ヒルドイドとは、「ヘパリン類似物質」を有効成分とした外用薬です。
50年以上前から、アトピー治療や乾燥肌の改善に処方されてきました。
最近では美容目的でも話題になり、薬局で類似品をよく見かけますよね。
ヒルドイドに含まれる、ヘパリン類似物質には、肌の保水力を上げる作用があります。
この記事では、ヒルドイドの美容効果・種類・類似品との違い・副作用まで徹底解説します。
「ヒルドイドの美容効果が気になる!」という方は、必見です。
この記事でわかること
- ヒルドイドは、血行促進・保湿・抗炎症作用による高い美容効果がある
- 薬剤タイプは全部で4種類あり、症状やテクスチャーによって使い分けできる
- ヒルドイドと類似品の違いは、ヘパリン類似物質の含有量
目次
ヒルドイドは「ヘパリン類似物質」を含む保湿剤
ヒルドイドとは、有効成分「ヘパリン類似物質」を含む「外用薬」です。
ヘパリン類似物質には、「保湿作用」・「抗炎症作用」・「血行促進作用」があります。
この働きにより、以下の症状に当てはまる方は、ヒルドイドによる肌改善の効果が期待できます。
- 乾燥による手指の荒れ
- ひじ・ひざ・かかと・くるぶしが乾燥し、ひびが入っている
- 洗顔後やお風呂上りに肌のつっぱりや軽いかゆみが現れる
- しもやけの症状がある(ただれの症状は除く)
- 傷・やけどによる皮膚のしこり・つっぱり(顔面を除く)
- 打撲や捻挫後の腫れ
では、次からヒルドイドの働き・効果について詳しく見ていきましょう。
ヒルドイドの効果
ヒルドイドに含まれる「ヘパリン類似物質」には、多くの作用があります。
この働きにより、肌を健康に保つ手助けをしてくれます。
ここでは、ヒルドイドで期待される効果を見ていきます。
抗炎症成分による「手指の荒れの改善」
ヒルドイドの有効成分であるヘパリン類似物質には、炎症時に活性化される「ヒアルロニターゼ」を抑制する作用があります。
ヒアルロニターゼが活性化すると炎症部位のヒアルロン酸分解が進み、肌の保湿力が損なわれてしまいます。
ヒルドイドはヒアルロン酸分解を抑制することで、肌の乾燥を防ぎおだやかな抗炎症効果を発揮します。
炎症の進行を防ぐことで、バリア機能強化や肌の機能回復が期待でき、肌荒れの改善効果が見込めるのです。
過剰に増えたコラーゲンを抑制し「傷跡を改善」
ヘパリン類似物質には、「線維芽細胞」の増殖を抑制する作用があります。
線維芽細胞とは、通常コラーゲンやヒアルロン酸を作る働きをしている細胞です。
傷ができた時には、コラーゲンを作ることで傷を修復する働きをしています。
しかし、炎症が長引いてしまうと細胞の働きが活発になりコラーゲンを過剰に生成してしまいます。
この結果、コラーゲンが増殖しすぎて皮膚が盛り上がる「ケロイド」になってしまいます。
ヘパリン類似物質による、過剰に増えた細胞分のみを抑制する働きで症状の改善が期待できます。
このため、皮膚の盛り上がり・肥厚性瘢痕・ケロイドの治療にヒルドイドが使用されることがあります。
ヒルドイドの美容効果
ヘパリン類似物質には、高い保水作用や血行促進作用があります。
この結果、ヒルドイドによって高い美容効果が期待できます。
血行促進による「ニキビ跡・青クマの改善」
ヘパリン類似物質には、血液を固まりにくくし血行を良くする作用があります。
血行が促進されることで、肌の新陳代謝を促し、赤みや炎症を抑えます。
また、血行不良により現れる青クマの症状改善も期待できます。
保湿成分による「肌荒れ防止・アンチエイジング効果」
ヘパリン類似物質には、角質層の水分を保持してくれる働きがあります。
角質層は、肌の水分維持やバリア機能の働きをしており、肌の健康を保つには欠かせません。
ヘパリン類似物質を使用することで、肌本来の保湿機能やバリア機能を改善します。
この結果、乾燥由来の肌荒れ・色素沈着・しわの改善が期待できます。
ヒルドイドの種類と使い方
ヒルドイドは4種類あり、油分やテクスチャーに違いがあります。
軟膏が最も保湿力が高く、そのあとにクリーム、ローション、フォームが続きます。
このように保湿力に違いがあるため、季節や使用シーンによって使い分けられるのも利点です。
