薄いシミにレーザーを当てても、あまり効果がなかったという情報を聞いたという方もいるかもしれません。
シミが薄い場合は、レーザーが反応しづらくなるため、改善しにくいことがあります。
本記事では、なぜ薄いシミはレーザー治療で消えづらいかの理由や、そのほかの効果的な治療法を解説します。
この記事でわかること
- シミが薄い場合は通常のレーザー治療だと効果が実感できない場合がある
- 薄いシミをレーザーで治療するには「ピコレーザー」などが効果的
- レーザー治療以外にも薄いシミは外用薬や内服薬で改善を目指せる
目次
薄いシミはなぜレーザー治療で消えづらいの?
シミを薄くしたり、きれいに消すための施術として有名なレーザー治療。
しかし、シミが薄い場合は、レーザー治療の種類によって効果を実感しづらい場合があります。
なぜ、薄いシミはレーザー治療があまり効かない場合があるのでしょうか?その理由を次から見ていきましょう。
メラニンが薄くレーザーが反応しづらい
レーザー治療は、シミのもととなるメラニン色素のみに反応して、改善を目指すものです。
薄いシミの場合はこのメラニン色素が薄いため、レーザーがシミに反応しづらくなるという特徴があります。
そのため、レーザー治療をするにあたっては、濃いシミよりも薄いシミのほうが消えにくいと言われています。
必要以上に出力が高いと色素沈着のリスクが高まる
メラニン色素の薄いシミには、レーザーが十分に効果を発揮しづらい特徴があります。
ただし、薄いシミのメラニン色素にレーザーが反応しづらいからという理由で、レーザーの照射出力(周波数)を強くすると、肌に刺激がかかり、色素沈着のリスクが高まります。
レーザー治療で肌に強い刺激が加わり、炎症を起こすと、色素が沈着してシミになる可能性があるためです。
このようなことから、薄いシミを対象としたレーザー治療がうまくいかないケースがあるのです。
レーザーで治療できる薄いシミの種類
シミの治療には、レーザー治療が用いられるクリニックが多いです。
ただし、脂漏性角化症や炎症後色素沈着によるシミは、薄い状態だとレーザー治療の効果を実感しにくいと言われています。
一方で老人性色素班・そばかす・後天性メラノサイトーシス・肝斑の4種類のシミは、薄い状態でもレーザー治療が効果的な場合があります。
※クリニックや肌の状態によっても推奨される治療法が異なる場合があります。
老人性色素斑
紫外線によるダメージで現れやすい老人性色素班。
老人性色素斑のシミは薄い場合もレーザー治療で改善できることがあります。
薄い老人性色素斑は、メラニン色素のみを破壊できる「ピコレーザー」で治療できることがあります。
そばかす
遺伝的要因や紫外線などの影響で現れるそばかす。
そばかすに強い外部刺激が加わると、悪化して濃くなってしまう可能性があります。
薄いそばかすの場合は、老人性色素斑と同じく、照射後の色素沈着が起きにくい「ピコレーザー」が用いられることが多いです。
後天性メラノサイトーシス
グレーがかったようなくすんだ色で現れる後天性メラノサイトーシスは、真皮層(肌の深い層)にシミができるのが最大の特徴です。
後天性メラノサイトーシスには、真皮層までアプローチしやすいレーザーでの治療が有効です。
しかし、シミの色素が薄い場合は、老人性色素斑やそばかすと同様に、皮膚表面へのダメージを最小限に抑えつつ照射できる「ピコレーザー」で治療できることがあります。
肝斑
通常、肝斑には照射力の弱いレーザー治療が用いられることが多くあります。
通常のレーザー治療を用いると、かえって肝斑を悪化させるリスクがあるとされているからです。
はっきりと現れている肝斑の場合は、「レーザートーニング」が選択されることが多いです。
一方、肝斑が薄い場合は、「ピコトーニング」が代表的な治療法となります。
薄いシミに効果的なレーザー治療
シミが薄い場合は、濃いシミに用いられるレーザー治療よりも、低出力のレーザー治療が用いられる場合が多いです。
ここでは、薄いシミにも使用されることがある3種類の代表的なレーザー施術法を紹介します。
※出力の強さや施術内容はクリニックによって異なる場合があります。
弱い出力で全体に照射する「ピコレーザー」
ピコレーザーは、ピコ秒(1兆分の1秒)という短いパルス幅でレーザーを照射する施術方法です。
パルス幅を短くすることで、熱の影響を抑え、衝撃波による治療効果を高めます。 このため、肌への色素沈着などの副作用を抑えつつ、シミの改善を図ることができます。
シミに集中照射する「ピコスポット」
ピコスポットとは、ピコレーザーを部分的に照射する施術方法です。
薄いシミが部分的に発生している場合は、ピコスポットで皮膚の一部のみに照射することがおすすめです。
シミがある範囲のみにアプローチすることで、ほかの部分に色素沈着が発生するリスクを抑えられます。
