「イソトレチノイン」は重症ニキビや、難治性ニキビの改善効果が期待できる薬です。
なかなか治らないニキビの治療法を調べていたら、イソトレチノインという薬を知った方もいるかもしれません。
イソトレチノインは、国内の皮膚科では処方が認められていません。
「本当に使用していいのか」という疑問や、「怖い」というイメージを持たれる方も多いかと思います。
そこで、今回は、イソトレチノインの効果や副作用、注意点まで詳しく解説していきます。
記事を読んで、イソトレチノインを正しく理解し、本当に自身に必要かどうか判断してみてください。
目次
「イソトレチノイン」とは抗炎症成分
「イソトレチノイン」とは、成分名です。
レチノイドを主成分としており、ビタミンAの一種で、皮脂の分泌を強制的に抑制する作用と抗炎症作用を持ちます。
イソトレチノインという成分は、「アキュテイン」や「イソトロイン」などの内服薬に含まれています。
欧米などでは、約40年前から使われていますが、日本では副作用を考慮して、厚生労働省による医薬品としての承認が出されていません。
そのため、保険も適用されず、入手する際は、18歳未満の方には処方されないことが一般的です。
ただ、他の治療では治らなかった重症化したニキビも、治せる可能性があることから、「ニキビ治療の切り札」と言われることもあります。
イソトレチノインにはどのような効果があるのか見ていきましょう。
「イソトレチノイン」の効果
イソトレチノインは、以下の3つの症状に効果を期待することができます。
- 難治性ニキビ
- ニキビ跡予防
- 赤ら顔
1つずつ詳しく解説していきます。
難治性ニキビに有効
イソトレチノインには、強力な毛穴詰まり改善作用と、抗炎症作用があります。
そのため、他の治療法では改善が困難である、難治性ニキビにも有効だと言われています。
通常の保険診療(普通の治療)では治療効果が見られなかったり、すぐに再発してしまうようなニキビを「難治性ニキビ」と呼ぶことがあります。
難治性になってしまう根本的な原因としては、皮脂の過剰分泌による毛穴の詰まりが挙げられます。
難治性のニキビの特徴には、以下のようなものが挙げられます。
- 腫れや炎症があるような見た目
- ニキビの炎症箇所に膿がある
- 皮膚科で処方される医薬品を複数試したが治らない
特に皮脂の分泌量が多い肌質の方は、難治性ニキビができやすいと言われています。
以下のイソトレチノインの3つの作用が、このような難治性ニキビを改善へと導きます。
①皮脂腺を収縮する作用
難治性ニキビの根本的原因になるのは、皮脂の過剰分泌。皮脂の分泌が行われる皮脂腺を収縮させることで皮脂の過剰な分泌を防ぎます。
②角化異常を正常化する作用
角化異常と呼ばれる毛穴の詰まりを改善する効果が期待できます。
皮脂が毛穴に溜まることを防ぐことで、、ニキビの原因菌の増殖を防ぎます。
③抗炎症作用
毛穴詰まりによって発生するニキビが悪化すると、赤く炎症を起こすことがあります。
これは、アクネ菌が増殖すると、アクネ菌を排除しようとする免疫細胞の働きが活発化するためです。
イソトレチノインには、免疫細胞を正常化する作用があります。
そのため、炎症を沈静化させる効果を期待することができます。
ニキビ跡予防に有効
難治性ニキビのように、重症化したニキビは、跡が残りやすいと言われています。
最悪の場合、クレーターと呼ばれる凸凹した肌になってしまうこともあります。
イソトレチノインには、ニキビ跡を直接改善する効果はありません。
ただ、早い段階で使用することで、難治性ニキビが跡として残ってしまうような状態になる前に、治癒させる効果は期待できます。
そのため、治りにくいニキビ跡になるのを予防するためには、イソトレチノインは有効だと言えます。
赤ら顔(酒さ)に有効
イソトレチノインは、赤ら顔(酒さ)にも効果があります。
赤ら顔とは、鼻や頬に細い血管が透けて見えるように、顔が赤みを帯びている状態が続く症状を指します。
原因は、明確ではなく、刺激物の摂取・寒暖差・紫外線などと言われています。
イソトレチノインが持つ抗炎症作用・皮脂の分泌量を減らす作用などが、赤ら顔の改善に効果を期待できます。
「イソトレチノイン」の重い副作用
イソトレチノインという成分は、難治性ニキビなどの治療効果を見込めます。
その一方で、重篤な副作用が出る可能性があります。
