十全大補湯という漢方はご存じですか?
「最近疲れがひどいな…」と感じている方は、必見です!
十全大補湯は、胃腸の機能を高めることで疲れや体力を回復させる効果が期待できます。
本記事では、十全大補湯の効果や副作用などを詳しく解説します。
この記事でわかること
- 十全大補湯は免疫力が弱っている方や気力と体力を補いたい人におすすめ
- かゆみや発赤などの皮膚疾患の改善にも効果的
- 十全大補湯の服用時は副作用に注意することが大切
目次
十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)とは
十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)とは、「気」や「血」の生成を促す漢方薬です。
漢方を取り扱う中医学で「気」とはエネルギー、「血」は血液や血流のことを指します。
一般的には疲労倦怠感、貧血、皮膚の乾燥、食欲不振、寝汗、手足の冷えなどの不調がある方に処方されることが多くあります。
以下が十全大補湯の成分です。
黄耆(オウギ) | 利尿・血圧降下 |
当帰(トウキ) | 補血・鎮痛・強壮(体力回復) |
芍薬(シャクヤク) | 血行促進 |
茯苓(ブクリョウ) | 余分な水分の排出・むくみ改善 |
地黄(ジオウ) | 血液補充・強壮(体力回復) |
甘草(カンゾウ) | 健胃・抗炎症・去痰 |
白朮(ビャクジュツ) | 健胃・整腸・利尿作用 |
人参(ニンジン) | 強壮・保湿・消化促進 |
桂皮(ケイヒ) | 血流促進・解熱効果 |
川芎(センキュウ) | 血流改善 |
計10種類の生薬が、体力を補強し、血液の循環を促進することで、乾燥や冷えからくる不調を緩和します。
「気力と体力を補う」代表的な漢方薬
漢方の中でも、十全大補湯は「気力と体力を補う」のに代表的な漢方薬です。
十全大補湯に含まれる「人参(ニンジン)」や「当帰(トウキ)」は、滋養強壮作用という、体力増強の効果が期待できます。
血流促進・改善の作用により、身体の巡りを良くすることで気力の回復も図れます。
また、免疫力を高める効果を期待できます。
免疫力が弱っている方におすすめ
十全大補湯は、免疫力が弱っている方におすすめの漢方薬です。
免疫機能の回復作用を持つため、低血圧や貧血の方、また栄養が足りず衰弱している身体を改善する目的で処方されることがあります。
退院後や手術後など、全身が弱っているときの処方もおすすめされています。
十全大補湯の効果
十全大補湯の効果は、主に以下の4つになります。
- 疲労や怠慢感の緩和
- 食欲不振の改善
- 自律神経症状の改善
- 冷え性の緩和
疲労や怠慢感の緩和
十全大補湯は、疲労や怠慢感を緩和する効果が期待できます。
例えば、胃腸機能の低下を感じる、疲労倦怠で両手足がだるいなどに当てはまる方に相性がいいと言われています。
血液循環作用や補血、体力回復などの作用により、衰弱してしまったときの不調回復をサポートします。
食欲不振の改善
食欲不振の改善にも十全大補湯は用いられます。
十全大補湯に含まれる胃腸の状態を健康に保つ作用が働くためです。
疲労や倦怠感を感じる際は、胃腸も疲れ、機能が低下しているため、食欲不振を引き起こすことも考えられます。
このような場合の食欲不振を改善するのに有効的です。
自律神経症状の改善
十全大補湯は、自律神経を整える効果も期待できます。
ホルモンバランスを整える作用と、身体を温める作用で自律神経の調整をサポートします。
例えば、自律神経の乱れからくる頭痛や寝汗などにお悩みの方に有効です。
ただし、不安感が強い場合や不眠などといった精神症状には不向きと言われています。
冷え性の緩和
十全大補湯は、冷え性の緩和に効果が期待できます。
冷え性は、血液がうまく循環されていないことが原因です。
手足が冷たく感じるのは、血液がうまく身体全体に運ばず、十分な酸素や栄養の供給が不足しているためです。
十全大補湯は、血液の循環を促進して、血液を身体全体に運び、手足の冷えを改善する助けとなります。
十全大補湯の副作用
十全大補湯の服用では、副作用が現れる場合があります。
以下の症状が現れた場合は、副作用と考えられます。
- かゆみや発赤などの皮膚疾患
- 胃の不快感などの消化器不全
- 重篤化による手足のしびれなど
これらの副作用が現れた場合は、ただちに医師や薬剤師に相談するようにしましょう。
