皮膚科でもらえる保湿クリームには何があるの…?
市販の保湿クリームを使っても保湿効果を実感できない場合や、より保湿力を求める場合は「皮膚科でもらえる保湿クリームならもっと効果的なのかも?」と気になる方もいるのではないでしょうか。
今回は、皮膚科でもらえる保湿クリームと市販品との違いや、処方してもらう方法について解説します。
この記事でわかること
- 皮膚科でもらえる保湿クリームには「ヒルドイド」や「プロペト(ワセリン)」がある
- 皮膚科で保湿クリームを処方してもらうには医師の診察が必要
- 医師の診断のもと自分の症状に合う保湿剤を処方してもらう
目次
皮膚科でもらえる保湿クリーム
皮膚科でもらえる代表的な保湿クリームには、主に「ヒルドイド」や「ワセリン」が挙げられます。
まずは、この2つの保湿剤の効果を詳しく解説します。
ヒルドイド
ヒルドイドは、アトピー治療や乾燥肌の改善を目的に処方されることがある外用薬です。
基本的には、赤ちゃんにも使用できるほど、低刺激な設計の保湿剤です。
非常に高い保湿効果を持つ「ヘパリン類似物質」を有効成分としています。
マルホ株式会社の「ヒルドイド」のほかにも、ヘパリン類似物質を含む日医工株式会社の「ヘパリン類似物質油性クリーム」が処方される場合もあります。
私たちの肌は、水分子を保持することで、お肌のうるおいやハリが保たれています。
ヒルドイドに含まれるヘパリン類似物質には、水分子を引き寄せて保持する「保水性」があります。
肌の水分量を維持することで、空気の乾燥や摩擦などの外部の刺激から、肌を守ります。
この作用により、乾燥が原因で起こる肌荒れや色素沈着、しわの改善に期待できます。
ヘパリン類似物質には、血液を固まりにくくし血行を良くする作用があります。
血行が悪くなると、肌の新陳代謝(肌細胞の生まれ変わり)がうまくいかず、肌がくすみやすく、ニキビなどの肌トラブルも発生しやすくなります。
血行が良くなると、肌の新陳代謝が促進されて、シミやニキビ跡などの色素沈着や炎症が改善されやすくなります。
ヒルドイドには、おだやかな抗炎症効果があると言われています。
ヒルドイドに含まれるヘパリン類似物質には、炎症時に活性化される「ヒアルロニダーゼ(※)」を抑制する作用があるためです。
炎症を引き起こす物質の働きを抑制することで、手指の荒れや肌荒れの改善効果が見込めます。
※ヒアルロニダーゼとは、ヒアルロン酸を分解する酵素のこと。乾燥や炎症を引き起こし、かゆみや赤みの原因となる。
私たちの肌は、コラーゲンやヒアルロン酸などの成分によって、うるおいやハリが保たれています。
しかし、コラーゲンが過剰に生成されると、皮膚が盛り上がる「ケロイド(※1)」や「肥厚性瘢痕(※2)」を引き起こします。
ヘパリン類似物質には、このコラーゲンなどを作り出す「線維芽細胞(せんいがさいぼう)」の増殖を抑制する作用があります。
これにより、「ケロイド」や「肥厚性瘢痕」を緩和します。
※1:ケロイドとは、炎症が続いたkっケア、炎症細胞の集積・血管の増生・線維組織の蓄積などが起こり、肌が盛り上がる症状です。
※2:肥厚性瘢痕(ひこうせいはんこん)とは、皮膚を作る線維細胞が過剰に産生されて、傷が赤くなり、肌が盛り上がる症状です。
ヒルドイドは、寝る前の洗顔後に使用するのがいいのでしょうか?