4種類の特徴を正しく理解して、自分に合ったヒルドイドを使いましょう。
ヒルドイドソフト軟膏
ヒルドイドソフト軟膏は、油分を多く含むため4つの中で最も保湿力が高いです。
油中水型(油分がメインで中に水分を含む)のため、皮膚への浸透性が良く患部の保護にも最適です。
また、ヒルドイドシリーズの中で、最も刺激が少ないのも特徴的です。
テクスチャー | べたべたしていて固め |
おすすめの使用季節 | 乾燥しやすい秋・冬 |
向いている人 | ・部分使いしたい方 ・高い保湿力を求める方 |
ヒルドイドクリーム
ヒルドイドクリームは、テクスチャーが軽めで軟膏よりも伸びがよいという特徴があります。
水中油型(水分がメインで中に油分を含む)のため、水で洗い落しやすく軽いつけ心地です。
軟膏タイプよりも伸びがよいので、手指などに塗りやすいのはクリームタイプでしょう。
テクスチャー | ソフト軟膏よりも伸びがよいが、ややべたつく |
おすすめの使用季節 | 1年中使いやすい |
向いている人 | ・保湿力が高く、塗りやすいものがいい方 ・使った後にべたつくのが嫌な方 |
ヒルドイドローション
ヒルドイドローションは、乳液のような白い液体です。
保湿力はクリーム・軟膏には劣りますが、伸びが良くさらっと使える特徴があります。
頭部など毛が生えている部分や顔や体の広範囲に塗る場合に適しています。
稀に刺激を感じることもあるので、ひどい乾燥や肌がかなり弱い方はまずはソフト軟膏やクリームを使ってくださいね。
テクスチャー | 乳液のようにさらっとしている |
おすすめの使用季節 | 春、夏、秋 |
向いている方 | ・広範囲に塗りたい方 ・顔だけでなく全身に使いたい方 |
ヒルドイドフォーム
ヒルドイドフォームは、キメ細かい泡状で出てきて、徐々に化粧水のように液状化します。
油分をほとんど含まないため、さっぱりとしている特徴があります。
ただ人によっては、保湿力に物足りなさを感じる場合があります。
ローションと同じく、頭部を始めとした全身に使用できます。
テクスチャー | 乳液のようにさらっとしている |
季節 | 空気の乾燥がひどくない春・夏・秋 |
向いている方 | ・全身に使いたい方 ・さらっと軽く使いたい方 |
ヒルドイドの使う時の注意点
ヒルドイドは副作用がほとんどなく、安全に全身に使える薬として知られています。
しかし、血液を固まりにくくするヘパリン類似物質が含まれているため、以下の注意点を守って使用しましょう。
ヒルドイドは傷口・かぶれ・粘膜を避けて塗る
ヒルドイドは、傷口を避けて塗るようにしましょう。
ヘパリン類似物質の血流促進作用により、出血を促進してしまうことがあるためです。
ヒルドイドにはほとんど副作用はありません。
しかし、稀に皮膚炎・かゆみ・発疹・発赤・皮膚刺激感などの症状が出ることがあります。
このため、刺激に敏感なかぶれや粘膜も避けて塗るようにしましょう。
ヒルドイドの使用を避けたほうがいい方
ヘパリン類似物質には血流を良くし、血液を固まりにくくさせる働きがあります。
このため、以下の疾患をお持ちの方は、使用を避けるようにしましょう。
- 血小板減少症
- 紫斑病
- 出血性血液疾患
ヒルドイドは赤ちゃんにも使える薬
ヒルドイドは、大きな副作用が起こるリスクも少ないため、赤ちゃんにも使用できます。
ヘパリン類似物質が赤ちゃんの肌の保湿・バリア機能を強化する働きをしてくれます。
このため、汗や擦れなどで起こる肌への刺激から守ってくれます。
入浴後やおむつ交換後に、肌を優しくマッサージするように塗って、毎日の保湿ケアとして取り入れてみましょう。
ヒルドイドは安全だけど、いざ使うとなると副作用が不安という方は、医師に相談してから使いましょう。
「皮膚科に行く時間がない」という方は、オンラインで医師に相談するのもおすすめです。
東京美肌堂では、オンラインで医師に相談できるサービスを提供しており、夜22時まで診察可能です。
相談は無料でできるので、気になった方は下記リンクをチェックしてみてくださいね。
初回購入で使える!