日本では、ニキビは、身体に不調を起こす疾患ではないと扱われていますが、重篤な副作用があるという点も踏まえて、医薬品として承認されていないと考えられます。
それだけ注意が必要という見方もできます。
では一体どのような副作用が現れてしまうのでしょうか。
一つずつ詳しく見ていきましょう。
胎児奇形の可能性
妊娠中の方がイソトレチノインを服用すると、胎児奇形のリスクが高くなります。
特に妊娠の初期、0~13週間にイソトレチノインの影響を受けると、胎児の約40%が奇形を起こすと言われています。
妊娠中や妊娠計画のある女性以外にも、男性も、服用中~服用6ヶ月は避妊が必要です。
また、出産後であっても、授乳期間は乳児へ影響を与える恐れがあるため、イソトレチノインの服用は禁止されています。
妊娠中や妊娠計画中にニキビを治療したい場合は、使用可能な薬はどれか担当医に相談するようにしましょう。
精神疾患の可能性
イソトレチノインの内服で、精神疾患を引き起こす可能性があると言われています。
あくまで、可能性で、明確な因果関係が立証されたわけではありません。
しかし、イソトレチノインが使用されることがある欧米ではイソトレチノイン含有の医薬品には、精神的な副作用の表示が義務付けられています。
「イソトレチノイン」の副作用
ほかにもイソトレチノインの内服では複数の副作用が発生する可能性があります。
数多くの副作用が挙げられますが、ここでは、特に代表的なものを紹介していきます。
全身が乾燥する
イソトレチノインの副作用で全身の乾燥が起こる可能性があります。
人によって程度に個人差はありますが、顔だけでなく、全身が乾燥しやすくなる点に注意が必要です。
これは、イソトレチノインには皮脂腺の収縮作用があるためです。
皮脂腺の収縮により、皮脂の分泌量が減ると、肌が乾燥しやすくなります。
乾燥により肌の粘膜やバリア機能が弱くなることで、以下の症状などが現れることもあります。
- 口角炎
- 鼻出血
- ドライアイ
- 口唇炎
- 脱毛
頭痛・吐き気・めまい
イソトレチノインの内服により、頭痛や吐き気が起きる場合もあります。
これは「頭蓋内圧亢進(とうがいないあつこうしん)」の症状の一部です。
頭蓋内圧亢進とは、頭蓋骨内部に何らかの腫瘍が生じて、頭蓋骨の内側の圧力が上昇した状態を指します。
頭蓋内圧亢進は、ビタミンAを大量に摂取すると発症しやすいと言われています。
イソトレチノインは、ビタミンAの一種であるため、内服により、頭蓋内圧亢進が発症する可能性があります。
特に、ミノマイシンとテトラサイクリン系の抗生剤と同時に内服すると、頭蓋内圧亢進による、頭痛の副作用が出やすくなるため、注意しましょう。
肝機能の低下
イソトレチノインを内服すると、肝機能低下が低下することがあります。
イソトレチノインはビタミンAの一種で、長期間にわたってビタミンAを過剰摂取すると、肝障害が生じるためです。
その他にも、以下のような副作用が生じることがあります。
- 視力障害
- 下痢
- 筋肉痛・筋肉低下
- 発疹・かゆみ・かさぶた
- 結膜炎
もしも、どうしてもイソトレチノインの服用が必要な場合で、上記で紹介した副作用が見られた場合は、ただちに医師に相談してください。
「イソトレチノイン」を含むアキュテインなどの医薬品
イソトレチノインとは、成分名でビタミンAの一種です。
この章では、「イソトレチノイン」を主成分とする薬を6つ紹介します。
どれもイソトレチノインを主成分とするもので、難治性ニキビの改善効果が期待できる点の効果は共通しています。
ただし、イソトレチノインを含む薬は、一般的には個人輸入は認められていないので注意してください。
カプセル:20mg
カプセル:10mg、20mg、40mg
カプセル:20mg、40mg
カプセル:10mg、20mg、40mg
カプセル:10mg、20mg、40mg
カプセル:10mg、20mg
「イソトレチノイン」の個人輸入は厳禁
ここまで記事を読んで、イソトレチノインを含む薬が欲しいと思われた方もいるかもしれません。
日本では未承認医薬品として扱われるため、イソトレチノインを含む薬を購入するには輸入が必要です。
しかし、個人輸入しての服用は絶対に控えるようにしてください。
理由は以下2つです。
- イソトレチノインの個人輸入が禁止されているから
- 個人輸入での服用は危険だから