かゆみや発赤などの皮膚疾患
かゆみや発赤、皮膚疾患が現れる場合があります。
配合される生薬に対してアレルギー反応が生じることがあります。
以前、十全大補湯を服用してこのような症状が現れたことがある方は服用していいか医師に確認しましょう。
胃の不快感などの消化器不全
胃の不快感や消化器不全の症状が発生する可能性があります。
十全大補湯には胃の不調や食欲不振を改善する効果を期待できます。
その一方で、一部の人では、胃の不快感や消化器不全の症状を引き起こすことがあります。
胃腸の弱い方は、服用前に医師や薬剤師に相談するようにしましょう。
重篤化による手足のしびれなど
まれに重篤な症状として、手足のしびれや筋肉痛などが現れる場合があります。
これは「偽アルドステロン症」の症状の一部です。
十全大補湯に含まれる甘草(カンゾウ)を過剰に摂取することで、偽アルドステロン症が生じる可能性があります。
他の薬との飲み合わせには注意しましょう。
また、用法・用量は守って服用するようにしましょう。
十全大補湯のツムラとクラシエの薬の違い
十全大補湯を販売している漢方薬としては、「ツムラ」と「クラシエ」の製品などがあります。
それぞれの商品の特徴を紹介します。
【医療用】クラシエ 十全大補湯 エキス細粒
通常、成人の方は1日7.5gを2~3回に分けて食前または食間に服用します。
ただし、年齢や体重、症状によって医師からの指定の用法・用量に従う必要があります。
小児等への臨床実験は実施されていないため、使用したい場合は医師に相談しましょう。
本品1日量(7.5g)中 |
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オウギ(3.0g)、トウキ(3.0g)、シャクヤク(3.0g)、ブクリョウ(3.0g)、ジオウ(3.0g)、カンゾウ(1.5g)、ビャクジュツ(3.0g)、ニンジン(3.0g)、ケイヒ(3.0g)、センキュウ(3.0g) |
【医療用】ツムラ 十全大補湯 エキス顆粒
通常、成人の場合1日7.5gを2~3回に分けて食前または食間に服用します。
ビャクジュツではなく、ソウジュツが配合されている点が医療用のクラシエ製品と異なります。
本品1日量(7.5g)中 |
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オウギ(3.0g)、トウキ(3.0g)、シャクヤク(3.0g)、ブクリョウ(3.0g)、ジオウ(3.0g)、カンゾウ(1.5g)、ソウジュツ(3.0g)、ニンジン(3.0g)、ケイヒ(3.0g)、センキュウ(3.0g) |
【市販】十全大補湯エキス錠クラシエ
錠剤タイプの十全大補湯です。
通常、成人の場合、1回4錠を食前または食間に3回服用します。
成人1日の服用量12錠中 |
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オウギ(1.5g)、トウキ(1.5g)、シャクヤク(1.5g)、ブクリョウ(1.5g)、ジオウ(1.5g)、カンゾウ(0.75g)、ビャクジュツ(1.5g)、ニンジン(1.5g)、ケイヒ(1.5g)、センキュウ(1.5g) |
【市販】ビタトレール十全大補湯エキス顆粒製剤
顆粒タイプの十全大補湯です。
通常、成人の場合1回1包を1日に3回服用します。
2歳以下の方は服用ができません。
成人1日の服用量12錠中 |
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オウギ(1.5g)、トウキ(1.5g)、シャクヤク(1.5g)、ブクリョウ(1.5g)、ジオウ(1.5g)、カンゾウ(0.5g)、ビャクジュツ(1.5g)、ニンジン(1.5g)、ケイヒ(1.5g)、センキュウ(1.5g) |
十全大補湯の服用を検討されている方で、市販薬と医療用医薬品どちらが自分に適切かを迷われる方もいるでしょう。
そんな方は一度皮膚科医に相談することも一つの方法です。
「東京美肌堂」ではオンラインで医師による診察を、無料で受診いただけます。
漢方についての取り扱いもあるため、ぜひ一度相談してみてください。
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十全大補湯の服用に関する注意点
十全大補湯の服用前に、必ず以下に当てはまる項目がないか確認しましょう!
