防己黄耆湯とは?痩せたと言われる理由や効果が出るまでの期間を解説

防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)は、多汗症や水太りの改善に効果的な漢方薬です。

むくみがひどい…。汗が止まらない…。

疲れやすく、汗をかきやすい方に相性が良いと言えます。
その他にも、関節痛の治療など、幅広い目的で服用されます。

今回は、防已黄耆湯の効果や服用期間について解説します。
効果が似ていると言われる防風通聖散との違いについても一緒に紹介するので、参考にしてみてください。

この記事でわかること

  • 防已黄耆湯はむくみや水太りの改善に効果的な漢方薬
  • 防已黄耆湯の効果を実感するには、ある程度長期的な服用が必要な場合が多い
  • 防已黄耆湯を効果的に服用したい方は専門医に相談する

防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)とは

防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)は、代謝機能を高める作用を持つ漢方薬です。
多汗症や水太り、むくみ改善に効果的と言われています。

まずは、防已黄耆湯に含まれる生薬や作用について詳しく解説していきます。

6種類の生薬で構成された漢方薬

防已黄耆湯は、6種類の生薬で構成されています。
以下の生薬が含まれています。

生薬 作用
防已(ボウイ) 余分な水分を排出する
黄耆(オウギ) 汗を抑える
生姜(ショウキョウ) 消化促進・血行促進
白朮(ビャクジュツ) 胃腸の働きを整える
大棗(タイソウ) 余分な水分を排出する
甘草(カンゾウ) 胃腸の働きを整える

複数の生薬が消化吸収を助け、余分な水分の排出を促すことで多汗症や水太り、むくみを改善します。

「気」と「水」に作用する漢方薬

中医学では、人の身体を構成する基本的な要素は「気」・「血」・「水」と定義されます。
気・血・水の3つの要素のバランスが保たれることで、健康を維持できると考えられています。

防已黄耆湯は、「気」と「水」に作用します。

「気」が不足すると、汗の調節機能が弱り、多汗症を引き起こすことがあります。
また、「水」の巡りが停滞すると、むくみや水太り・水が溜まることが原因の関節痛などを招きます。

防已黄耆湯は「水」の巡りを促し、「気」を補うことで、肥満体質の改善に働きかけます。

防已黄耆湯の服用が相性の良い方

  • むくみやすい方
  • 関節に痛みがある方
  • 水太りによる肥満症の方
  • 汗をかきやすい方
  • 体力が中等度以下の方

むくみやすい方や、関節痛を引き起こしやすい体質の方に、相性が良い傾向にあります。

防已黄耆湯の効果

防已黄耆湯には、主に以下の効果が期待できます。

  • 水分代謝を整える
  • 胃腸の働きを助ける

それぞれの作用がどのような症状に効果的なのかを詳しく解説していきます。

水分代謝を整える

防已黄耆湯は、余分な水分を排出する利水作用や発汗を抑える作用で水分代謝を整えます。
利水作用を持つ「防己」や「大棗」、発汗を抑える「黄耆」などの生薬が含まれているためです。

防已黄耆湯の服用で、水分代謝が整うと、主に以下3つの症状が改善されやすくなります。

多汗症の緩和

防己黄耆湯の服用では、多汗症の緩和に期待できます。

多汗症は、体の水分調整機能が乱れることが一つの原因で発生します。
多汗症には、いくつかの要因が考えられますが、代表的なものには、糖尿病やホルモンバランスの乱れが挙げられます。
ホルモンバランスの乱れは、全身の発汗と、局所的な発汗どちらにも影響を及ぼします。

防已黄耆湯には、体の神経系のバランスを整える作用があります。
これにより、過剰な汗の発生を抑える効果が期待できます。

むくみの解消

防己黄耆湯は、むくみの解消を助けます。

むくみは、体内の水分代謝がうまくいかないことが原因で生じます。
むくみが生じていると、血流が滞り、太りやすい状態にもつながります。
防已黄耆湯には、余分な水分を排出する作用があるため、むくみの解消にもつながります。

