ニキビの薬は皮膚科でもらうべき?飲み薬・塗り薬の処方例と各効果を解説

いろいろな薬が机の上に散らばった様子

ニキビの薬は、皮膚科でもらった方が良いの?

ニキビ治療では、市販薬も有効ですが、医師に症状を診てもらったうえで処方を

今回は、皮膚科で処方されるニキビに効く薬を、飲み薬・塗り薬・漢方に分けてご紹介します。
ニキビの症状に合わせた適切な薬の選び方も紹介するので、自身に合う治療法を見つけるための参考にしてみて下さい。

この記事でわかること

  • 皮膚科では、ニキビの薬は進行段階や重症度に応じて処方される
  • ニキビ治療に用いられる皮膚科の薬には飲み薬・塗り薬・漢方薬などがある
  • 慢性的なニキビを予防したい方は、予防目的でも治療対象となる美容皮膚科を受診すべき

皮膚科ではニキビの薬は進行段階に合わせて処方される

ニキビには、いくつか種類があり、進行段階によって判断されます。
皮膚科では、ニキビの症状に合わせて薬が処方されます。

ニキビの原因は、皮脂が排出されずに詰まることで、毛穴詰まりを起こした「コメド」の状態がニキビの初期段階です。
さらに、アクネ菌が繁殖すると、炎症が起こります。
ニキビの進行度合いごとに、皮膚科の処方例を見ていきましょう。

ニキビの症状は、進行段階の他にも、重症度での判断軸があります。ニキビの重症度は、炎症性のニキビ(赤ニキビや黄ニキビ)の個数で判断します。

軽症 片側に炎症性ニキビが5個以下
中等症 片側に炎症性ニキビが6個~20個
重症 片側に炎症性ニキビが21個~50個
最重症 片側に炎症性ニキビが51個以上
参考:亀戸シンシアクリニック「皮膚科で使用されるニキビ治療薬の特徴は?」コラム内より

マイクロコメド

マイクロコメドとは、毛穴に皮脂が詰まっている状態のことです。
これはニキビの初期段階ともいわれ、肉眼では見えないほど小さいこともあります。
内部に皮脂や角質が溜まり始めた段階で、皮脂の排出を助ける薬を処方される場合があります。

代表的な処方例

白ニキビ

白ニキビは、毛穴に皮脂や汚れが詰まり、毛穴が塞がれて隆起した状態です。
別名「閉鎖面皰(へいさめんぽう)」「肌色ニキビ」などで、白ニキビを指して「コメド」と呼ぶ場合もあります。
炎症のない初期段階のニキビで、痛みやかゆみを伴うことは少ないです。
皮脂の分泌量を防いだり、蓄積した角質を取り除く作用を持つ薬が処方されることがあります。

黒ニキビ

黒ニキビは、毛穴に詰まった皮脂汚れが酸化して黒くなった状態です。
黒色でぽつんと隆起が見られたら、黒ニキビの可能性が高いです。
白ニキビが時間の経過とともに酸化することが原因です。
炎症していないため、痛みやかゆみはない場合が多いです。
白ニキビと同じく、皮脂の分泌量を防ぎ、蓄積した角質の排出を助ける薬が処方されることがあります。

赤ニキビ

赤ニキビは、毛穴詰まりがある箇所にアクネ菌が増殖し、炎症が発生した状態です。
「丘疹性(きゅうしんせい)ニキビ」とも呼ばれます。
炎症で赤く腫れているため、痛みやかゆみを伴うことがあります。
そのため、炎症を抑える作用を持つ薬が処方されることがあります。

黄ニキビ

黄ニキビは、炎症を起こした赤ニキビが更に悪化し、膿が溜まった状態です。
ニキビが黄色く変色して膨らんでいたら、黄ニキビの可能性が高いです。
「嚢胞(のうほう)」とも呼ばれます。
痛みやかゆみを伴い、潰すと膿が破裂し、肌に跡が残りやすいため注意しましょう。
アクネ菌の他にも、黄色ブドウ球菌などの原因菌を殺菌・抗菌できる薬が処方されることがあります。

