肝斑とは、主に30代〜50代に現れやすく、左右対称にもやもやと広がるシミの一種です 。
もしかして、私のこのシミも肝斑なのかな?
と不安に思っている方もいるかもしれません。
肝斑は自己流のケアで悪化する恐れがあるため、まずはその正体をきちんと知ることが改善の第一歩です。
この記事では、肝斑の特徴から原因、治療法までを徹底解説します。
あなたの悩みを解決するヒントがきっと見つかるはずです。
この記事でわかること
- 肝斑とは薄茶色で頬や顎に左右対称に現れる「シミ」
- 肝斑はホルモンバランスが乱れがちな30〜50代の女性に好発する
- 肝斑の治療には、処方薬の使用が効果的
目次
肝斑とは

実は、シミ悩みを経験したことがある20~50代のシミのうち、約2人に1人の症状は「肝斑」だと言われています。(※)
ずっと一般的なシミだと思っていたものが実は肝斑だった、というのはよくある話のようです。
(※)第一三共ヘルスケア株式会社 「肝斑」の現在地 2023年最新レポート より
シミにはいくつか種類があり、肝斑はシミの一種です。
肝斑に、他のシミに効果的なケアをしてしまうと、悪化する恐れもあるため注意が必要です。
ご自身の症状が肝斑か分からない方は、以下のコンテンツでセルフチェックをしてみましょう。
肝斑セルフチェック
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ここからは「肝斑とは」どういうシミなのか、詳しく解説していきます。
薄茶色で頬や顎に左右対称に現れるシミ

肝斑とは、頬やあご、額や鼻の下にできる薄茶色や灰褐色のシミのことです。
左右対称に、同じ大きさ・形で現れるのが特徴です。
また、輪郭がハッキリしている一般的なシミと異なり、輪郭がはっきりしないぼやけた形で見えます。
30代から50代にかけて発生しやすいシミ

肝斑とは、更年期にさしかかる30代後半から40代、50代の女性に発生しやすいシミです。
更年期に入ると女性ホルモンの1つである「エストロゲン」が急激に減少し、女性ホルモンのバランスが乱れるためです。
一方、50・60代の時期には女性ホルモンの分泌量が安定します。
そのため、閉経を過ぎる頃から、肝斑は薄くなりやすいと言われています。
ただし、肝斑は必ずしも、加齢とともに薄くなるわけではないので、注意しましょう。
紫外線など、肌へのダメージを多く受けていると、メラニンが蓄積して薄くならないケースがあります。
肝斑の原因

肝斑ができる原因は、主にホルモンバランスの乱れや皮膚への摩擦、バリア機能の低下、生活習慣の乱れ、精神的要因があげられます。
日頃の生活を振り返りながら、以下の章で、原因をひとつずつ確認していきましょう。
ホルモンバランスの乱れ
肝斑は主に女性ホルモンの変化により発生します。
更年期にさしかかる30代後半から40代、50代くらいの女性が肝斑を発症しやすいのも、この女性ホルモンのバランスが乱れることが原因です。

更年期になると女性ホルモンの1つである「エストロゲン」が急激に減少し、ホルモンバランスが乱れます。
ホルモンバランスが乱れると、メラニン色素を作るメラノサイトを刺激し、色素沈着を引き起こすと考えられています。
そのため、妊娠や経口避妊薬(ピル)の服用によってホルモンバランスに変化があったときに、肝斑が発症する場合もあります。
紫外線によるダメージ

紫外線ダメージにより、細胞「メラノサイト」が活性化され、黒色色素「メラニン」が過剰に生産されることも肝斑が悪化する原因の一つです。
紫外線ダメージを受けると、ダメージから肌を守ろうと、メラノサイトがメラニンを過剰生成してしまいます。
それにより、メラニンが沈着し、肝斑が濃くなってしまうのです。
皮膚への摩擦

肝斑の原因として、日常生活での皮膚への摩擦もあげられます。
顔の皮膚は薄いため、クレンジングや洗顔、メイクの際のこすりすぎなど、ちょっとした摩擦でも刺激になってしまいます。
それらの刺激によって、メラノサイトが活性化し、メラニンが過剰生産されてしまうのです。
その結果、メラニンが沈着し、肝斑が濃くなってしまうのです。
肝斑の治療法

年齢とともに肝斑が悪化し、今すぐにでも治したいと考える方も多いのではないでしょうか。
肝斑の治療法には、外用薬・内服薬の使用、美容施術が選択肢として挙げられます。
自身の肝斑の症状を医師に相談し、最適な治療方針を立てるのがおすすめです。
それぞれの治療法については、以下で詳しく解説します。
肝斑は、メラノサイトが刺激され、メラニン色素が過剰に生成されることで発生します。
そのため、肝斑の改善には、
①溜まったメラニンの排出を促進する
②メラニン色素を抑制する
という2つがポイントになります。