関節痛の緩和

防己黄耆湯は、関節痛の緩和に働きかけます。
関節痛は、体内の水分代謝が乱れた結果、関節に水分が溜まることが原因の一つです。

防已黄耆湯の利尿作用には、関節に溜まった水分を減少させる効果を期待できます。
これにより、関節痛を緩和する効果が期待できます。

胃腸の働きを助ける

防已黄耆湯には、胃腸の働きを助ける効果が期待できます。
防已黄耆湯に含まれる「白朮」や「甘草」には、胃腸の働きを整える作用があるためです。

胃腸は、食べ物の消化と栄養の吸収を行う器官です。
通常は、神経系によって胃酸と胃粘液のバランスが保たれています。
しかし、食べすぎや疲労で自律神経の乱れが生じると、胃腸の調子が悪くなります。
胃腸の不調に伴い、消化不良や食欲不振、胃の不快感などの症状が現れる場合があります。

そのため、防已黄耆湯の服用で、胃腸の働きが正常化されることで、胃腸の不調に伴う症状を改善が期待できるのです。

防已黄耆湯で痩せたと言われる理由

「防已黄耆湯で痩せた」という口コミを目にしたことがある方もいるかもしれません。
実際には、防已黄耆湯には脂肪の燃焼を助けたり、身体を直接的に痩せさせる効果は認められていません。

防已黄耆湯の服用で痩せたと言っている方は、むくみが取れた結果、痩せやすい体質になった可能性が考えられます。
防已黄耆湯は、水分代謝を整えることで、水太りやむくみを改善する効果が期待できます。
その結果として、間接的に体重減少や痩身になりやすい体質改善につながったのかもしれません。

防已黄耆湯の服用で痩せたと感じやすい可能性がある方

  • 余分な水分が排出できず水太りしている方
  • むくみに悩んでいる方

体質によっては、防已黄耆湯の服用で痩せたと実感できる場合があるでしょう。

防已黄耆湯の副作用

漢方薬は、西洋薬に比べて効き目が穏やかで副作用も生じにくいとされています。
しかし、防已黄耆湯には副作用による症状生じるリスクがないわけではありません。
防已黄耆湯の服用で副作用が現れた場合は、服用を中止し、早めに医師に相談しましょう。

防已黄耆湯の副作用として生じる可能性のある症状を大きく4つ紹介します。

発疹・赤み・かゆみ

防已黄耆湯の服用により、皮膚に発疹・赤み・かゆみなどのアレルギー反応が現れる場合があります。

防已黄耆湯に含まれる生薬が体質に合わず、アレルギー反応を起こすことが理由と考えられます。

食欲不振・胃の不快感

防已黄耆湯の服用により、食欲不振や胃の不快感が生じる場合があります。
一般的に、症状は軽度の傾向にあると言われますが、症状が現れた場合は服用を中止してください。
また、症状が続いて治らない場合は、医師に相談してください。

息切れ・息苦しさ

防已黄耆湯の服用により、まれに、息切れや息苦しさが生じる場合があります。
息切れや息苦しさを感じたら、間質性肺炎を発症している可能性があります。

間質性肺炎とは

肺の間質と呼ばれる部分に炎症や損傷が生じる病態です。
間質性肺炎の原因は、不明であることが多く、メカニズムは解明されていませんが、漢方薬や風邪薬、抗がん剤の影響で発症する場合もあると言われています。

息切れ・息苦しさの症状が現れた場合は、服用を中止し、ただちに医師に相談しましょう。

高血圧・手足のしびれ

防已黄耆湯の服用により、まれに、高血圧・手足のしびれが生じることがあります。
この場合、偽アルドステロン症を発症している可能性があります。

偽アルドステロン症とは

血圧を上昇させるアルドステロンというホルモンが増加していないにも関わらず、高血圧・むくみ症状・筋肉異常(ミオパチー)による手足のしびれなどが現れる病態です。
甘草や甘草に含まれるグリチルリチンを含む医薬品を大量に摂取することで、血中のカリウムの喪失やナトリウム値の上昇が起こることが原因と考えられています。

