オートファジーとは？ダイエット効果を得られる仕組みとやり方ご紹介

オートファジーって何？ダイエットに良いって聞くけど本当？

オートファジーには、ダイエット効果があると聞いて、気になって調べている方も多いかと思います。

オートファジーとは、細胞の仕組みのことで、活性化させると、ダイエットにも効果的と言われています。
ただし、やり方を間違えると、身体に悪影響を与えて、過食や貧血のリスクを伴うため、気を付けましょう。

今回は、オートファジーの効果や、オートファジーの仕組みを活用したダイエット方法などについて解説します。
ぜひ、この記事を読んで内側から健康な身体づくりを目指しましょう。

この記事でわかること

オートファジーとは、細胞が自らの細胞の一部を分解・再利用する機能のこと
オートファジーが活性化されると、ダイエット効果や老化防止、免疫力の向上につながる
「オートファジーダイエット」では時間や頻度を守って断食を行うことが大切

【簡単に解説】オートファジーとは？

オートファジーを一言で説明すると、「生き物の細胞が持つ細胞内の物質を分解する仕組み」です。
実際に、どのようなシステムなのか、詳しく解説していきます。

オート（自ら）ファジー（食べる）という意味の造語

オートファジー（Autophagy）は、「自ら」＋「食べる」という意味を合わせた造語です。
“auto”はギリシャ語で「自己」、”phagy”はphage等と同じで「食べる」という意味を持ちます。

日本語では「自食作用」と訳されます。
つまり、オートファジーとは細胞が自らの細胞の一部を分解・再利用する作用（自食作用）のことを指します。

細胞が自らの一部を分解・再利用する現象

細胞内には、タンパク質やミトコンドリアなど、さまざまな物質が存在します。
それらの物質に不具合が起きると、さまざまな病気にかかるリスクも高まります。

オートファジーでは、細胞内で不要になった老廃物を包み込んで分解します。
「掃除役」のような働きで、細胞の健康状態に保ち、機能を維持します。

また、分解された細胞内の物質はリサイクルされ、新たな材料になることがわかっています。
オートファジーの働きを、さらに詳しく解説します。

細胞の機能の維持

オートファジーでは、細胞内の老廃物を定期的に分解し、入れ替えが行われます。
細胞内にある不要になった物質を、オートファゴソームと呼ばれる隔離膜を形成し、取り囲みます。
そして、リソソームという構造物と融合し、オートリソームを形成することで分解します。

定期的に細胞の中身が入れ替わることで、細胞の機能が劣化しないよう維持できるのです。

有害物質の排除

オートファジーでは、細胞内に侵入したの有害物質を選択的に取り囲み分解して排除します。

細胞の中身を入れ替えて、細胞の機能を維持する仕組みでは、全部の物質を入れ替えるわけではありません。
有害物質などを選択的に分解して排除することが近年わかってきました。
例えば、細胞に病原性細菌やウイルスが侵入すると、それらを包み込み、分解することで無害化します。

オートファジーは、有害物質を排除することで病気を防ぐ役割を担います。

飢餓時のエネルギー源の確保

オートファジーは、細胞に栄養が供給されない飢餓状態に陥ったときに活発化し、エネルギー源を確保します。

人の身体は、食べ物などを摂取してエネルギー源を確保します。
エネルギー源が不足する場合は、細胞内の物質をエネルギー源として分解することで、エネルギーを確保します。

オートファジーの効果

オートファジーが活性化されると、健康や美容に関するさまざまな効果を得ることが期待できます。
ここでは、5つの効果についてご紹介します。

ダイエット効果

オートファジーが活性化されると、ダイエット効果が得られると考えられています。
一定の時間が経つまで、食事をとらないと栄養が十分でなくなり、オートファジーが活性化されます。
オートファジーが行われると、細胞の中に溜まった脂肪を分解する働きも活発化するため、ダイエット効果が得られます。

また、少しの飢餓状態を作ることで、オートファジーで老廃物などを回収する力が高まり、血液がきれいになります。
血液がきれいになると、腸内環境が整い便秘が改善されたり、むくみが改善されることで、ダイエット効果を得られるのです。