服用時には以下の3つを確認することが大切です。
- 服用時にアレルギー反応が出ないか
- 妊娠や授乳中ではないか
- 他の薬との併用はあるか
なぜ確認が必要なのか、理由を説明します。
服用時にアレルギー反応が出ないか確認する
十全大補湯を服用する際、アレルギー反応に関する注意が非常に重要です。
十全大補湯には複数の生薬成分が含まれています。
これらの生薬に対するアレルギーがある場合、十全大補湯の服用は避けるべきです。
同じ生薬を含む漢方薬を以前に服用した際にアレルギー反応が出たことがある場合、特に注意が必要です。
過去の経験から、同様の反応が再び現れる可能性が高まります。
妊娠や授乳中の服用は要相談
十全大補湯の服用に関して、妊娠中や授乳中の方は相談して決めるようにしましょう。
妊娠中に漢方薬を服用する場合、胎児に対する影響が懸念されます。
また、授乳中の母親が漢方薬を服用する場合、その成分が母乳に移行する可能性があります。
これにより、赤ちゃんに漢方薬の影響が及ぶ可能性が考えられます。
他の薬との併用に注意
十全大補湯は他の薬との併用に注意するようにしましょう。
十全大補湯には甘草(グリチルリチン酸)という成分が含まれています。
甘草は体内のコルチゾール(副腎皮質ホルモン)の分泌を抑制する作用があり、血圧の上昇やカリウムの減少などの副作用を引き起こす可能性があります。
一方、他の薬物もコルチゾールに影響を及ぼすため、甘草との併用には注意が必要です。
十全大補湯を服用する際には、他の薬物との併用について医師と相談し、相互作用や禁忌事項に注意を払うことが重要です。
十全大補湯の効果が出るまでの期間
十全大補湯は、体調や個人によって効果が現れるまでの期間が異なります。
一般的な目安としては、1か月頃から効果を実感できることが期待されます。
1か月経過する前に副作用が現れた場合は、服用を中止しましょう。
効果を最大限に引き出すためには、適切な用法・用量での服用を続けてください。
また、1カ月以上服用を続けても、あまり効果を感じられない場合は、念のため医師や薬剤師に相談してみましょう。
十全大補湯と人参栄養湯・補中益気湯の違い
十全大補湯と似ている漢方薬として、人参栄養湯・補中益気湯が挙げられることがあります。
十全大補湯 | 補中益気湯 | 人参養栄湯 | |
---|---|---|---|
配合生薬 | 黄耆、当帰、芍薬、茯苓、地黄、甘草、白朮、人参、桂皮、川芎 | 人参、蒼朮、黄耆、当帰、陳皮、大棗、柴胡、甘草、生姜、升麻 | 人参、当帰、芍薬、地黄、白朮、茯苓、桂皮、黄耆、陳皮、遠志、五味子、甘草 |
効果 | ・病後の体力増強 ・疲労/倦怠感回復 ・食欲不振の改善 ・血液循環の改善 ・冷え性の緩和 |
・病後の体力増強 ・免疫力向上 ・食欲不振の改善 ・胃もたれの改善 ・アトピー性皮膚炎の改善 |
・病後の体力増強 ・疲労/倦怠感回復 ・食欲不振の改善 ・冷え性の改善 ・貧血の改善 |
十全大補湯に対する、人参栄養湯・補中益気湯の違いは以下の通りです。
人参栄養湯は神経症状が強い場合に用いられる
人参栄養湯(にんじんえいようとう)には造血作用と精神安定作用があります。
貧血・倦怠感の改善に加えて、末梢神経障害の改善にも効果が期待できます。
一方、十全大補湯には心の不安や不眠などの改善効果は見込めません。
そのため、神経症状が強く出ている場合に人参栄養湯が用いられることがあります。
また、精神安定作用もあり、精神的な不安や不眠などの神経症状にも効果があるので、神経症状が強い場合に用いられます。
補中益気湯は食欲不振などが強い場合に用いられる
補中益気湯(ほちゅうえっきとう)には、十全大補湯と同じく気力・体力を補う効果が期待できます。
補中益気湯は、特に食欲不振などの胃腸関連の問題に対処するために使用されます。
また、特に胃腸の弱い方には補中益気湯のほうが相性がいいと言われています。
そのため、食欲不振にお悩みの方や胃腸の弱い方には補中益気湯の服用が合うかもしれません。
十全大補湯は病院で処方をもらおう
十全大補湯は、疲労改善や免疫力を高めたい方に相性のいい漢方です。
漢方にはいくつか種類があるため、自分の症状に合う漢方を知りたい方は一度医師に相談してみるのがおすすめです。
また、十全大補湯の服用を希望される場合も、皮膚科で受診することで、より個人に合う用法・用量で、安全に服用していくことができるでしょう。
皮膚科に通う時間がない忙しい方には、オンライン診療での処方を受けてみてはいかがでしょうか。
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藤原東華 医師
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