方は専門医に相談

温清飲を服用する際は、医師に確認することが必要です。
自身に合わない場合や、服用ができない場合があるためです。
また、医師に相談することで、体質や体調により適していると判断できる他の漢方薬の提案を受けられる可能性があります。

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この記事の監修医

東京山手クリニック

都丸真依子 医師

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