紫ニキビ

ニキビは、黄ニキビが更に悪化し、化膿した部分に血液が入り込み紫色に変化した状態です。
血豆のような見た目で、触れると激しい痛みを伴うことがあります。
「結節性ニキビ」や「嚢腫(のうしゅ)」とも呼ばれます。
黄ニキビと同様の治療薬が処方されることがあります。
肌の奥の層「真皮」まで達して重症である場合は、施術での措置が必要になることもあります。

皮膚科のニキビに効く飲み薬(内服薬)

内服薬は、体の内側からアプローチすることで、ニキビ改善に働きかけます。
皮膚科では、患者さんのニキビの状態や肌質に合わせて、以下の内服薬が処方されることがあります。
外用薬が

ニキビの種類ごとの内服薬の処方例

ハイチオール

ハイチオールとは、L-システインを主成分とした医薬品です。 ハイチオールは、肌のターンオーバーを促進する効果を発揮します。 肌のターンオーバーを促進することで、皮脂や汚れが外に排出されます。
白ニキビ
黒ニキビ
赤ニキビ
黄ニキビ

シナール

シナールは、ビタミンCとビタミンB5を含有したビタミン剤です。抗酸化作用や、肌のターンオーバーを促進する作用があります。皮脂の分泌を抑える作用を持つため、ニキビ予防にも適しています。
白ニキビ
黒ニキビ
赤ニキビ
黄ニキビ

ピドキサール

ピドキサールは、ビタミンB6を主成分とする医薬品です。毛穴詰まりを解消させ、皮脂の過剰分泌を抑える効果があります。
白ニキビ
黒ニキビ
赤ニキビ
黄ニキビ

ユベラ

ユベラは、ビタミンEを主成分として配合した医薬品です。抗酸化作用、肌のターンオーバー促進作用でニキビ改善に働きかけます。
白ニキビ
黒ニキビ
赤ニキビ
黄ニキビ

ビオチン

ビオチンはビタミンB群に属する水溶性ビタミンの一つです。 ビオチンには、炎症の原因である「ヒスタミン」を抑制する作用があります。 これにより、炎症性のニキビに効果を発揮すると考えられます。
白ニキビ
黒ニキビ
赤ニキビ
黄ニキビ

ミノマイシン

ミノマイシンは、細菌のタンパク質の合成を抑制して増殖を抑える抗菌薬です。 日本皮膚科学会が発表している「尋常性痤瘡(じんじょうせいざそう)治療ガイドライン2017」でも炎症を伴うニキビの内服治療薬の一つとして強く勧められています。炎症していないニキビには原則使用されません。
白ニキビ
黒ニキビ
赤ニキビ
黃ニキビ

ルリッド

ルリッドは抗生物質の一つで、細菌感染による炎症に効果的な抗菌薬です。ルリッドは、炎症を起こしているニキビに有効です。炎症を起こしていないニキビにはあまり効果がありません。
白ニキビ
黒ニキビ
赤ニキビ
黃ニキビ

皮膚科のニキビに効く塗り薬(外用薬)

ニキビ治療において、外用薬は皮膚の表面に直接働きかけ、ニキビの原因となる皮脂の過剰分泌や炎症を抑えるのに効果的です。

皮膚科で処方される外用薬は、症状やニキビのタイプに応じて選ばれます。

以下では、代表的な皮膚科のニキビに効く外用薬を紹介しています。

ニキビの種類ごとの外用薬の処方例

アダパレン

アダパレンは、新薬「ディフェリンゲル」を含有する外用薬です。 毛穴詰まりを解消するため、主に非炎症ニキビの改善に働きかけます。マイクロコメドにも有効で、ニキビ予防にも用いられます。
白ニキビ
黒ニキビ
赤ニキビ
黄ニキビ

過酸化ベンゾイル(ベピオ)