ヘパリン類似物質を含む市販薬
ヘパリン類似物質を含む製品は、薬局でも購入することができます。
市販で売られているものは、ヘパリン類似物質の含有量で以下の2つに分類できます。
ヘパリン類似物質を100g中に0.3g含む | 「医薬品」 |
ヘパリン類似物質を100g中に0.3g未満含む | 「医薬部外品・化粧品」 |
ただし、市販薬は「クリーム」と「ローション」の2タイプに限られます。
また、製品に含まれる添加物や使用感がヒルドイドとは異なります。
ヒルドイドと同じ効果が期待できる市販薬を、医薬品と医薬部外品・化粧品の2つにわけて紹介します。
ヘパリン類似物質を100g中に0.3g含む医薬品
ヒルドイドと同じ量のヘパリン類似物質を含む医薬品は以下の通りです。
ヒルマイルドは、乾燥肌治療薬で顔・手足の改善など全身に使用できます。
ローション・クリーム・スプレーの3つのタイプがあります。
医薬品のスプレータイプはヒルマイルドだけで、背中など手の届かない部位の保湿をすることもできます。
ヒルドイドの効果をより身近にある製品で感じてみたいという方におすすめの製品です。
クリーム、ローションともに、なめらかな使用感で年間を通じて使いやすい製品です。
アルコール、ステロイドフリーなので敏感肌の方や赤ちゃんにも使うことができます。
乾燥によるカサカサなど「乾き壊れ」肌の治療におすすめです。
アットノンには、ヘパリン類似物質・グリチルリチン酸二カリウム・アラントインが含まれています。
これらの作用により、肌の保湿・傷跡の抗炎症効果・皮膚のひび割れ改善が期待できます。
保湿傷跡のと同時に炎症を抑えたい・傷跡を綺麗に治したいという方におすすめです。
「ヘパリン類似物質」と肌荒れ改善やアンチエイジングに効果がある「ビタミンE」が配合されています。
フォーム・バーム・クリーム・ローションがあります。
付け心地によって好みのものを選ぶことができる点も特徴的です。
なお、泡タイプの化粧水もありますが、ヘパリン類似物質の含有量はヒルドイドよりも少ないので、注意が必要です。
ヒフメイドは、オイルベースクリームで水分蒸発を防いでくれるので肌のうるおいがしっかり持続します。
また、オイルベースですがべたつきは少なく、汗や水に強い点も特徴的です。
水仕事が多い主婦の方、汗をよくお子さんにもおすすめです。
ヘパリン類似物質を100g中に0.3g未満の化粧品
ヒルドイドよりもヘパリン類似物質の含有量が少ない市販品を紹介します。
有効成分の含有量が少ない分、副作用などの心配が少なくなりデイリー使いに向いています。
マルホ株式会社が出している製品でヒルドイドと同じヘパリン類似物質が含まれています。
抗炎症剤のグリチルリチン酸やアミノ酸を始めとした7つの保湿成分も含まれています。
まろやかな肌あたりで敏感肌の方にも使える処方になっています。
ヘパリン類似物質に加えてグリチルリチン酸二カリウムも含まれており、ニキビにも効果が期待できます。
さらっと伸びがよく、無着色・無鉱物油なのでお子さんも安心して使用することができます。
大容量200gのポンプタイプため、毎日全身に使いたいという方におすすめです。
ヘパリン類似物質による「保湿」とプラセンタエキスによる「美白」の効果が叶う化粧品です。
ローションとクリームタイプがあり、サラッとした使用感で日々のスキンケアとして取り入れやすいです。
このように市販にもヒルドイドに含まれる血行促進作用、保湿作用、抗炎症作用の効果があるヘパリン類似物質を含む製品があります。
製品の種類(ローション、クリーム、スプレーなど)や製品に含まれる他の成分も吟味して、自分にあったものを使い分けるようにしましょう。
よくある質問
ヒルドイドで副作用が現れることはありますか?