メラニン色素に対してアプローチすることで、肝斑特有の色味を薄くしていきます。
肌のターンオーバーにより、メラニン色素は排出されていきますが、ターンオーバー周期は20代でも約1ヶ月程であり、継続した治療を行う必要があります。
外用薬を使用する
肝斑の治療において、外用薬は基本的な治療法の一つです。
メラニン色素の生成を抑制したり、既にできてしまった色素沈着を薄くする効果が期待できます。
以下では、肝斑の改善において効果が期待できる外用薬を紹介しています。

- 主成分はハイドロキノンで、メラニン色素の産生を抑制する
- メラニン色素の産生を抑え、シミやニキビ跡を薄くする
- メラノサイト(メラニンを作る細胞)自体を減少させることで色素沈着を防ぐ
- シミや色素沈着によるニキビ跡の改善・予防
- 肌のトーンを均一にする美白効果
- 色素沈着を抑えることで、透明感のある肌へ導く
- 1日1〜2回、最初は1日1回から開始
- シミやニキビ跡など色素沈着が気になる部分に塗布
- かぶれや刺激感(個人差あり)
- 赤みやかゆみが出た場合は使用を中止
ハイドロキノンは医療現場で最も効果の高い美白成分として認められています。強い刺激性と酸化しやすい特性があるため、正しい保存方法と使用期間を守り、必ず日焼け止めと併用することでより安全に効果が期待できます。
▼ハイドロキノンについて詳しくはこちら


- ビタミンAの誘導体で、多くの肌悩みの改善に使用される医薬品
- ハイドロキノンと一緒に使われることが多い
- 強力な作用を持つため、休薬期間を設ける必要がある
- シミの原因となるメラニン色素の排出を促す
- 潤い成分の分泌を促進し、肌に潤いを与える
- 皮脂分泌を抑制して、ニキビの改善を助ける
- 1日1回就寝前に使用する
- 化粧水などで肌を保湿した後、気になる部分に塗る
- トレチノインが乾いたら、上から美容液や乳液を重ねる
- 翌朝、トレチノインを洗顔で落とす
- ハイドロキノンと併用する場合は、先にハイドロキノンを塗り、その後にトレチノインを塗る
- 「レチノイド皮膚炎」、別名「A反応」と呼ばれる副作用が起こることがある
- 特に使用初期によく見られる
- レチノイド皮膚炎では皮むけや赤み、痒み、乾燥といった症状が生じる
▼トレチノインについて詳しくはこちら

内服薬を使用する
肝斑の治療には、内服薬の使用が効果的です。
内服薬は、肌に直接刺激を与えずに治療を進められるため、肝斑治療への相性が良いと考えられます。
肝斑治療に用いられる代表的な内服薬には、「トラネキサム酸」と「シナール」が挙げられます。

- メラニン色素を生成する細胞の活動を抑制することで、メラニンの生成を防ぎ、肝斑の発生と進行を防ぐ
- 特に肝斑に対して第一選択薬として推奨
- 効果は1〜2ヶ月後から現れることが多い
- 肌内部の炎症抑制によるメラニン合成抑制
- シミ・肝斑の改善
- ニキビ跡の色素沈着改善
- 1回1錠を1日2回服用
- 年齢や症状により適宜増減
- 消化器系への副作用
まれに食欲不振、悪心、嘔吐、下痢、胸やけ - 神経系への副作用
眠気 - 皮膚への副作用
掻痒感、発疹
「肝斑治療の第一選択」と言われており、メラニン生成の根本原因である炎症そのものを抑えることで、レーザー治療よりも安全に色素沈着を改善します。
血栓発症リスクの高い方は服用できない場合があるので、服用を希望する場合は、皮膚科医に相談しましょう。
▼トラネキサム酸について詳しくはこちら


- 主成分はアスコルビン酸(ビタミンC)とパントテン酸カルシウム(ビタミンB5)
- ビタミンCはシミの原因(メラニンの生成)を抑制し、シミ・そばかすを防ぐ
- ビタミンB5は代謝を亢進させ、グルタチオンの産生を促進する
- シミの原因となるメラニン生成を抑制
- コラーゲン生成促進により肌にハリを与える
- 皮膚や粘膜を美しく正常に保つ
- 1回1錠を1日2回服用
- 年齢や症状により適宜増減
- 飲み忘れた場合は気づいたときにすぐ服用(次に飲む時間が近い場合は1回とばす)
-
胃腸への副作用
まれに胃不快感、悪心、嘔吐、下痢などの症状
ビタミンCとB5の力で肌の内側からシミを防ぎ、ハリのある美肌を目指しましょう。継続的な服用が効果を最大化させるポイントです。
▼シナールについて詳しくはこちら

上記で紹介した外用薬・内服薬は、医療用医薬品であり、使用には医療機関の受診と医師による処方箋の発行が必要です。
病院に行く時間がない方には、オンライン診療サービス「東京美肌堂」がおすすめです。

初回購入で使える!
美容施術を受ける
外用薬や内服薬で効果が不十分な場合や、より早く改善したい場合には、美容皮膚科でのレーザー治療などの施術も挙げられます。
ただし、肝斑は通常のシミとは異なり、レーザーの種類や照射方法を誤ると悪化する可能性があるため、肝斑治療の経験が豊富な医師による施術を受けることが重要です。