防已黄耆湯には、甘草が含まれています。
長期的な服用や規定量を超えて服用すると、偽アルドステロン症を引き起こすことがあります。

防已黄耆湯を服用するときは、用量・用法を守ることが大切です。
また、甘草は多くの漢方薬に配合されており、自己判断での漢方薬の併用によって過剰摂取となる場合もあります。

防已黄耆湯の処方薬・市販薬

防已黄耆湯には、医療機関で取り扱いのある処方薬のほか、市販薬があります。
以下で、防已黄耆湯の処方薬と市販薬をご紹介します。

ツムラ防已黄耆湯エキス顆粒(医療用)

医師からの処方が必要となる、処方薬の防已黄耆湯です。
通常、成人1日7.5gを2〜3回に分割して服用します。
年齢・体重・症状により適宜増減するので、医師の指示に従って服用してください。

ツムラ漢方防已黄耆湯エキス顆粒

顆粒タイプで、市販薬の防已黄耆湯です。
生薬の含有量は、ツムラの処方薬の約1/2となっています。
副作用のリスクをなるべく抑えたい方や、他にも薬を併用していて、配合生薬の接種量を調整したい方に向いています。
以下の量を、食前に水またはお湯で服用してください。

用法・用量

年齢 1回量 1日服用回数
成人
(15歳以上)
1包(1.875g) 2回
7歳以上15歳未満 2/3包 2回
4歳以上7歳未満 1/2包 2回
2歳以上4歳未満 1/3包 2回
2歳未満 服用しないでください 服用しないでください

防已黄耆湯エキス錠Fクラシエ

錠剤タイプで、市販薬の防已黄耆湯です。
成人の1日の服用量12錠中、防已黄耆湯エキスを3,200mg含んでいます。
以下の量を、食前または食間に水またはお湯で服用してください。

用法・用量

年齢 1回量 1日服用回数
成人
(15歳以上)
        4錠         3回
5才以上15才未満         2錠         3回

防已黄耆湯を服用する際の注意点

漢方薬は、正しい用法・用量で、一定期間服用を継続することが大切です。

ただし、体質や状況によっては、服用できない場合があります。
服用を検討している方は、事前に注意点を確認しておきましょう。

病気で治療を受けている方は服用できない場合がある

病気で治療を受けている方は、防已黄耆湯を服用できない場合があります。
他の治療薬との併用の観点や、症状によっては、漢方との相性が悪い場合があるためです。

病気の治療中で防已黄耆湯の服用を検討している方は、必ず医師に相談しましょう。

妊娠中・授乳中の方は事前に医師に相談する

妊娠中・授乳中の方で防已黄耆湯の服用が必要と検討中の場合は、事前に医師に相談しましょう。

妊娠中・授乳中の方は、身体の状態や薬の種類、服用期間などを総合的に考慮して服用可否を判断する必要があります。
自己判断での服用は、胎児の健康リスクを伴う可能性があります。

必ず服用する前に医師に相談し、医師の判断を仰ぎましょう。

副作用が現れたら服用を中止する

副作用が現れた場合は、服用を中止してください。
軽度であれば服用の中止によって収まることが多いですが、重度の場合はただちに病院での治療が必要です。
副作用による症状がなかなか収まらない場合や、症状が重い場合は、医師に相談してください。

防已黄耆湯の効果が出るまでの期間

防已黄耆湯の効果を実感できるのはいつ?