色素沈着した場合は「ピコトーニング」を併用
ピコレーザーは、低出力のレーザーを顔全体にまんべんなく当てる施術方法です。
もともとシミがあった場所以外に色素沈着が起きてしまった場合や、ピコスポットで薄いシミへの反応が出なかったときに、併用して用いるのが効果的と言われています。
レーザー以外に薄いシミに効果的な治療法
レーザー治療では、シミのもととなるメラニン色素に外部から直接アプローチすることで、シミを改善します。
ただし、レーザーの照射で色素沈着が起きてしまう可能性もあります。
薄いシミを治療するには、レーザー以外にも内服薬やほかの施術で改善を目指す方法もあります。
自分の症状に合う最適な治療法を検討・相談するようにしましょう。
外用薬・内服薬を使用する
シミの改善に効果を認められている外用薬・内服薬で治療するのも一つの手です。
市販薬よりも有効成分の含有量が多い傾向にあるシミ治療に効果的な代表的な処方薬(医療用医薬品)を4つ紹介します。
【外用薬】ハイドロキノン
老人性色素班・炎症後色素沈着(傷や炎症が原因で起こるシミ)・肝斑などの改善を期待できます。
シミのもととなるメラニン色素の生成を抑えて、排出を促すことで、シミを薄くしていきます。
「ハイドロキノン」とは?効果的な使い方や副作用を解説!いつから効果を感じられる?【外用薬】トレチノイン
ターンオーバーを正常化させて、肌の層に蓄積したメラニン色素の排出を促すことで、シミを改善していきます。
「ハイドロキノン」と併用することで、美白効果が高まります。
トレチノインの効果と使い方とは?ハイドロキノンとの併用療法や副作用も解説!【内服薬】トラネキサム酸
メラニン色素の生成を抑えることで、シミを改善していきます。
特に肝斑への改善効果を期待できる内服薬として知られています。
トラネキサム酸の美白効果や副作用を解説!飲み続けると白髪になる?【内服薬】ハイチオール
メラニン色素の生成抑制と、肌のターンオーバーを促進することで、シミのもととなるメラニン色素の排出を助けます。
シミ・そばかすの予防と改善に効果的な内服薬です。
ハイチオールは医薬品?シミ改善だけではない美容効果や副作用を解説施術を受ける
薄いシミを改善する施術方法には、レーザー治療以外にも、いくつか選択肢があります。
ケミカルピーリング
薬剤を用いて肌表面の古い角質を剥がす「ケミカルピーリング」。
このプロセスにより細胞が活性化し、ターンオーバーが正常化するため、メラニン色素の排出を促進できます。
ライムライト
IPL・光治療などとも呼ばれる「ライムライト」。
浅い層に広範囲に届きやすい特徴があるため、薄いシミの治療に効果的と言われています。
薄いシミの悪化を防ぐ対策法
シミは表皮や真皮などの皮膚の層にメラニン色素が蓄積されることで、肌表面に現れます。
いまは薄いシミも、さらにメラニン色素が蓄積されてしまうと、シミが濃くなってしまいます。
少しでもメラニン色素を蓄積しないためには、以下のような対策を行いましょう。
紫外線対策をする
紫外線のダメージは、肌に刺激を与えてメラニン生成を促進します。
そのため、一年中日焼け止めを塗ってシミが濃くなるのを防ぐことがシミ予防として重要です。
ビタミンC・ビタミンEを摂る
健康な肌状態を保つのに必要な栄養素を積極的に摂ることも、シミの悪化を防ぐためには重要です。
特に、シミの予防や改善をしたい場合は、ビタミンC・ビタミンEを意識して摂りましょう。
ビタミンCには生成されたメラニンを無色化する還元作用があります。
また、ビタミンEは新陳代謝促進の作用でメラニン色素の排出を助けます。
摩擦を避ける
摩擦によるダメージは、シミのもととなるメラニン色素の生成を促してしまいます。
例えば、洗顔時にゴシゴシと顔を擦る、顔を頻繁に触ると摩擦が起きてしまうので気を付けましょう。
保湿をする
肌が乾燥してしまうと、肌細胞を守るバリア機能が低下して、紫外線や摩擦などの外部刺激を受けやすくなります。
外部からの刺激を受けやすい状態の肌は、さらにダメージを受ける可能性が高く、その結果としてメラニンの過剰生成とシミの悪化を招きます。
したがって、肌の水分を保持するため、こまめな保湿ケアが重要です。
保湿を心がけることで、シミが濃くなるのを防ぐことができます。
薄いシミの治療法を理解してからレーザーを検討しよう
薄いシミに効果的なレーザー治療もありますが、ほかの施術や内服薬・外用薬を使用することでも改善を目指せます。
レーザー治療が適切か医師に相談したうえで、最適な治療法で改善を目指しましょう。
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都丸真依子 医師
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