日本で認められていない成分、イソトレチノインを含む薬を、手続きなしで個人輸入することは、厚生労働省により禁止されています。
法規制はまだされていませんが、推奨されていないため、輸入は避けましょう。
どうしても輸入をしたい場合は、医師の処方箋または指示書に基づき必要な手続きを必ず行いましょう。
イソトレチノインを含む薬を個人輸入で服用することは危険です。
イソトレチノインには、精神疾患をはじめとするさまざまな副作用があります。
個人輸入の場合、専門家から薬ごとの成分の説明などを受けられず、自分の判断のみで服用することになるため、危険が伴います。
イソトレチノインがどうしても必要という方は、自由診療にはなりますが、イソトレチノインの取り扱いがあるクリニックの医師に相談しましょう。
「イソトレチノイン」の服用方法
イソトレチノインを服用する場合は、必ず用法用量を守りましょう。
正しく服用しないと、副作用も現れやすくなってしまいます。
イソトレチノインの内服は、重篤な副作用が現れる場合があります。
この章では、イソトレチノインの服用方法を紹介します。
食後に1日1錠服用する
イソトレチノインは、食後に服用しましょう。
脂肪に溶けやすい性質のため、食後に服用することで、効率良く成分を吸収することができます。
朝・昼・夜の服用の時間帯はいつでも問題ありません。
ただし、体への負担を減らすために、毎日同じタイミングで服用するようにしましょう。
一般的には、基本的には、1日20mgの内服量で十分な効果が見られることが多いと言われています。
体重の多い男性や、ニキビの重症度によっては20mgよりも、多い用量を指示される場合もあるようです。
必要な服用量は個人差があるため、1日何mgの有効成分を服用するのが適切かについては、医師の指示に従いましょう。
イソトレチノイン含有の薬は、イソトレチノインの含有量が10mg・20mgなどとバラバラです。
そのため、服用量は、錠剤の数でカウントするのではなく、薬に合わせて正しい用量を守りましょう。
内服を忘れた場合でも、1度に2回分を服用することは避けてください。
服用期間は医師に相談
平均的には6カ月ほど内服して治療終了することが多いと言われています。
イソトレチノインの服用では、約3~6ヶ月継続後、最低2ヶ月間の休薬期間を取る必要があります。
具体的には、以下のように服用期間と休薬期間を繰り返していきます。
クリニックや薬、治療の方針によっても、個人差はあるため、あくまで参考までにしてみてください。
約3ヶ月~6ヶ月
約2ヶ月~4ヶ月
症状が改善されない、かつ継続に問題なければ2クール目へ
約3ヶ月~6ヶ月
約2ヶ月~4ヶ月
最初の休薬期間に、ニキビが再発しないか観察します。
再発した場合は2クール目に入り、再発が見られない場合は1クールで治療終了という流れになります。
ただし、副作用が現れた場合は、服用期間中でも使用を中止する必要があります。
また具体的な期間は、人それぞれ異なるので医師と相談してください。
「イソトレチノイン」服用時の注意点
イソトレチノインを服用する際には、副作用以外にもさまざまな注意点があります。
事前に確認しておきましょう。
一時的にニキビが悪化する可能性がある
イソトレチノインの服用を開始してすぐの期間、特に最初の1~2週間で、ニキビが悪化する可能性があります。
これは、薬の効果が現れ始めている証拠である可能性があります。
「薬の効果が現れ始めている」場合のことを一般的には好転反応とも呼ばれ、体が正常な状態に戻るために一時的に症状が悪化したような状態になることを指します。
ほかに副作用が現れない場合は、肌の状態や体調をよく観察しながら服用を継続するようにしましょう。
好転反応は、ニキビの悪化が見られてから約4~6週間で落ち着くとされています。
好転反応の症状が重い場合は医師に相談して診てもらうようにしましょう。
妊婦の方・授乳中の方・13歳未満の方は使用不可
妊婦の方・授乳中の方は、胎児に影響を及ぼす可能性があるため、服用は禁止されています。
また、13歳未満の方も体の成長の悪影響を及ぼす可能性があるため、使用を認められていません。
18歳未満の方は、服用は禁止されていませんが、保護者の承諾が必要になります。
治療と脱毛の併用は不可
イソトレチノインの治療期間中は、肌の光への感受性が高まります。
