「顎ニキビ」は、一度治っても繰り返すことが多く、痛みを伴うこともあり厄介ですよね。
患部が気になって手で触れてしまい、なかなか治りにくいのも顎ニキビの特徴です。
実は、大人になってからできるニキビのできる原因は皮脂の過剰分泌だけではありません。
そこで今回は、顎ニキビの原因と治し方について徹底解説していきます。
しつこい顎ニキビを綺麗に治して、肌悩みとはサヨナラしちゃいましょう!
この記事でわかること
- 顎ニキビはホルモンバランスの乱れやビタミン不足が原因でできる
- 顎ニキビは、皮膚科での処方薬を使って根本から治すことが肝心
- 顎ニキビは生活習慣を改善することで予防できる
東京イセアクリニック
大山 希里子先生
美容皮膚科(役職:美容皮膚科診療部長)
患者様に愛されるクリニックを目指して、マニュアルではない、ひとりひとりの患者様に合った最適な治療法とサービスを提供しております。
目次
顎(あご)ニキビが発生する原因
顎ニキビはホルモンバランスの乱れやストレス、ビタミン不足、乾燥など様々な原因により発生します。
ここではそんな顎ニキビが発生する原因について一つ一つ解説していきます。
自分の行動と照らし合わせながら、顎ニキビの原因が何なのかチェックしてくださいね。
ホルモンバランスの乱れ
女性ホルモン
- 肌の調子を整える
- 丸みを帯びた体を作る
- 妊娠や月経をおこす
男性ホルモン
- 皮脂を分泌する
- 骨や筋肉を発達させる
- 体毛を生やす
顎ニキビはホルモンバランスの乱れにより発生します。
顎は男性ホルモンの影響を受けやすく、女性ホルモンよりも男性ホルモンが優位になったときに皮脂の分泌が過剰になり、ニキビができてしまうのです。
また、男性ホルモンは皮膚の角層を厚くする働きも持つため、毛穴を詰まらせてしまいます。
反対に女性ホルモンが過剰に作られてしまうと、皮脂の分泌が抑えられてしまい、乾燥の原因になります。
そのため、両方のホルモンのバランスがしっかりと保たれていることが大切なのです。
また、生理前は顎にニキビができやすいという方は、生理のメカニズムと女性ホルモンの関係を理解しましょう。
そもそも、女性ホルモンには「卵胞ホルモン」と「黄体ホルモン」の2種類のホルモンがあります。
生理が近づくと、皮脂の分泌量を増やす働きを持つ黄体ホルモンが、角質を柔らかくする働きを持つ卵胞ホルモンよりも活発になるため、ニキビができやすくなるのです。
こういったホルモンバランスの乱れは大人になるにつれ、起こりやすくなります。
ニキビには10代にできやすい「思春期ニキビ」と、20代以降にできやすい「大人ニキビ」の大きく2つに分けられます。
中でも、顎ニキビは「大人ニキビの代表格」と言われるほど、生活習慣など様々な原因で発生しやすいのです。
ビタミン不足
ビタミンB2
- 皮脂分泌抑制
- ターンオーバー促進
- ホルモンバランスを整える
ビタミンC
- 抗炎症作用
- 抗酸化作用
- ターンオーバー促進
ビタミン不足も顎ニキビを発生させる原因です。
特に肌がべたつく、顔がテカる、毛穴詰まりが気になるなどの悩みのある脂性肌の方は要注意です。
ビタミンB2には、脂質の代謝を促して皮脂の分泌を抑制する働きがあります。
ビタミンB2が不足することで皮脂の分泌量は抑制されることなく、毛穴が詰まり、顎ニキビが発生してしまうのです。
また、ビタミンCが不足することでも顎ニキビは発生します。
ビタミンCには抗炎症作用や活性酵素を抑える働きに加え、ビタミンB2の働きを助ける作用を持ちます。
そのためビタミンCが不足することで、結果的にビタミンB2の働きも弱まってしまうというわけです。
毛穴が詰まりやすいという方は、ターンオーバーを促進するピーリング・過激な皮脂の場合は皮脂腺を焼く「アグネス」の治療が効果的です。
間違ったスキンケア
間違ったスキンケアが顎ニキビを発生させる原因となる場合もあります。
顔の皮膚はとてもデリケートで、角層はなんと0.02ミリと食品用ラップフィルム程度の薄さで構成されています。
内部の細胞は、角層の「バリア機能」という働きで刺激から守られ、乾燥やダメージを防いでいるのです。
洗顔の時にゴシゴシと洗ってしまうと、その摩擦によりバリア機能が壊されてしまい、肌の乾燥を引き起こしてしまいます。
それにより、ニキビのできやすい肌になってしまうのです。
また、ファンデーションの洗い残しやクレンジングのすすぎ残しも要注意です。
皮脂とメイク汚れが混ざり、毛穴を詰まらせる角栓に変わることで、ニキビの原因菌が繁殖しやすい環境を作ってしまいます。
正しいスキンケアについて知りたい方は以下の記事をチェックしてみてくださいね。
【目指せ美肌!】正しいスキンケア方法で美肌を手に入れよう外部からの刺激
顎は外部からの刺激が多いためにニキビが発生しやすい場所です。
気が付くと頬杖をついている、なんてことはありませんか?