ヒルドイドは、1日1回夜、スキンケアの最後に使うようにしましょう。
ヒルドイドには、軟膏・クリーム・フォーム・ローションの4種類のタイプがあります。
それぞれの特徴や、ヘパリン類似物質を含む市販品を詳しく知りたい方は以下をご覧ください。
【医師監修】ヒルドイド(ヘパリン類似物質)の美容効果と正しい使い方を解説!プロペト(ワセリン)
プロペト・ワセリンは、どちらも石油から精製された保湿剤です。
ワセリンは、純度によって、白色から淡い黄色のものまであり、白色のワセリンの方が純度が高い(=不純物が少ない)設計になっています。
プロペトは、白色ワセリンよりもさらに純度が高く、肌が比較的敏感な方におすすめです。
実は、プロペト(ワセリン)そのものに保湿成分は含まれていません。
プロペト(ワセリン)を塗ると、肌の表面に油膜が張られ皮膚の内側からの水分蒸発を防ぐことができます。
その結果、肌を乾燥から守ることができるという仕組みです。
プロペト(ワセリン)を肌に塗って作られた油膜は、外部の刺激から肌を守るバリア機能同様の役割を果たします。
主に、摩擦によって引き起こされる肌トラブルを防ぐことができます。
目などの粘膜以外であれば、目元や唇にも使えるため、乾燥やひび割れが気になる部位の保護にも使えます。
例えば、ドライヤーの前にワセリンを髪全体に薄くもみ込むことで、ドライヤーの熱風や摩擦ダメージから髪を守る保湿剤としても使うことができます。
プロペト(ワセリン)は、肌の炎症が強い時に、ステロイドなどと一緒に使うことがあります。
炎症を抑える効果のあるステロイドの成分が、蒸発するのを、ワセリンを塗ることで防ぐ効果が期待されるためです。
大半のアトピー性皮膚炎は、皮膚のバリア機能が弱まり、肌が乾燥することで起こります。
プロペト(ワセリン)の油膜は、皮膚のバリア機能の役割を担い、肌の水分の蒸発を防ぐことで、アトピー性皮膚炎の根本となる「乾燥」を防ぎます。
比較的副作用が少ないため、刺激に弱いアトピー性皮膚炎の方の保湿剤に相性の良い保湿剤です。
ワセリンのクリームは使用後すぐに塗り重ねても大丈夫なんですか?
ワセリンを重ねて塗布するのに問題はございません。ただ、クリームを塗った後はある程度乾燥してからワセリンを塗っていただいた方が良いかと思います。
皮膚科でもらえる保湿クリームと市販薬の違い
プロペト(ワセリン)やヒルドイドには、似た市販薬もあるけど、皮膚科のものと何が違うの?
皮膚科でもらえる保湿剤は、同じ成分が含まれた市販薬もあるため、違いが気になりますよね。
皮膚科でもらえる保湿クリームと、市販薬の違いについて解説します。
処方薬は保険適用で購入できる場合がある
皮膚科の診察には、保険診療と自由診療という診療形態があります。
基本的には、クリニックごとに保険診療か自由診療か分かれている場合が多いです。
保険診療では、症状の治療を目的として、処方が必要と判断された場合に、保険適用で薬を購入できます。
保険が適用された処方薬は、お薬の負担額が減るというメリットがあります。
特徴 | 負担額 | |
---|---|---|
保険診療 | 公的な健康保険が対象となる範囲での受診・施術・処方 | 3割の自己負担 |
自由診療 | 公的な健康保険が対象外となる範囲も含まれる受診・施術・処方 | 全て自己負担 |
※厚生労働省の規定により、日常生活に支障をきたさないと見なされる症状には保険が適用されないことがあります。
処方薬にはより高い保湿効果を期待できる
例えば、「ヒルドイド」の場合は、効果の優劣は一概に言えません。
処方薬と市販薬の医薬品の「ヒルドイド」には、同様にヘパリン類似物質が1g中3.0mg含まれているためです。
ただし、医師の判断のもと症状に合う処方を提案してくれるという観点からは、処方薬のほうが高い保湿効果を期待しやすいでしょう。
皮膚科でももらえる保湿剤には、ヒルドイドやプロペト(ワセリン)のよう、使用感や保湿力に差があるいくつかのタイプがあり、処方薬の場合は、医師が診察したうえで、症状に一番相性のいい処方を提案してくれます。
また、市販の製品には、医薬品ではなく、医薬部外品や化粧品として販売されているものもあるため、違いがわかりづらいという方は、医師に相談するのがおすすめです。
皮膚科で保湿クリームを処方してもらうには?
皮膚科で処方される保湿剤を使うには、どうすればいいの?
保湿剤が必要な場合は、皮膚科または美容皮膚科を受診して、医師から処方を受ける必要があります。
厚生労働省が定めた法律により、医師の診察を受けないで医療用医薬品をもらうことは原則不可能です。まずは、医師に相談して、保湿剤の処方が必要かどうかを判断してもらいましょう。
医師の診断を受けると、処方箋が発行されます。この処方箋がないと、医療用医薬品が受け取れないので注意しましょう。処方箋の期限は、発行日を含めて4日間となります。
処方箋を受け取ったら薬局にて、処方薬を受け取ります。薬剤師さんから正しい使用方法や用量について説明があるので、分からないことや不安な点は、薬の使用を始める前に確認しておきましょう。
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東京山手クリニック
藤原東華 医師
当院は「あなたのお肌のかかりつけ」をコンセプトに、皆さんのお肌を作り直すサポートをしていきたいと考えております。ただ肌悩みを改善するだけではなく、健康で美しいお肌を取り戻し、笑顔で日々を過ごせるよう、お手伝いさせていただければ幸いです。