そのため、服用期間・服用後3ヶ月間の脱毛は、原則禁止されています。
また、光の感受性を高めるため、肌は紫外線の影響も受けやすくなります。
イソトレチノインの服用期間中や服用後の期間は、紫外線対策も怠らないようにしましょう。
ビブラマイシン・ミノサイクリンとの併用は不可
イソトレチノインは、ビブラマイシン・ミノサイクリンと併用すると、頭痛などの副作用が起きやすくなります。
併用すると、頭蓋骨内部に何らかの腫瘍が生じて、頭蓋骨の内側の圧力が上昇した「頭蓋内圧亢進」になりやすいためです。
「頭蓋内圧亢進」では、頭痛などの症状を伴います。
併用は避けるようにして下さい。
「イソトレチノイン」服用をやめた後におきる肌の変化
服用後も効果が長期間続く
イソトレチノインの皮脂線を収縮させる効果は、服用中止後も続きます。
個人差はありますが、服用終了後、約1年間ほとんどニキビができないこともあるようです。
再度ニキビができたら別の医薬品を使う
内服によるニキビの改善効果は、人それぞれです。
一度ニキビが改善しても、再度ニキビが発生することもあります。
トレチノイン服用後に発生するニキビは、軽度のニキビであることが多い傾向にあります。
トレイチノイン内服後にニキビが発生した際は、アダパレン・ベピオゲル等ほかの治療薬を用いるようにしましょう。
アダパレンの「ニキビ治療の効果と副作用」を解説!正しい使い方と注意点をチェック「イソトレチノイン」以外の難治性ニキビ治療薬
イソトレチノインの副作用や、購入方法を知って使用を避けようと判断した方もいるかもしれません。
以下では、炎症性のニキビに効果的な日本で承認済みの医薬品を4つ紹介します。
すでに治療に使ったことがあるという方もいるかもしれません。
ただ、イソトレチノインは、日本では厚生労働省が承認していない医薬品です。
購入費は全額自己負担になること、重篤な副作用が出る可能性があることから、皮膚科で処方可能な医薬品で治療できないか検討することをおすすめします。
ビブラマイシン
ビブラマイシンは、抗菌作用や抗炎症作用を持つ内服薬です。
抗菌・抗炎症作用により、炎症したニキビの改善効果を期待することができます。
一般的に、ビブラマイシンは、内服初日に200mg(2錠)服用し、その後は100mg(1錠)を毎日服用します。
副作用として、まれに下痢や悪心などが起こることがあります。
ミノサイクリン
ミノサイクリンは、抗菌作用でニキビの原因菌の繁殖を抑制する内服薬です。
細菌のタンパク質合成を抑えることで、ニキビの増殖を抑制し、ニキビの炎症を抑える効果が期待できます。
通常、ミノサイクリンは内服初日に、「100mg(1錠)」から「200mg(2錠)」を服用し、その後12時間ごとまたは24時間ごとに100mg(1錠)ずつ使用します。
ミノサイクリンには、下記のような副作用が現れることがあります。
- 下痢・軟便
- アナフィラキシー
- 高熱
- めまい・頭痛
- 皮膚や爪、粘膜の色素沈着
- むくみ
クリンダマイシン
クリンダマイシンは、抗菌薬です。
ニキビの原因菌であるアクネ菌を抗菌する働きがあります。
ニキビ菌に抗菌作用があるため、ニキビの炎症を沈静する効果を期待できます。
クリンダマイシンは、1日2回、洗顔後に患部にピンポイントで塗るようにして下さい。
クリンダマイシンを使用していると、薬に抵抗力を持つ耐性菌が発生し、効果が薄れる場合があります。
副作用として、まれに発熱・腹痛などが現れることがあります。
アクアチム
アクアチムは、抗菌薬です。
ニキビの原因菌であるアクネ菌に対し、強い抗菌力を持ちます。
アクアチムも、クリンダマイシン同様、耐性菌が発生する恐れがあります。
アクアチムの副作用には以下などが挙げられます。
- 偽膜性大腸炎
- 接触皮膚炎
- 皮膚の乾燥
- 刺激感
「イソトレチノイン」を正しく使ってニキビを治そう
イソトレチノインは、治りにくいニキビへの効果が期待できる一方、重篤な副作用が出る可能性があります。
個人での輸入行為は禁止されているため、どうしてもイソトレチノインが欲しい場合は、自由診療のクリニックの医師へ相談しましょう。
ニキビ治療をしたい方は、漢方などの、身体の内側から肌にアプローチする治療法も検討してみてください。
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