ベピオゲルは、主成分「過酸化ベンゾイル」を含む抗菌薬です。耐性菌発現のリスクを伴う抗生物質を含まないので、比較的長期的使用できるとされています。毛穴詰まり解消や、抗菌作用の効果が期待できます。
白ニキビ
黒ニキビ
赤ニキビ
黄ニキビ

エピデュオゲル

エピデュオゲルには、2つの有効成分が含まれます。
一つは「アダパレン」で、もう一つは「過酸化ベンゾイル」です。
エピデュオゲルは、ピーリング作用を持つ処方薬のなかでは、比較的作用が強く効果的に改善に働きかける一方で、肌に負担がかかる観点からは、副作用が出やすい傾向にある外用薬です。
白ニキビ
黒ニキビ
赤ニキビ
   黄ニキビ

デュアック配合ゲル

デュアック配合ゲルは、過酸化ベンゾイルとクリンダマイシンの合剤です。
抗菌作用と炎症抑制効果を持ちます。
白ニキビ
黒ニキビ
赤ニキビ
黄ニキビ

ダラシン

ダラシンは、クリンダマイシンを有効成分とする抗生物質です。 ニキビの原因菌になるアクネ菌などに対する抗菌作用と炎症を抑える抗炎症作用を持っています。
白ニキビ
黒ニキビ
赤ニキビ
黃ニキビ

ゼビアックス

ゼビアックスは、炎症を抑える「オゼノキサシン」という有効成分を含む抗菌薬です。細菌のDNAの複製を妨げることにより、細菌を殺します。
白ニキビ
黒ニキビ
赤ニキビ
黃ニキビ

アクアチム

アクアチムはナジフロキサシンを有効成分とする抗菌薬です。抗生物質を含んでいる薬で、短期間のニキビ治療に用いられます。炎症性のニキビのほか、とびひ・おできなどの皮膚感染症の治療にも効果を示します。
白ニキビ
黒ニキビ
赤ニキビ
黃ニキビ

皮膚科のニキビに効く漢方薬

ニキビ治療において、西洋医学の薬と並行して漢方薬を使用することがあります。

漢方薬は、体質や症状に合わせて処方され、内側から体質を整えることで、ニキビの原因となる不調を改善します。

慢性的にニキビができやすい方には、ニキビができにくい肌環境をつくるのに特に相性が良いと言えます。

ニキビの予防や改善の治療薬として以下などの漢方薬が皮膚科で処方される場合があります。

ニキビに効く漢方薬について詳しくはこちら!

漢方薬の構成生薬のイメージ 【医師監修】ニキビに効くおすすめの漢方薬は?十味敗毒湯など10種類の漢方を解説!

荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)

荊芥連翹湯は、炎症を伴うニキビと炎症していないニキビの両方に効果が期待できる漢方薬です。日本皮膚科学会ガイドラインで唯一、全タイプのニキビへの改善効果が認められています。鼻づまりや扁桃炎になりやすい方、皮膚の色が浅黒い方に相性が良いと考えられます。
白ニキビ
黒ニキビ
赤ニキビ
黄ニキビ

清上防風湯(せいじょうぼうふうとう)

清上防風湯は、思春期ニキビや赤ニキビ、膿がたまった黄ニキビの治療に有効な漢方薬です。 顔の熱や炎症を抑える効果が期待でき、赤ら顔の人に向いています。 また、脂っぽい肌質の改善にも効果があるとされています。
白ニキビ
黒ニキビ
赤ニキビ
黄ニキビ

十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)

十味敗毒湯は、ニキビの腫れ、赤みなどが出て間もない、じゅくじゅくしたニキビの治療に有効な漢方薬です。余分な「水」や熱を発散させる効果があり、皮脂が詰まることで発生する白ニキビの治療に対して処方されることもあります。
白ニキビ
黒ニキビ
赤ニキビ
黄ニキビ

桂枝茯苓丸加薏苡仁(けいしぶくりょうがんかよくいにん)