防已黄耆湯の十分に効果を得るためには、継続して服用することが大切です。
ここでは、防已黄耆湯の効果が出るまでの期間の目安を解説します。

2週間~4週間の服用で効果が出るのが一般的

防已黄耆湯の効果を実感できるまでの期間は、個人差があります。
目安としては、約2週間〜4週間で効果を感じると言われています。

漢方薬は、生薬の力で体質を改善するように導き、徐々に不調を緩和させます。
よって、1日〜2日の服用で効果を感じられるといった即効性はあまりないと考えられます。

1ヶ月以上の服用で効果がない方は合わない可能性が高い

1ヶ月以上の服用で効果がない方は、防已黄耆湯が体質に合っていない可能性が高いです。

防已黄耆湯は漢方薬なので、体質によって効果が得やすい方/得にくい方に分かれます。

1ヶ月程度、または医師から指定のあった期間で、服用を継続しても効果を実感できない場合は、一度医師に相談してみてください。

防已黄耆湯と防風通聖散はどっちがいいの?

防已黄耆湯と並んで「体質改善を目的としたダイエットに役立てたい」という方が服用を検討することが多い防風通聖散。
より効果を実感するためには、自分はどちらの漢方を服用すべきかという点が気になりますよね。

以下で、防已黄耆湯と防風通聖散の違いや、併用可否についても解説します。

むくみやすい方は防已黄耆湯との相性が良い

むくみやすい体質の方は、防已黄耆湯との相性が良いと言えます。
むくみやすい方は、余分な水分が体内に蓄積された結果、水太りを起こしている可能性があります。

防已黄耆湯は、水分代謝を調節する作用を持ち、余分な水分の排出を促します。
その結果、むくみが改善されて、痩せやすい身体の土台を整えやすくなるのです。

水太りの疑いがある方は、防已黄耆湯を選ぶと良いでしょう。

脂肪が多い方は防風通聖散との相性が良い

脂肪が多い方は、防風通聖散との相性が良いと言えます。
防風通聖散は、内臓脂肪や皮下脂肪を減少させる作用と、食事に含まれる余分な油を便と一緒に排出する作用を持ちます。
「脂肪の増加」の防止をサポートしてくれることで、脂肪を減らしやすくなる可能性があります。

脂肪が多いとお悩みの方は、防風通聖散を選ぶと良いでしょう。

防風通聖散について詳しくはこちら

防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)の効果で1か月で痩せる?副作用や飲み方を解説

防已黄耆湯と防風通聖散の併用は相性が悪い場合がある

防已黄耆湯と防風通聖散の併用は、相性が悪い場合があります。
それぞれの漢方は、相性の良い体質が異なるためです。

漢方薬は、主に患者の体質(証)と相性が良い場合に効果が発揮されやすくなります。

中医学での体質の分類

  • 体力があまりなく水太りしているタイプは「虚証」
  • 力があり脂肪が蓄積されているタイプは「実証」

防已黄耆湯は「虚証」タイプに向いており、防風通聖散は「実証」タイプに向いています。
効果を発揮する条件が異なるため、同じ人が併用しても、それぞれの効果を実感しづらいのです。

また、防已黄耆湯と防風通聖散は、配合されている生薬が一部重複しています。
特定の生薬を必要以上に接種してしまうと、副作用のリスクを高めます。

防已黄耆湯を効果的に取り入れたい方は専門医に相談

防已黄耆湯を効果的に服用したい方は、専門医に相談するのがおすすめです。
処方を受ける際に、症状や体質を考慮してアドバイスをもらうことができるためです。

他の漢方薬が適していると判断される場合や、医薬品の使用のほうが向いていると判断される場合もあります。

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この記事の監修医

東京山手クリニック

藤原東華 医師

美しさを求めるすべての人たちに

当院は「あなたのお肌のかかりつけ」をコンセプトに、皆さんのお肌を作り直すサポートをしていきたいと考えております。ただ肌悩みを改善するだけではなく、健康で美しいお肌を取り戻し、笑顔で日々を過ごせるよう、お手伝いさせていただければ幸いです。

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