治療薬では徐々にメラニン色素を排出するのに対し、レーザー治療は、メラニン色素を直接的に破壊するよう働きかけます。
そのため、比較的即効性が期待できる一方で、肌への負担がかかると考えられます。
ここでは、肝斑に用いられる主なレーザー治療を2つ紹介します。
レーザートーニングとは、低出力のレーザーを均一に照射し、レーザーの熱でメラニンを減少させる施術です。
微弱なレーザーで、メラノサイトの活性化を抑え、少しずつメラニン色素を破壊します。
レーザートーニングによる治療は、一度では完了せず、複数回の施術が必要とされています。
Qスイッチヤグレーザーとは、特定の波長のレーザーを使用してメラニン色素を破壊する治療法です。
通常のシミ治療よりも低い出力で照射するか、レーザートーニングモードで使用することで、肝斑の悪化を防ぎながら治療を進めます。
施術後は一時的に赤みや軽い腫れが出ることがありますが、数日で落ち着くことがほとんどです。
肝斑の悪化を防ぐ方法

肝斑の改善には、処方薬やレーザー治療だけでなく、日常的な習慣を見直すことが重要です。
30代後半から発生しやすい肝斑だからこそ、早めの対策が大切です。
今日から始められる、肝斑ケアのポイントを3つご紹介します。
スキンケア時の摩擦を抑える

肝斑の悪化を防ぐためには、スキンケア時の摩擦を抑えることが大切です。
普段のスキンケアで、化粧水やクリームを染み込ませようと、叩き込んだり、強く擦ったりするのはやめましょう。
スキンケア時には、摩擦を抑えるために、保湿剤を手のひらに広げてから肌にそっと密着させるようにしましょう。
紫外線対策を毎日行う

肝斑の悪化を防ぐためには、毎日紫外線対策を行うことが大切です。
日頃から日焼け止めを塗り、日傘や帽子を使用しましょう。
曇りの日にも、紫外線は快晴時の6〜9割存在するため、2時間に1回は日焼け止めを塗り直すよう心がけが必要です。
ホルモンバランスを整える

ホルモンバランスの乱れは肝斑の主な原因です。
睡眠不足・不規則な生活リズム・食生活の偏り・運動不足などは、ホルモンバランスの乱れに繋がります。
日頃から、生活リズムを整えたり、バランスの良い食事を心がけましょう。
肝斑と似た症状のシミ

肝斑だと思っていたら、実は別の種類のシミだったということは少なくありません。
シミの種類によって適切な治療法が異なるため、症状の見極めが重要です。
以下の表で、肝斑と間違えやすいシミの違いを比較してみましょう。
肝斑 | 老人性色素斑 | ADM | |
---|---|---|---|
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|
色味 | 淡褐色〜褐色 | 淡褐色〜濃褐色 | 灰色がかった青褐色・紫褐色 |
形状 | ぼんやりと広がる、境界不明瞭 | 円形・楕円形、境界明瞭 | 点状に集まる |
左右対称性 | 左右対称 | 非対称(片側のみもある) | 左右対称が多い |
好発部位 | 頬骨、額、口周り | 頬骨、こめかみ、手の甲 | 頬骨上部、額外側、小鼻横 |
発症年齢 | 30〜40代 | 20代後半〜 | 20代以降 |
主な原因 | ホルモンバランスの乱れ、紫外線 | 長年の紫外線ダメージ | 遺伝的要因、紫外線 |
効果的な治療 | 内服・外用薬、レーザートーニング | レーザー治療、光治療 | Qスイッチレーザー |
▼肝斑と他のシミとの見分け方について詳しくはこちら

老人性色素斑
老人性色素斑は、紫外線の影響で発生する最も一般的なシミです。
肝斑との違いは、円形や楕円形で輪郭がはっきりしていること、左右対称ではないことです。
治療法も異なり、レーザー治療が効果的です。
▼老人性色素斑について詳しくはこちら

ADM
ADM(後天性真皮メラノサイトーシス)は、肌の深い層にメラニンが沈着するシミで、青みがかった色味が特徴です。
肝斑と同じく左右対称に現れることが多いため見分けにくいですが、点状に集まって現れる点が異なります。
Qスイッチレーザーでの治療が有効で、肝斑の内服薬では改善しません。
気になるシミが肝斑かどうか、見分けるご相談は東京美肌堂へ

顔にできたシミが肝斑なのか、それとも他のシミなのか、自分で判断するのは難しいものです。
シミの種類によって適切な治療法は大きく異なるため、まずは正確な診断を受けることが改善への第一歩となります。
より効果的に治療を進めるには、医師の診断のもと、適切な処方や治療方針を受けましょう。
中には、美容皮膚科に直接通院する時間がないという方も多いと思います。
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藤原東華 医師
当院は「あなたのお肌のかかりつけ」をコンセプトに、皆さんのお肌を作り直すサポートをしていきたいと考えております。ただ肌悩みを改善するだけではなく、健康で美しいお肌を取り戻し、笑顔で日々を過ごせるよう、お手伝いさせていただければ幸いです。