ヒルドイドによる副作用は現れますか?
また、どんな症状が現れますか?
ヒルドイドによる副作用はほとんど現れません。
しかし、稀に皮膚炎・搔痒症・発疹・発赤・過敏症・皮膚刺激感などの副作用が現れる可能性があります。
普段のスキンケアの中でどのタイミングで使用しますか?
普段のスキンケアにヒルドイドを足す場合、どのタイミングで塗るのがおすすめですか?
ヒルドイドは、保湿効果はありますが、保湿クリームではなく医薬品です。
このため、普段のスキンケアの最後に取り入れましょう。
例)洗顔→化粧水→美容液→乳液・クリーム→ヒルドイド
妊娠中・授乳中に使用できますか?
ヒルドイドは、妊娠中や授乳中でも使用することができますか?
授乳中の使用は、安全が確認されているため大丈夫です。
妊娠中の使用に関しては、安全が確認されていないためご自身の判断ではなく、医師の判断を仰ぎましょう。
ヒルドイドを塗ることで日焼けすることはありますか?
「ヒルドイドを使うと日焼けする」という噂を聞いたことがあります。
本当にヒルドイドを使うと日焼けしてしまうのでしょうか?
ヒルドイドが紫外線を吸収しやすいという事実はありません。
ワセリン軟膏の純度が低い時に、ワセリン内の不純物が紫外線により酸化されることで油や毛のようなことが起こるとされていました。
しかし、現在はワセリンの精度もよくなったことからワセリンが配合されていても油焼けするようなことはほとんどありません。
ヒルドイドの添加物としてワセリンが含まれているため、このような噂が広まったと考えられますが、ヒルドイドで日焼けしやすくなることはありません。
乾燥や肌荒れを本気で治したい方は皮膚科へ
ヒルドイドは、ヘパリン類似物質を含んだ外用薬で、保湿・血行促進・抗炎症作用があります。
4種類展開のため、自分の肌の状態や付け心地に合わせてヒルドイドを選ぶことができます。
また、ヒルドイドに含まれるヘパリン類似物質が含まれる市販薬は薬局で手軽に買うことができます。
しかし、強い乾燥や打撲・あざ・傷跡の治療など特定の症状でお悩みの方は、医師に相談することをおすすめします。
医師に相談することで、症状によって適したタイプのヒルドイドを処方してもらうことができます。
東京美肌堂では、
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尾崎宥文 医師
美容外科・美容皮膚科
当院では、美容医療技術とテクノロジーを組み合わせた新しい治療を提案しています。特に痩身治療では、医療と最新のAIの技術を使いながら、確実に患者様のライフスタイルを改善して、目指す体型に導くサポートをいたします。 美容外科治療では、大手美容外科クリニックの院長を務めた経験を活かしながら、効果を最大限に引き出しつつリスクやコストを最小限にできるような治療を提供いたします。 これらの組み合わせにより、患者様の全身・局所両方にアプローチすることで、 健康と美を同時に実現し、自己実現欲求を満たすことを目指しています。