桂枝茯苓丸加薏苡仁は、生理前のニキビ全般の治療に適した漢方薬です。血行を良くする働きやホルモンバランスを整える役割があり、生理前のニキビや肌荒れを改善する効果が期待できます。
白ニキビ
黒ニキビ
赤ニキビ
黄ニキビ

防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)

防風通聖散は、皮脂の詰まりが原因でできるニキビに効果が期待できる漢方薬です。脂肪を分解・燃焼し、余分な水分や老廃物を排出することで、脂性肌や皮脂分泌過多が原因で起こるニキビや肌荒れを改善します。
白ニキビ
黒ニキビ
赤ニキビ
黄ニキビ

当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)

当帰芍薬散は、「白ニキビ」の改善に効果が期待できる漢方薬です。血行を良くして全身に栄養素を届け、「水」を巡らせることで、余分な水分の滞りを緩和する効果があります。体力がなく疲れやすい、貧血やむくみ、足腰の冷えがある方に向いています。
白ニキビ
黒ニキビ
赤ニキビ
黄ニキビ

黄連解毒湯(おうれんげどくとう)

黄連解毒湯は、炎症を伴う赤ニキビの改善に効果が期待できる漢方薬です。「赤ニキビ」や「黄ニキビ」の治療によく使用され、炎症やかゆみを鎮めたり、体を冷やす作用があります。口内炎やニキビ以外の肌の炎症にも効果があり、のぼせぎみで顔色が赤くなりやすい方に適しています。
白ニキビ
黒ニキビ
赤ニキビ
黄ニキビ

温清飲(うんせいいん)

温清飲は、乾燥が原因の大人ニキビや赤ニキビ、膿がたまった黄ニキビの治療に用いられる漢方薬です。身体の内を温めて血行循環をよくする作用と、体の外側の熱を冷やし炎症を抑える作用を併せ持ちます。 皮膚の色つやが悪い方や、肌や口の中が乾燥する方に向いています。
白ニキビ
黒ニキビ
赤ニキビ
黄ニキビ

加味逍遙散(かみしょうようさん)

加味逍遙散は、ホルモンバランスの乱れが原因で起こるニキビの改善効果が期待できる漢方薬です。体内に溜まった熱を冷やし、不足している「血」を補う作用があります。のぼせぎみで肩が凝りやすい方や、便秘や冷え性などの症状がある方に適しています。
白ニキビ
黒ニキビ
赤ニキビ
黄ニキビ

温経湯(うんけいとう)

温経は、ホルモンバランスの乱れが原因で起こるニキビの改善に効果が期待できる漢方薬です。血の不足や滞りの解消と、ホルモンバランスを整える作用があります。また、身体、特に下半身を温め、乾燥した皮膚をうるおす効果も期待できます。ホルモンバランスが原因となって発症する、「大人ニキビ」に有効です。
白ニキビ
黒ニキビ
赤ニキビ
黄ニキビ

ニキビに効く薬の処方は皮膚科で相談

ニキビ治療には症状によっては、時間がかかることがあります。
少しでも効果的に治療を進めるには、適切な薬を使用することが重要です。

今回ご紹介した薬は、皮膚科または美容皮膚科で取り扱いがある一例です。
クリニックによっても、取り扱いの内容は異なるため、希望の治療薬がある場合は事前に取り扱いがあるか確認しましょう。

一般皮膚科では、治療対象内と判断された場合のみ、保険適用での処方が可能です。
美容皮膚科の診療は自由診療となりますが、治療方針の選択肢の幅が広い傾向にあります。
ニキビ予防やニキビ跡の治療も含めて処方が必要という場合は、美容皮膚科を受診すると良いでしょう。

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この記事の監修医

東京山手クリニック

都丸真依子 医師

美しさを求めるすべての人たちに

当院は「あなたのお肌のかかりつけ」をコンセプトに、皆さんのお肌を作り直すサポートをしていきたいと考えております。ただ肌悩みを改善するだけではなく、健康で美しいお肌を取り戻し、笑顔で日々を過ごせるよう、お手伝いさせていただければ幸いです。

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