些細な行動ですが、この行動も顎ニキビを作る原因となるものです。
頬杖などで、少しでも肌に圧力を与えてしまうと、その摩擦により肌が固くなってしまい、毛穴を詰まらせる原因となります。
また、さまざまな物を触ったり持ったりする手は、思っている以上に汚れているもの。
その手で顎を触ることで毛穴に汚れが溜まり、ニキビの原因となるのです。
乾燥
顎ニキビの原因として乾燥も挙げられます。
乾燥すると、肌は水分を補おうと過剰に皮脂を分泌させてしまいます。
皮脂が過剰に分泌されることで毛穴が詰まり、菌が増殖することで顎ニキビが発生します。
特に顎には皮脂を分泌する皮脂腺が多く存在する一方、汗腺が少ないという特徴があります。
乾燥をカバーするためにより多くの皮脂を分泌することから、毛穴づまりを起こしやすいのです。
紫外線
紫外線も顎ニキビの原因の一つです。
紫外線の影響は、日焼けやシミだけだと思われがちですが、実は顎ニキビを悪化させる原因にもなります。
紫外線を浴びると肌は乾燥し、肌のバリア機能が低下します。
皮膚のバリア機能が低下することでターンオーバーが乱れ、古い角質がたまりやすくなるのです。
また、アクネ菌によって産生される「ポルフィリン」という物質は、紫外線を浴びることにより、活性酸素を発生させます。
活性酸素は皮脂を酸化させ、肌に炎症を起こすことで、顎にきびを悪化させてしまうのです。
ストレス
顎ニキビを発生させる原因としてストレスも挙げられます。
ストレスに反応するホルモンはいくつか種類がありますが、代表的なのが「コルチゾール」というホルモンです。
コルチゾールは、生命を維持するために欠かせないホルモンの一つです。
しかし過剰なストレスを抱え込んでしまうと値が高くなり、肌に悪影響を及ぼすのです。
コルチゾールは皮脂の分泌を増やし、炎症や毛穴の詰まり、肌荒れなどを引き起こしてしまうホルモンでもあります。
そのため、ストレスがうまく解消されずに溜まっている状態だと顎ニキビが発生しやすくなってしまうのです。
ストレスは短期的に解決するものではなく、ましてやニキビによりストレスが増えることも考えられます。
その結果、ストレスが原因で発生するニキビは治りづらく、繰り返しやすいのです。
ニキビとストレスの関係性についてもっと詳しく知りたい方は以下の記事を参考にしてみてくださいね。
ストレス性ニキビの治し方を解説!顔の場所別にみる原因とその特徴顎(あご)ニキビの治し方
顎ニキビを治したい方は「医薬品」を使うことが、即効性があり、効果を期待できます。
医薬品には、皮膚科でもらう処方薬と市販薬の2つがあります。
処方薬の方が配合成分量が多く、効果が高いとされているので、より改善効果の高いものを求めている方は皮膚科で処方してもらいましょう。
一方、市販薬はドラッグストアで気軽に購入することができるため、まずは自分で治療したい、と感じる方におすすめです。
ここでは、処方薬と市販薬における顎ニキビの治療に効果的なものをご紹介します。
ぜひ自分に合ったものを見つけてくださいね。
皮膚科で薬を処方してもらう
アダパレンはニキビの出来始めに効果的な薬です。
肌のターンオーバーを促進させ、毛穴の詰まりを改善することで顎ニキビを治す効果が期待できます。
使い始め2週間は乾燥や痒みなどが出やすいため、量を調節するなどの使い方にも気をつけましょう。
べピオはニキビのアクネ菌を殺菌することで、顎ニキビを治療する薬です。
角質を剥がす作用もあるため、ニキビの初期段階であるコメドを減少させることも期待できます。
皮膚に刺激を与える副作用があるため、しっかりと保湿してから使用するようにしてくださいね。
クリンダマイシンゲルは化膿を伴うニキビに効果的な薬です。
炎症を抑制する働きを持ち、症状が進行しているひどい状態のニキビに塗布することで顎ニキビを治す効果が期待できます。
しかし、耐性菌が発生する場合があるため、4週間程度使用しても効果が現れない場合は皮膚科に相談するようにしましょう。
ドラッグストアの市販薬を使う
ビフナイトはニキビの皮脂を吸収し、腫れや赤みを抑える市販薬です。