ただし、過度な断食を行うと、筋肉量が減りかえって痩せにくい身体を作りやすいので注意しましょう。

肌の老化防止（若返り効果）

オートファジーが活発化されると、肌を若々しく保ちやすくなると言われています。
肌の内側（真皮）には、肌のハリを保つコラーゲンや、うるおいを保持するヒアルロン酸があります。
コラーゲンやヒアルロン酸は、加齢や紫外線のダメージで、減少したり、劣化したまま蓄積しやすくなります。

オートファジーが活性化されると、コラーゲンの分解の抑制や、シミのもととなるメラニンを分解する効果が期待できます。
そのため、オートファジーの働きでシミ・シワ・たるみなどを防ぎ、肌を若々しく保つことにつながるのです。

健康長寿

オートファジーは、寿命を延ばすメカニズムに深く関係していると言われています。
動物実験において、オートファジーの低下を防ぐことに成功した結果、寿命が1.2倍に延び、老化による障害も起こりにくくなったという報告がされています。

歳をとると、オートファジーを低下させる働きがある「ルビコン」というタンパク質が増えることが一因で、細胞のオートファジーの機能が低下します。
そのため、歳を重ねてもオートファジーの働きを活発化させることができれば、健康長寿につながると考えられます。

免疫力の向上

オートファジーの細胞内の有害物質を除去する働きは、免疫向上する効果が期待できると考えられます。
生き物には、体内に侵入した有害な物質を排除する免疫機能が備わっています。

ただし、細胞のなかにまで侵入した有害物質は、本来備わっている自然免疫では排除しきれません。
オートファジーには、細胞内に侵入した有害物質まで、分解する能力が備わっていることが解明されました。
そのため、オートファジーが活発化されると、細胞内の有害物質を分解することで、免疫向上につながると言われています。

がん細胞の抑制

オートファジーには、がんの進行初期において、がん細胞の増殖を抑制する効果を期待できます。
変異細胞を排除することで、恒常性を維持することが判明したためです。

オートファジーの仕組みは、新たながん治療法の開発に繋がることが期待されています。

オートファジーで逆に癌になる？！

がんの進行中・後期には、オートファジーは、がん細胞の生存・増殖を助長してしまうと明らかになっています。がんにおけるオートファジーの役割は複雑かつ多面的であるため、現在も活発な研究領域の一つとなっています。

オートファジーの危険性やデメリット

オートファジーを活性化させることで、さまざまな効果が得られる反面、危険性やデメリットも存在します。
特に、オートファジーの効果を利用して、ダイエットを行いたいと考えている方は注意が必要です。

オートファジーが持つデメリットの面を事前に理解したうえで、無理のない範囲で実践しましょう。
以下では、オートファジーの危険性に関する3つの特徴を紹介します。

筋肉量が減る可能性

オートファジーによるダイエットでは、身体の飢餓状態を作るため、筋肉量が減る可能性があります。
エネルギーが不足する飢餓状態では、脂肪だけでなく、筋肉も分解されるためです。

筋肉量が減ると、基礎代謝が低下し、摂取した栄養素がエネルギーとして使われにくくなります。
そのため、脂肪がつきやすくなり、ダイエットが逆効果になるケースも少なくありません。

筋肉量が減るリスクへの対策として、筋肉のもととなるタンパク質を積極的に摂ることや、運動を欠かさないようにしましょう。

過食のリスク

オートファジーダイエットでは、12時間～16時間近く食事を摂らない方もいます。
1日のうちに8時間以内でしか食事をとることができない反動で、過食傾向になってしまう可能性があります。

慣れないうちは、無理に断食するのではなく、脂質や糖分の少ないものを間食として摂取することで、身体を慣らす期間をつくり、過食を防ぎましょう。

栄養不足・貧血のリスク

食事ができる時間を制限するオートファジーによるダイエットでは、栄養不足や貧血になる危険性があります。
食事量を過度に制限してしまうと、身体に必要なタンパク質やビタミンなどの栄養素が不足するためです。

オートファジーによるダイエットを行う日は、栄養バランスの良い十分な食事量を心がけましょう。

オートファジーのダイエットのやり方

オートファジーでの細胞内の老廃物や脂肪を分解する働きは、ダイエットに効果的と言われています。
ここからは、オートファジーの仕組みを活用したダイエットのやり方を

ただし「オートファジーによるダイエット」は、正しく行わないと健康被害を及ぼすリスクを伴います。
注意点も押さえながら、健康的にきれいな身体づくりを行いましょう。

断食を24時間のうち16時間（女性は12時間）にする

オートファジーを活性化させるダイエットでは、16時間の断食で飢餓状態を作ることで、脂肪を燃焼させます。
1日24時間のうち、16時間では、炭水化物などを摂取する食事を控えます。
例えば、夜の19時に食事を摂った場合は、翌日の11時まで食事を摂りません。

人の身体は断食を始めてから約10時間後に脂肪をエネルギー源として利用し始めると言われています。
さらに、そこから6時間が経つと、最もオートファジーが活性化されると言われているため、断食時間は16時間にすると良いと言われる傾向にあります。

ただし、女性にとって16時間の断食は身体への負担が大きい場合があります。
空腹時間が長いと、女性ホルモンの分泌が乱れやすくなり、体温が上がらず、血行不全や排卵・妊娠しづらい身体になりやすいためです。
女性の場合は、12時間程度を目安に16時間以上は、断食をしないように気を付けましょう。

残りの8時間でバランスの良い食事を2回とる

オートファジーによるダイエットでは、断食をする16時間以外の、残りの8時間で、バランスの良い食事を2食摂りましょう。

睡眠時に満腹だと消化活動が活発化して眠りが浅くなります。
さらに、朝食を抜くと、体温があがりづらく、貧血などを起こしやすいため、夕食を早めに済ませて午前中に食事を再開するのがおすすめです。

また、食事回数が減ることによる栄養不足を防ぐため、バランスの良い食事を心がけましょう。
特に、タンパク質を意識的に摂りましょう。
断食によるダイエットは、短期間で効果が出やすいものの、筋力が低下しやすいデメリットがあります。
筋力が低下して、基礎代謝が下がると、長期的にみると、痩せづらい身体になってしまいがちです。
そのため、筋肉をつくる元となるタンパク質を欠かさずにとることが重要です。

間食で食べていいものは脂質・糖分の少ないもの

オートファジーによるダイエットでは、約16時間の断食を行いますが、空腹を感じる場合は間食を摂りましょう。
空腹の時間が長く続くと、貧血やエネルギー不足やホルモンバランスの乱れで、体調を崩しやすくなります。

間食する際は、脂質や糖分が少なく栄養価の高い食べ物をとるのがおすすめです。

オートファジーダイエット中のおすすめの間食

ナッツ類	栄養価が高く腹持ちが良いただし脂質が多いため少量摂るのがおすすめ
ヨーグルト	乳酸菌やタンパク質が豊富腸内環境の改善に役立つ
チーズ	タンパク質が豊富糖質が低く血糖値が上がりくい
フルーツ	ビタミンが豊富糖質の少ないブルーベリーやグレープフルーツがおすすめ

飲み物はコーヒーや水を中心にする

オートファジーでのダイエットを行う際は、飲み物の種類も限定すると良いでしょう。
カロリーの少ない水や、カフェインを含むコーヒー、ビタミンを豊富に含むスムージーなどを中心にするのがおすすめです。

オートファジーダイエット中のおすすめの飲み物

水・白湯	カロリーが少なく脂質・糖質を含まない血の巡りをよくしてむくみを解消する
コーヒー	カフェインが含まれるため食欲の抑制や脂肪代謝の活性に期待できる無糖のものがおすすめ
炭酸水	カロリーが少なく脂質を含まず空腹を紛らわしいやすい無糖のものがおすすめ
スムージー	ビタミンが豊富糖質の少ないフルーツでつくられたものがおすすめ

オートファジーによるダイエット中は、食事制限により体内の水分も不足しやすくなるため、水分を多めにとることを意識しましょう。

午前中に軽い運動を取り入れる

オートファジーを活性化させるダイエットを行う日は、午前中に軽い運動を行うのが良いと言われています。

オートファジーを活性化させると、脂肪だけでなく筋肉も分解してしまいます。
筋肉量が減ると基礎代謝が減少するため、オートファジーダイエット中は運動が必須です。

特に、最も体温の低い時間帯である午前中に運動を行うことで、体温を上昇させ、1日の代謝量を増やすことができます。
さらに、早朝から朝9時の間は、テストステロンというホルモンの分泌が増えることで、筋肉がつきやすいと言われる時間帯です。
散歩やスクワットなど、手軽に行いやすい運動でも良いので取り入れていきましょう。