角質軟化作用のあるイオウが肥厚化した角質を取り除き、ニキビのもととなるコメドを改善します。
また、抗炎症作用のあるグリチルレチン酸や殺菌作用を持つイソプロピルメチルフェノールが赤く腫れたにきびを治療するため、どんな顎ニキビにも効果的です。
イハダアクネキュアクリームは、赤く腫れたニキビの炎症を鎮め、治療する市販薬です。
抗炎症作用のあるイブプロフェンピコノールが赤く腫れた顎ニキビの炎症を鎮め、殺菌作用を持つイソプロピルメチルフェノールがアクネ菌の増殖を抑制します。
ノンステロイドで弱酸性、ノンアルコールなので肌のターンオーバーが乱れがちな敏感肌の顎ニキビでもやさしく治療します。
アポスティークリームはアクネ菌による毛穴詰まりを解消することで、顎ニキビを改善する市販薬です。
抗炎症作用のあるイブプロフェンピコノールが赤く腫れたニキビの顎ニキビの炎症を鎮めるため、症状が進行したニキビにも効果的です。
ヒアルロン酸ナトリウムやグリセリンが配合されているため、乾燥しやすい大人の肌でも安心して使用できます。
顎(あご)ニキビの予防法
顎ニキビは普段の行動が原因で発生するケースが多いため、生活習慣を見直すことで予防できます。
また、繰り返しやすい顎ニキビはこれ以上発生させないことがとても大切です。
ここでは顎ニキビの予防法をしっかりとチェックして、できることから始めてみてくださいね。
正しいスキンケアをする
顎ニキビを治すために特に必要なのが正しいスキンケアを行うことです。
汚れを落とし、肌を綺麗にするための洗顔ですが、洗い方によってはかえって肌にダメージを与えてしまうこともあります。
肌への刺激をできるだけ減らす方法として、弾力のある泡をつくり、泡で押し洗いをするようにして汚れを落とすことを意識しましょう。
また、洗顔料をすすぐ時も注意が必要です。
洗顔料の洗い流しがあると、洗顔料や汚れが毛穴に詰まり、顎ニキビを悪化させる可能性があります。
特に顎は洗い残しが多くなりやすい部位なので、流し終わったらもう一度洗い残しがないかしっかりと確認するようにしましょう。
ニキビができた時の洗顔方法については、こちらの記事で詳しく解説しているので是非チェックしてみてくださいね。
【思春期やメンズの方も】1日でも早く治すニキビ洗顔とは?また、洗顔後の肌の水分は5分程度で減少し、洗顔前よりも乾燥してしまいます。
そのため、なるべく早く化粧水や乳液、保湿クリームなどで保湿をするようにしましょう。
ニキビに効果的なスキンケアはこちらの記事にまとめているので、化粧水について知りたい方はこちらを参考にしてみてくださいね。
【ニキビ化粧水選び】大人と思春期で違う!おすすめ商品&効果的な使い方をご紹介十分な睡眠をとる
顎ニキビを治すには睡眠がとても大切です。
睡眠時に人体は成長ホルモンなどを分泌しながら新陳代謝を繰り返し、皮膚や骨、筋肉などを修復しています。
そのため、睡眠不足になると肌の免疫力が下がり、にきびができやすくさらに悪化しやすい状態になります。
特に睡眠で大切なのが、肌のゴールデンタイムを知ることです。
肌のゴールデンタイムは夜10時~深夜2時として有名ですが、実は最近の研究では眠りについてから3~4時間であるということがわかっています。
そもそも肌のゴールデンタイムとは、肌のターンオーバーを促す成長ホルモンが分泌される時間のことを言います。
つまり、成長ホルモンが分泌されるのが入眠してからの3時間~4時間であるため、できるだけこの時間に質の良い睡眠をとれるようにしましょう。
また睡眠が不足すると、しっかり睡眠をとった人に比べてストレスに弱くなってしまう傾向もあります。
そのストレスにより、顎ニキビが発生する可能性も考えられます。
毎日十分な時間を取り、しっかりと睡眠を取ることが顎ニキビを治すためには重要なのです。
ニキビと睡眠の関係性についてより詳しく知りたい方は以下の記事をチェックしてみてくださいね。
ニキビと睡眠の関係性とは?治療薬や寝不足改善のためのセルフケア方法を紹介!栄養バランスの良い食事を摂る
顎ニキビを治す生活習慣を身に着けるためには、毎日の食事を改善することも大切です。
1日3回のバランスのよい食事で、体の内側からニキビができにくい肌をつくっていくことが根本的な改善につながります。
特にビタミン不足は顎ニキビの発生要因になるので、ビタミン類を積極的に摂取するようにしましょう。
皮脂の分泌を抑制するビタミンB2やターンオーバーを促進するビタミンCはもちろん、皮膚を健康に保つビタミンA、肌のバリア機能の低下を防ぐビタミンB1を同時に摂取することで、顎ニキビを防ぐことができます。
それに加え、肌を作る材料になるたんぱく質や、皮脂分泌を抑制するビタミンB2・B6、血行を促進させるビタミンE、お通じをよくする食物繊維も意識するようにしましょう。
下記に顎ニキビを治す栄養素をまとめたので参考にしてみてくださいね。
反対に、顎ニキビを治したいときは皮脂を増やしやすい動物性の脂肪や糖質の多い食材を避け、お菓子類や揚げ物はもちろん、コーヒーやお酒も控えるようにしましょう。
ニキビのもととなる食事を控えることで、皮脂の過剰分泌や肝機能の低下を防止することができ、顎ニキビの改善につながります。
ニキビだけでなく肌を美しく保つためには、栄養のある食事が非常に大切です。
肌に良い栄養素についてはこちらの記事で詳しく解説しているので、是非チェックしてみてくださいね。
美肌効果のある「栄養素」とは?効率的な取り入れ方やおすすめ食材を解説紫外線対策をする
また、ニキビの悪化を防ぐためにも毎日の紫外線対策は欠かせません。
紫外線を防ぐために日焼け止めを塗る、日傘をさすなど意識して対策しましょう。
雨の日や冬でも紫外線は降り注いでいるため、一年を通して日焼け止めは塗るようにしてくださいね。
顎ニキビを治すために特に大切なのが、ニキビ肌でも使いやすい日焼け止めを使うことです。
なぜなら、日焼け止めを使用することでかえって顎のニキビができやすくなってしまう危険性があるからです。
例えば、紫外線吸収剤や油分が多く含まれている日焼け止めを使用することで、毛穴をふさいでしまいます。
そのため、顎ニキビに悩む方はケミカルフリーやオイルフリーの日焼け止めを選びましょう。
最近では飲む日焼け止めも主流になっており、肌に負担をかけずに紫外線対策ができるのでおすすめです。
また、日焼け止め選びにはSPFとPAにも注目しましょう。
以下に数値をまとめたので参考にしてみてくださいね。
目的 | 日焼け止めの効果 |
---|---|
日常生活 | SPF10~20、PA+~++ |
スポーツやレジャー | SPF20~40、PA++~+++ |
マリンスポーツ | SPF30~50+、PA+++~++++ |
以下の記事では、日焼けをした後のケアだけでなく、紫外線対策についても詳しく解説しています。
気になる方はチェックしてみてくださいね。
日焼けを治す「アフターケア」を解説!72時間以内に行う黒くならない方法顎を触りすぎないようにする
顎ニキビを治すためには、物理的な刺激を減らすことを意識しましょう。
生活習慣やスキンケアを見直していても、手で一日に何度も触ったりこすったりしていては、顎ニキビは悪化する一方です。
癖で頬杖をついてしまう人もいるかもしれませんが、顎ニキビを治したいときは頬杖もつかないように意識してみてください。
その他にもマスクの擦れや洋服の襟、髪の毛など思い当たるものが一つでもある方は注意しましょう。
刺激を意識的に減らすことが、これからできる顎ニキビの予防にもなるので、ぜひ習慣づけるようにしてくださいね。
繰り返す顎ニキビは皮膚科で専門の医師に相談を
顎ニキビは大人ニキビの代表格で、ホルモンバランスの乱れやストレス、乾燥など様々な原因によって発生します。
一度できたらなかなか治らなかったり、繰り返したりする顎ニキビだからこそ適切な方法で根本的に改善することが大切です。
そのためには生活習慣やスキンケアを見直すことがとても大切です。
それでも治らない方や症状を繰り返してしまうという方は、皮膚科を受診することをおすすめします。
専門の医師に診てもらうことで、自分では判断できなかった症状が見つかるかもしれません。
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